子ども専用のテレビリモコンを作ってほしい。そんな声から、かわいい“キッズリモコン”が誕生しました。そこで活きたのは、これまでリモートコマンダー開発で培ってきたノウハウ、そしてユーザーを深く見つめる目。テレビリモコンの可能性の扉を、ソニーのデザイナーたちが開きます。



和田:“キッズリモコン”は、「親が子どもに安心して手渡せるテレビリモコンがほしい」という、ソニーUSAの依頼から生まれたプロダクトです。親が子どもに楽しんでよいと思うチャンネルを7つまで登録可能。それ以外のチャンネルの視聴を制限できるほか、子どもがうっかり録画番組を消去してしまうといった誤操作も防げます。もちろん、主要メーカーのテレビやセットトップボックスに対応が可能です。
このようなリモコンは、家電市場ではニッチなカテゴリーといえるかもしれません。しかし、その中でもソニーは、妥協することなく独自の価値を追求してきました。たとえばスピーカー付きリモコン(RM-PSZ30TV)。これは、テレビの音声を手元から聴くことができるため、耳が不自由でも周囲をはばかってテレビの音量を上げたくない方、またキッチンに立つ主婦などに好評です。インテリア性を重視するなら、“うつぶせリモコン(RM-PLZ510D)”があります。操作部を下にして置け、美しい背面が室内空間と調和するのが特徴です。さらに、「操作ボタンや文字が見えにくい」という方のために、ボタンの大きさや色のコントラストで視認性を高めた“大型ボタンリモコン(RM-PZ3D)”も用意しています。
数々のリモコンをデザインしてきた私たちですが、子ども専用リモコンを手がけるのは初めてのこと。それだけに、「子どもにとっての価値はどこにあるのか?」を把握するところから始めました。これまでと同様、独自のリサーチと発想力を活かせば、解答はきっと導けるはずです。そこで、まず子どもたちの身体やニーズを丁寧にリサーチし、ソニーらしい価値を合理的なカタチで具現化しようと考えました。
宮崎:プロダクトデザインにあたり、まず、検討すべき事項を「SIZE」「FORM」「COLOR」の3つに大別しました。子どもの小さな手に収まる、適度な大きさ。握りやすく、ボタンを押しやすい形状。さらに、色に関する認知の発達段階は子どもによって違いますから、ボタンの配色や形状にも配慮が必要です。
まずサイズ感を割り出すために、ターゲットの手の大きさを知ろうと考えました。ソニーUSAがリクエストした対象年齢は、2〜7歳。2歳と7歳では手の大きさがまるで違いますが、実質的にテレビリモコンを与えられるメインターゲットはおよそ4歳以降でしょう。また、4歳で使えるなら、それより大きい子どもには、なお使いやすいはずです。そこで、4歳児の平均的な手の大きさを様々な資料から探りました。
もともとソニーのリモコンは、握りやすい幅や厚みに設定されています。そのため、大人と子どもの手の大きさの比率によって、目指すサイズの目途が立てられるのです。私は、まずベースとなる幅を求め、リサーチによって適切なサイズを見極める、という手法を採りました。