


川鯉: この「α700」を契機に、ソニーのαシリーズはますます充実していきます。最新技術のいち早い導入、従来のカメラメーカーにはない発想をαに求める方も多いでしょう。その期待に応えるため、私たちはさまざまな準備を進めていますが、レンズ側と本体側、双方に設けられたシナバーのリングは不変です。そこには、ふたつのリングが組み合わさってすべてが始まる、というメッセージが込められています。
ブランドを立ち上げる当初から、私たちはαシステムを象徴させるものとして、このマウントに着目していました。プロダクトデザインのチームは「一眼レフカメラの歴史上、マウントにインスパイアしたカメラはない。ここに何かを込めたい」と検討していましたし、一方で私たちブランドコミュニケーションのチームでも、マウントを中心にブランドの世界観を構築しようと模索し、その想いや価値観をチームで共有するために、ひとつのイメージムービーを創ったのです。そこで私たちが伝えたかった想いは、新たに一眼レフカメラの世界に挑戦するという情熱や熱意でした。そこで選んだモチーフが 太陽の周りにコロナやプロミネンスが見える「金環食」でした。真っ暗な空間に真円の光のエネルギーが輝いている力強さが、我々の情熱に重なっていること、そしてその姿がまさしくマウントの造形と重なり、そこからクリエイティブな世界が始まることを象徴していると感じたからです。また、そこに我々はシナバー(Cinnabar)、日本語で辰砂(しんしゃ)という鉱物の色を選びました。この、時代を超えて存在し続ける色をマウントにこめることで、αが今後もデジタル一眼レフの世界で存在感を放ち続けて欲しい、という想いを込めています。
このシナバーという色を発見できたことで、αブランドの世界観が一気に構築できました。製品上のマウントを基点に、プレスリリース、店頭などで積極的に展開し、ソニーの意気込みを示せたと思います。
高橋:だから、私たちの誰一人として「オレンジ色をブランドカラーに選んだ」という意識は持っていないんですよ。あくまでマウントに込めたイメージをブランドの象徴にしたのです。プロダクトに入れても気持ち良くフィットしますし、また、単なるオレンジとは異なる新しい呼び方としてシナバーがある事が大きいですね。色をブランドの識別要素にしたものはいろいろありますが、それらと一線を引けたのは、呼び方も含めてトータルに新しいイメージを構築できたことが大きいと思います。


林:実際、システムカメラとして、ソニーのαは撮影者の表現力を大きく広げるものだと思います。レンズをとってみても、ソニーオリジナルのレンズを中心に、Gレンズ、ツァイスレンズという2ラインのレンズ群を揃え、あらゆるシチュエーションにおいて撮影者の要求に応えることができます。例えば、柔らかな描写や空気感、ぼけ味まで表現したいときは大口径のGレンズ、カッチリした画が好みなら、収差補正に優れ、画像のすみずみまでシャープで高コントラストなツァイスレンズというように、被写体や撮影テーマ、欲しい絵に応じて使い分けができます。これらのレンズ群のデザインも、統一されたデザイン言語を持ちながら、それぞれのラインのキャラクターに合わせて微妙に味付けを変えていきます。
川鯉: つまり、αを通じて私たちが提供していくのは、カメラとレンズが一体になる事によって得られる体験なのです。だからこそ、私たちは、シンボルマークなどではなく、レンズ交換という行為のその場にシナバーのリングを記号として置いているわけです。シナバーのリングは、これまでαシステムを愛用してきた人、これからαシステムを手にする人に、ずっと写真の楽しさを提供するというソニーの約束ともいえますね。