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Feature Design "Cyber-shot"DSC-W300
[ 2008.6.2 up ]

無垢な素材が放つ、本格派の風格

高画質と充実した機能、そして高品位なデザインの"サイバーショット"DSC-W300。スタンダードモデルというWシリーズのイメージ、さらには普及クラスのデジタルコンパクトカメラのクオリティ感を塗りかえ、注目を集めています。その誕生の背景には、ふたりのデザイナーのコラボレーションと、新しい素材や特殊コーティングを実用化した設計者たちの技術力がありました。

石井 大輔氏
石井 大輔
ソニー(株)
クリエイティブセンター
シニアプロデューサー
高木 紀明氏
高木 紀明
ソニー(株)
クリエイティブセンター
プロデューサー/シニアデザイナー

イミテーションでフラッグシップは語れない

石井 大輔氏

石井:本格派のカメラを誰にでも使いやすく。Wシリーズは、手にする人を選ばないオーソドックスなスタイルでありながら、写真愛好家やカメラファンの期待にもしっかり応える高画質と高機能が特徴です。そのフラッグシップモデルとなれば、親しみやすさと同時にカメラらしい佇まいや高級感も大切だと考えています。

私の担当した前機種のDSC-W200では、レンズの存在を強く主張するため、レンズリングに初めてアルミの鍛造を使い仕上げました。プラスチックのパーツにメッキを施した"イミテーション"とはちがう深い色合いや、見せかけだけでない無垢の素材がもつ上質さ。そこに、本格派のカメラを表現するにふさわしい価値を感じたからです。

今回のDSC-W300では、さらにそのコンセプトを発展させ、内部をダブルアルマイトのアルミ鍛造、その外側にジルコニアを採用したリングをレンズ周りに配置しました。これは、宝飾品や有名ブランドのジュエリーウォッチなどでも使われているハイテクセラミックです。ジルコニアの青みがかった独特の黒は素材そのものの色。研磨するほどに、ジルコニアは深い色と光沢を放つようになるんです。メッキでは出せない素材感や色、光沢で、レンズをさらに強調するのが狙い。また、その"研ぎ澄ます"という行為そのものにも意味があると考えました。

Feature Design "Cyber-shot"DSC-W300

高木: 実は、私たちは以前からジルコニアに注目していたんです。しかし、コスト的なハードルが非常に高い。何より、量産品のパーツとして使用するには、部品精度の問題がありました。ジルコニアは高温の炉で焼成するのですが、その過程で体積がぐんぐん小さくなっていくため、緻密な形成を行なうことが難しかったんです。 私も今から7、8年ほど前、ある案件でジルコニアを使おうと試み、実現できなかったことがあります。その頃からジルコニアは、ソニーでも多くのデザイナーや設計者たちが挑戦し、挫折を繰り返してきた素材。それが、技術の進歩によってやっと実用化できるようになったというわけです。

石井の基本コンセプトを引き継ぎ、私はさらにディテールの検討に取りかかりました。カメラにとって、シャッターボタンは最も重要なパーツのひとつ。ならば、ここにもジルコニアを採用したい。しかし、ただボタンをジルコニアにしただけでは、その価値が伝わりません。そこでジルコニアを宝石に見立て、シルバーのリングの中にボタンをあしらうことを思いつきました。ご覧になるとわかるのですが、ちょうど台座の上に宝石が乗っているイメージですね。

指の吸いつき感というか、しっとりした触感がメッキパーツとはちがうと私は思います。新しい素材の価値を、目だけでなく撮影のたびに指先でも楽しんでほしいところです。

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