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茂木健一郎氏
茂木健一郎(もぎけんいちろう)
1962年東京生まれ
ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー
・脳科学者(理学博士)
「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の
関係を研究するとともに、文芸評論、美術評論に取り組む。
『脳と仮想』(新潮社)で第四回小林秀雄賞を受賞。
2006年1月より、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』
キャスター。
Key Person Interview Kenichiro Mogi
[ 2006.10.2 up ]

ソニーデザインの印象 「引き算の美学」

ソニーのものづくりに関するすごく象徴的な話として、最初にデザインが決まって、そこにエンジニアがいろいろな部品やシステムを一生懸命組み込んでいくというのがありますが、ソニーは伝統的にデザインというものを重視してきた会社だと思います。小さくて、かっこいいデザインを出してくるのがソニーだという印象を持ってくださっている方も多いと思いますが、ソニーのDNAというのは引き算の美学にあると考えています。だから、ウォークマンというのは、そういう意味で画期的なデザインだったと思うんです。

ウォークマン
ウォークマンSシリーズ

メーカーは携帯デバイス(携帯端末)にさまざまな機能を詰め込んでいこうとしますが、どうもそれは消費者にとってはあまりうれしくないことが多いような気がするんです。むしろ、機能をどれくらい絞り込むか、ウォークマンですと録音の機能を落として再生機能に特化した端末にしたわけですが、そういったことが意外と大事なんだと思うんです。このウォークマンの引き算の美学がすごく大事なことのような気がしています。実はウォークマンのクオリア(感覚の持つ質感)を考えていてすごく思ったのは、ウォークマンというのは、音楽を聴きながら自分が体を動かして歩いて周りの風景が流れていく。「運動」、「視覚のフィードバック」、「音楽」という、3つの要素が脳の中で同時に立ち上がったというのは史上初めてのことで、だからあのような独特なウォークマンのクオリアは生まれたんだと、私はウォークマンのユーザーを始めて20年くらい経って初めて気づいたんです。そういうことは意外とすぐには気づきにくいものなんですよ。

インターフェースデザインがテレビを変える

私は今、スゴ録のかなりのヘビーユーザーなんです。私が使っているのは3年目位のものですが、録画とか予約する時のインターフェースがすごく自分にとっては使い勝手がいいんですよね。ハードディスクレコーダーは、劇的にテレビとの接し方を変えた商品だと思っています。画像をいろいろなところから持ってきて、それをハードディスクの中に取り込んでおいて後で見るというデバイスの向こうに広がっている世界は、非常に面白いものなのではないかと考えています。そういう意味では、スゴ録のインターフェースデザインは広がりが深い気がしますね。自分でスゴ録を使っていて思うんですけど、あれでテレビは絶対変わったと思いますよ。

スゴ録
スゴ録(RDZ-D900A)とインターフェースデザイン(クロスメディアバー)
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