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新井:2009年モデルでは、その他にも、ユーザーインターフェースに新しい機能を追加しています。私が手がけたのは、自動電源ON/OFF機能※。これは、何時に電源が入り、切れるかを、曜日別に設定できるものです。たとえばリビングに置くなら、深夜に電源を入れておく必要はありません。オフィスのデスクに置くなら、週末は自動的に電源が切れた方がエコというものでしょう。省エネを意識しているユーザーには、親切で便利な機能だと思います。
特にXシリーズの場合、ハードウェアボタンで電源を操作できますから、こんな機能は不要だと感じるかもしれませんね。しかし、これは単なる省エネ機能ではなく、「一度切った電源を、また入れてもらえるかどうか」という疑問への回答なのです。デジタルフォトフレームはテレビやオーディオと違い、電源を入れるモチベーションを意識しにくいプロダクト。私にしても、毎朝わざわざ電源を入れるかどうか、怪しいところです。しかし、朝、目覚めたときにはもう画像が再生されていた方が、絶対にうれしいし、生活が少し楽しくなる。なかなか見るチャンスのなかった画像にふと気づいて、思い出がよみがえり、また写真を撮ろうという気持ちが刺激される。このさりげなさ、写真や思い出といっしょに暮らすという感覚こそ、自動電源ON/OFF機能の本当のメリットなんだと思います。
また、設定画面も縦位置表示に対応させました。壁から降ろして正位置にする、という煩わしさがありません。デジタルフォトフレームは、他のプロダクトのように頻繁に機能を設定するようなものではないでしょう。しかし、そんな数少ない機会にも使いやすさを感じられる、高い完成度を求めています。
※DPF-A72を除く
秋田:"S-Frame"はカラーバリエーションを用意しています。国内ではブラックとホワイト、ブラウン、海外ではこれにレッドを加えた4色展開です。いずれも室内に置いたとき、インテリアと調和する色を厳選しています。
オーソドックスな色ばかりですが、これには理由があります。実は"S-Frame"はギフトとしての需要がとても大きいのです。つまり、購入する方と使用する方が違うわけで、好みのはっきり分かれる色はどうしても敬遠されがち。色を検討する際、そこがいちばん気を使ったところでした。
とはいえ、選べる楽しさは必要です。そこで、ブラウンとレッドは、インテリアとの親和性を考慮しつつも、ユーザーの嗜好を加味したものとしています。また、これらは"Cyber-shot"と色を合わせてあり、「撮る」「見る」プロセスを好みの色で統一することが可能です。
どの色も、調色にはかなり気を配りました。何の努力もしないとベッタリした印象になってしまい、いかにも安っぽく見えてしまうからです。高級感のある深みと光沢のあるブラウン、レッド。白磁を思わせるホワイト。そんな仕上がりを目指し、色合いやバランスを調整しながら複数のコートを塗り重ねています。
石井:ギフト需要という話に関しては、ギフトボックスをコンセプトにしたパッケージも忘れるわけにはいきません。外箱を開けると、もうひとつの箱があらわれます。親しい人に贈る前に、あらかじめ写真を入れておけるようにとの配慮です。贈り手の気持ちがあらわれる部分ですから、中のクッション材も段ボールを組み合わせたチープなものではなく、再生材を着色し、成型したものを用意しました。
"S-Frame"を使ったり、人に贈ったりするとき、それはもう単なるモノではなくなっているんです。人によっては思い出であったり、あるいは感謝や励ましといった、言葉にできないメッセージだったり。私たちが本当にデザインしたかったのは、そんな目に見えないものだったのかもしれません。