ワイヤレスLANの普及により、ユビキタスやネットワーク・コンピューティングの可能性が大きく広がりはじめました。コミュニケーションの世界も、もっと楽しいものへと変わるはず。そう提案するのが、パーソナルコミュニケーター“mylo”COM-1です。ここに登場する4人がデザインしたのは、プロダクトだけではなく、新しいコミュニケーション・スタイルそのものかも知れません。




田中:“mylo”は非常に刺激的な仕事でした。当初から「Skypeを使った新しいコミュニケーション・ツール」というテーマはありましたが、その他の仕様やアプリケーションなどについては、ほとんど白紙でのオーダー。せいぜい液晶ディスプレイとキーボードを搭載する、という程度です。どんなプロダクトにするか、デザインサイドが積極的に提案できる面白さがありました。
プロダクトデザインの担当として、私がまずイメージしたのは、コミュニケーションをイルミネーションの「光」で象徴させること。プロダクトのディスプレイを見れば通信状態はわかりますが、それだけでなく、「ワイヤレスLANでコミュニケーションを楽しんでいる」という状況を、プロダクトのデザインそのものに反映させたかったわけです。

とはいえ、その「光」が具体的にいつ、どう光るべきなのかは、まだ漠然としていました。そこで、GUIやインタラクションなど、デザイン分野の垣根を超えたチームをつくったんです。「この機能を盛り込めば、もっと楽しい」「そのためには、このアプリケーションが役に立つ」「ならば、こんなインタラクションはどうだろう」…それこそ毎日、みんなでアイデアを出し合いながら、新しいツールのあるべき姿を模索していきました。
デザインの分業ではなく、統合。要求仕様の具現化ではなく、商品企画そのものへの提案。こんな体制でデザイナーが商品開発にかかわれるなんて、この商品の開発をはじめた当時としては、ほとんど例のないことだったのではないでしょうか。私にしても、はじめてでしたから。でも、この体制でなければ、“mylo”の新しい発想は生まれなかったと思います。