テープ、DVD、HDD。これまでカムコーダーは、記録メディアとその駆動部のためにデザイン上の制限がありました。そのハードルがなくなったとき、カムコーダーの可能性はどれだけ拡大されるのか。“メモリースティック”“ハンディカム” 「HDR-CX7」。ソニーの新しいメッセージが、この一台の“ハンディカム”に凝縮されています。




池永:カムコーダーのデザインというのは、なかなか難しいんです。レンズと液晶パネルに加え、メカデッキも載せなければなりません。だから、どうしても小型化に限界があるし、形状も自由にはならないんです。よりコンパクトに、持ちやすくデザインしようとすると、これらの要素を「包み込む造形」で一体化するようなフォルムになり易いんです。中身のデバイスの影響を受けやすく、デザイン上の制約が多いプロダクトと言えますね。
記録メディアに“メモリースティック”を採用した「HDR-CX7」は、やっとその制約から解放されたモデル。純粋にデザイナーのイメージが形にできるようになった、メカデッキから開放された第一号機なんですよ。
非常に重要なエポックメーキング的なモデルだったので、デザイングループ内のメンバー全員でアイデアを出しあいました。縦型や横型はもちろん回転系のものまで様々なアイディアを集め、その中でひとつの方向を見つけ出すことができてきました。メカデッキやディスクドライブがなくなったことを、もっとストレートにメッセージにしたい。レンズと液晶パネルだけのシンプルな構成、そこに超小型であっても妥協しないホールド感の追及。安冨のアイデアをベースにデザイングループで審議を繰り返し1号機にふさわしい佇まいに仕上げていきました。
安冨:メカデッキやディスクドライブがなくなったとき、カムコーダーの機能は、レンズと液晶パネルに集約されてきます。ましてHDのような高画質モデルとなると、レンズの意味が大きくなると思うんです。すると自然に「レンズを握る」という発想に行き着きます。

そこで、私はレンズから少し浮かせるイメージで液晶パネルをデザインしたんですね。レンズと液晶パネルがそれぞれ存在感を主張するように。メカ駆動部がなくなったことを強調するなら「このカムコーダーはレンズと液晶パネルだけ」と言った方がわかりやすいですからね。両者を一体化させるのが従来のカムコーダーの常識ですが、まったく逆の試みでした。
もうひとつ、ホールド性への配慮がカタチに現れていたのも、提案として大きなポイントでした。カムコーダーはスチルカメラと違い、ずっと手に持って撮るものですら、握りやすくなければ疲労や手ブレを招いてしまいます。“ハンディカム”は伝統的に握りやすさにこだわってきたこともあり、その部分でも社内の共感を得られたのだと思います。