
佐野:プロダクトのキャラクターをどう表現するか。カタチも大切ですが、個人的にはむしろカラーの力の方が大きいと思っています。そこで今回は、キーボードやボタンなどのカラーを徹底的に検討しました。何通りもCGでシミュレーションし、新しいカテゴリーにふさわしい新鮮さ、コミュニケーション・ツールらしい楽しさなどの観点で選んだのが、ホワイトとオレンジのコーディネイションです。

しかし、どんなに斬新なデザインや個性的なカラーでも、それがユーザーに伝わらなければ意味がありません。そこで、パッケージにもオレンジを大胆に使い、「オレンジといえば“mylo”」を強く印象づけるよう工夫しました。ご覧いただくとわかるのですが、画面の写真も入れ、主な機能が直感的に伝わるデザインになっています。
また、“mylo”はふたつの円をつなげたデザインがユニークです。これをアイコンとして積極的に活用しない手はありません。パッケージにはこの「∞」状の窓をあけ、プロダクトを見せると同時に、アイコンもアピールしています。もちろん、ロゴもこの丸みを活かしたデザインです。
今村:ふたつの円がつながったアイコンは、GUIにも取り入れてあります。データアクセスなどでよく時計のアイコンが使われますが、“mylo”では∞のアイコンがくるくる回るんですよ。
日本でもホットスポットなど、ワイヤレスLANが使える空間が拡大しつつあります。その環境があるかないかが、たとえば待ち合わせ場所の選び方も左右するようになれば、面白いですね。「あの店なら“mylo”が使える」という具合に。その店に入ると、みんな“mylo”を手にしている。エッジがオレンジ色に輝いている…つまりアドホック通信でみんながつながって、たとえば相手の端末の音楽をストリーミングで楽しんでいる。携帯電話やPDAのように、あるツールに単純にプレーヤー機能を「足し算」するのではなく、音楽でコミュニケーションが盛り上がる、そんな「掛け算」こそ、“mylo”の魅力だと思います。
久保田:“mylo”の内蔵メモリーは1GBです。音楽をたくさん持ち歩きたい人には、ちょっと物足りないスペックに思えるかも知れませんね。でも、アドホック通信で音楽を「共有」して楽しめますから、この容量でよしとしたんです。
このように、ワイヤレスLANを前提にすることで、“mylo”はとがった仕様に割り切れました。端末にデータを溜め込まないのがネットワーク・コンピューティングの基本。必要なデータやメールは適宜サーバーにアクセスしてチェックすればいいんです。この前提で新しいサービスや機能が次々と登場してくれば、コミュニケーションの世界がもっと刺激的になるんじゃないかと、期待しています。

