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Feature Design Sound Entertainment Player Rolly
Feature Design Sound Entertainment Player Rolly

シンプルなカタチに込められたデザイン力

Sound Entertainment Player Rolly

森澤:“Rolly”の商品化に向け、インダストリアルデザインを任されたものの、最初は戸惑いました。タマゴ型というのは、デザインしようにも、どこから手をつけたらよいか“取っ掛かり”がありませんからね。そのうえコロコロ動くとくれば、重心が中心にある都合上、内部構造を左右対称にするという絶対的な制限があります。そのなかで何ができるか、何日も試作機を前に考えました。

まずは全体の印象からです。形状に細かくこだわり、ただの楕円球では感じさせられない雰囲気を作り出すことに注力しました。この楕円球は、実は複雑な複合カーブで構成されています。丸い中にも少し尖っている印象、たとえば、卵の尖った部分が持ち合わせているような有機的なラインをデザインしました。

そして何より動きを持った商品なので、その「動き」の演出も大切な要素になります。その結果、注目したのがアームの大きさです。ここが表現力を高めるポイントのひとつになっていると感じたからです。このアームをできるだけ大きくしたい。ところが、ここには問題がありました。内部の部品を露出してまでアームを大きくしたのですが、このスピーカーボックスが黒い機能部品だったんです。アームが開いてもタマゴ型の形状を守るため、私としては、ショルダー部からこのスピーカーボックスまでを同じ塗装でつなげたい。しかし、塗装をすると音質に影響が出てしまう。でも、どうしてもそこは譲れない。そこで、試作機段階で専用に開発していたスピーカーボックスを改めて設計してもらうこととなり、本体担当エンジニアと共に直接音響設計者に頭を下げに行ったのです。通常、機能部品はデザイナーがデザインできる部分ではありませんから、ベテランのエンジニアの方と直接相談しての作業になりました。最後にはデザインの意図を理解していただき、なんとか実現できました。

実物を見るとわかるのですが、ショルダーからハウジングまで同じカラーでつながり、アームが開いたときも楕円球の印象が崩れません。両端部はスッキリしていますが、音質を重視する上でスピーカーにグリルカバーをかぶせることはできません。このため、スピーカー外周部の形状を工夫し、スピーカーグリル無しでも楕円球を感じさせ、なおかつスピーカーが衝突に耐えられるように配慮しました。これらをデザイン的にクリアするのがとても難しかったですね。結果、閉じたときも開いたときも印象を崩さずにシンプルな楕円球を感じさせるものに仕上がりました。

“Rolly”、それは感情移入できるオーディオプレーヤー

Sound Entertainment Player Rolly

森澤:もうひとつ、光の演出にも工夫を加えました。フルカラーLEDをショルダーの内側に仕込んであるのですが、このデバイスが直接見えないようにショルダーとホイールの間隔をぎりぎりまで細くしています。正面から見ると、ごく薄い隙間から光がかすかに漏れている。斜めから見ると、ホイールの内側に反射した光があふれる。どこにデバイスがあるか、簡単に種明かしをしない仕掛けです。『不思議なモノ』だけに、『不思議な光りかた』がふさわしいですからね。

さらに、本体の外装は継ぎ目を減らすよう、上部のパーツをひとつのモールド品で成型。複雑な三次元曲面の形状だけに、“ウォークマン”などの他製品の経験をもとに、いろいろなアイデアを出して、高度な成型技術と設計で何とか実現してもらえました。

森澤 有人氏

従来のプロダクトであれば、設計担当者と相談しながら大まかな部品構成を決め、デザインを仕上げていけるのですが、今回ばかりはそれ以上に動きが加わるので、稼動部の多い部品をいかにシンプルな形状に作りこむかという部分で、それぞれの分野のエンジニアと直接話し、調整を繰り返して何とかカタチにできたというのが実感です。いつもと違うといえば、もうひとつ。こうやってデザインを煮詰め、動きをチェックしているうちに、どんどん“Rolly”に情が移っていくんですよ。ちょっと調子が悪いと担当者同士あわてて、「“Rolly”が熱を出したらしい」というように。プロダクトにこれほどペットのような愛着がわくのは、私としても初めての経験です。いろいろな意味で、これは「オーディオプレーヤーとユーザーの新しい関係を創る存在」なのかも知れませんね。

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