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Feature Design PCM-D1

愛着に応えるタフ・ボディをめざして

写真-岡広樹
写真-10円で削るPCM-D1

岡:PCM-D1を目にする機会があれば、ぜひ手にとってみてください。樹脂素材にはない温かみというか、独特の素材感があるのに気づいていただけるはずです。この外装、実はチタンなんです。とにかく長く使えて、使うほどに愛着が深まるのが理想。ぜひ採用したかった素材のひとつですが、固すぎて絞り加工が難しいのが課題だったんですよ。

それを克服できたのは、設計チームのおかげです。チタンの素材メーカーと成型加工業者、三社で試行錯誤を繰り返してくれました。金属組成から見直して1mm厚のチタンを深絞りできる新しい素材を共同開発し、やっと採用のめどが立ったんです。そこに、イオンプレーティングという特殊な表面処理を施して、さらに硬度を高めたのが、この外装。ちょっと10円玉でこすってみてください。遠慮せずに、ガシガシどうぞ(笑)。ほら、削れてしまうのは10円玉の方で、外装にはキズひとつつきませんよね。アウトドアでも、安心して使っていただけますよ。

このチタンプレートでマグネシウム合金を挟み込む構造にしたのは、音の共鳴を防ぐためです。ただ、金属素材どうしを組み合わせるとなると、その精度が問題になって、口でいうほど簡単じゃないんですよ。それを実現できたのは、設計者の努力の賜物です。デザイナー冥利につきますね。

開発陣の思いはディテールに宿る

写真-PCM-D1

岡:PCM-D1は、「音質と使いやすさを考えると録音機はこうなる」という見本です。このマイクユニットから専用の設計で、外装は真ちゅうの固まりを削りだし、メッキ加工しています。

マイクを保護するアーチ状のガードはステンレス製。宝飾品と同じ方法でろうづけし、研磨されています。まさに職人芸の世界ですよ。これも、画に描くのは簡単ですが、実際に設計してつくるのはとても難しいんです。「どうやって作るんだ?」と、設計者と一緒にあれこれ試行錯誤していたところ、ある女性エンジニアがブレスレットを作っているメーカーを探してきてくれました。「ここならできるかも!」と試作してもらったところ、非常に仕上がりが美しい。1.2mからの落下試験も見事にパスすることができました。

眼に入る部分だけじゃありません。ダイヤルやボタンも操作してみてください。片手で持ったときにワンハンドオペレーションできるデザインです。ボリュームのしっくりしたトルク感、ボタンもクリック感はあるけど「カチッ!」と音がしないものを選んであります。高性能なマイクがその音をひろってしまいますからね。同じ理由で、付属の三脚も、たたんだときにきれいな円柱状になるようデザインしました。ここを握って録音すれば、手と本体がこすれてノイズが発生するのを防げます。このアイデアはソニーのオリジナルですが、他社の録音機でも小型三脚をつけられるようにするところが出てきたようですね。

これらの音質への配慮や気持ちよい操作性をユーザーにも感じてもらい、使うほどに愛着を感じていただければうれしいですね。

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