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Feature Design Sony Tablet
[ 2011.9.15 up ]

固定観念の先にある価値

これまでのアイコンを振り切った意匠、ユーザーのインサイトに直結した操作性。ソニーのタブレット端末、満を持しての登場です。その背景には、タブレット端末の価値観を見つめ直した、多くのデザイナーのこだわりがありました。

清水 稔
清水 稔
ソニー(株)
クリエイティブセンター
統括課長
久保田 裕己
久保田 裕己
ソニー(株)
クリエイティブセンター
プロデューサー/デザイナー
荻下 直樹
荻下 直樹
ソニー(株)
クリエイティブセンター
デザイナー
坂田 純一郎
坂田 純一郎
ソニークリエイティブワークス(株)
アートディレクトター/デザイナー
高橋 一真
高橋 一真
ソニークリエイティブワークス(株)
インタラクションアーキテクト
深松 香苗
深松 香苗
ソニー(株)
クリエイティブセンター
プロデューサー/シニアデザイナー
市村 武士
市村 武士
ソニークリエイティブワークス(株)
デザイナー
小野 聖志
小野 聖志
ソニー(株)
クリエイティブセンター
プロデューサー

既製のアイコンを、疑う

清水:“Sony Tablet”は、単なるハードウェアではありません。触れるたびに得られる驚きや発見。充実したネットワークサービス。すべてが連鎖反応して生まれる、「体験」そのものです。それを具現化するため、多くのデザイナーたちが各分野からアプローチを試みました。

まずは、造形です。タブレット端末と聞くと、多くの人は板状の大画面を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、その他に造形の答えはないのか。私たちは、タブレット端末をゼロベースで検証することからスタートしました。

「持つ」という行為に注目しました。画面の大きいタブレット端末を、長時間、手のひらで支えて使うのは、相当に辛い行為です。そのストレスを、造形的な工夫で軽減できないか。私たちは、「持ちやすさという機能」を拠りどころに、タブレット端末の新しい姿を模索することにしました。

機能性と独創性の、偏重心デザイン

久保田:「見た目の薄さ」から「手にしたときの軽さ」へ、タブレット端末におけるデザインの価値観をシフトしたいと考えました。いくつものアイデアを用意し、モックアップで検証した結果、“Sony Tablet” Sシリーズに採用したのが、偏重心デザインです。

“Sony Tablet” Sシリーズを横から見ると、楔形をしています。これには、三つの合理的な理由があるのです。ひとつは、同じ重さでも、重心を手に近い位置に寄せるほど、体感的に軽くなること。もうひとつは、手に持つもつものとして適度な厚みがあった方が、握りやすいこと。フラットな造形になってしまうと「手のひらに載せる」「指で挟み込む」ことになり、余計に重さを感じてしまいます。しかし楔形では、重心が手の中に収まり、しかも本体が広い面で手にあたるため、荷重が分散されるのです。また、テーブルの上など平面の上に置いて楽しむ際にも、自然に角度が生まれ画面が見やすくなります。

この発想に至るまで、「人がコンテンツを楽しむシーン」をいくつも抽出しました。その中からモティーフに選んだのが、人が雑誌や文庫の表紙を折り返して持つ姿です。あれは、雑誌を支える煩わしさを軽減するため、またコンテンツに集中したいがため、多くの人が無意識にとる行為。何気ない日常の中にあるモティーフだからこそ、普遍性や必然性があると直感しました。

ただし、単純な楔形では、やはり最厚部のボリューム感が気になります。そこで視覚的に軽やかに見えるよう、紙が本体を包み込んでいるようなシルエットに仕立てました。この造形は機能面でも合理的。包み込んだ造形の内側にボタンや、端子類、スピーカーをレイアウトすることで見た目がシンプルになるのはもちろんのこと、ボタンの誤操作を防止する他、スピーカーの開口部も塞ぎにくくなります。手に持つことが前提のプロダクトだけに、このような配慮が使い心地に大きく影響するのです。

造形的にはアイコニックですが、装飾的な要素は微塵もありません。それは「タブレット端末における主役は、あくまでコンテンツであるべき」だからです。

タブレット端末初の2画面モデル

荻下:“Sony Tablet” Pシリーズは、5.5型のディスプレイをダブルで搭載した、ユニークなモデルです。“Sony Tablet” Sシリーズ以上にモビリティを重視したプロダクトだけに、携行性や持ちやすさ、軽やかさをテーマに造形を模索しました。

普通、二つ折りというと板を2枚重ねたクラムシェル形状が思い浮かびます。しかし、手に持つものとしてはあまり心地良いものではなく、筐体の厚みが見えてきます。そこからいかに離れ、ソニーのアイデンティティを表現するか。ヒントにしたのが、“Sony Tablet” Sシリーズの「包み込む」という造形言語でした。“Sony Tablet” Pシリーズでは、手になじむ楕円のシルエットを採用。本体をシルバーの紙で包み込んだようなイメージに仕立てています。しかし、単なる楕円では、やはり、どうしても厚ぼったい。そこで、微妙に曲率を変化させるなど、ディテールにこだわることで視覚的な軽快さを実現させました。

その楕円の塊を潔くカットすると、コンテンツに集中出来るシンプルなディスプレイがあらわれます。“Sony Tablet” Sシリーズ同様、ディスプレイ面にはボタンや印刷の類は入れていません。では、操作系やLEDはどこかというと、上下のカバーの合わせ目部分に、造形に馴染むよう配置してあるのです。ネジ穴も見せないなど、できるだけシームレスでミニマム、しかし印象的な造形を目指しました。

上の画面にコンテンツ、下の画面に操作系のUIを表示するなど、2画面を機能的に使い分けることが出来るのも、“Sony Tablet” Pシリーズならではのメリットです。

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