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Vol.12 ソニーが考える未来の「オープンエネルギーシステム」

再生可能エネルギーの普及の要として注目を集める蓄電池。ソニーが2011年春、量産出荷を開始した拡張性の高い長寿命蓄電モジュールにも期待がかかります。マイクログリッドを視野に入れた実証実験が行われている現場に元ちとせさんが訪ねました。 取材協力/OIST(独立行政法人 沖縄科学技術研究基盤整備機構〈当時〉)

元ちとせさん
鹿児島県奄美大島出身。幼少の頃から三味線と島唄に親しむ。2002年に「ワダツミの木」でデビューし、ポップス界に衝撃をもたらす。2011年4月よりNHK BSプレミアム「Amazing Voice」で初MCを担当。2011年8月31日に3年ぶりとなるシングル「永遠(トワ)の調べ」をリリース。2児の母の顔も持ち、唯一無二の歌声と存在感を放つ日本を代表する女性シンガーの一人である。
オフィシャルサイト http://www.office-augusta.com/hajime/

神経科学や分子科学などさまざまな分野の教員のもとに世界中から学生が集まり最先端の研究が行われる沖縄科学技術大学院大学

緑が眩しい大学の中庭スペースで談笑する、ちとせさんと大学広報のニール・コルダーさん

再生可能エネルギーを誰もが使える未来、難しいことはわからないけど、すごいです

 「うわー。外国みたい。すごく立派な施設!」沖縄は恩納村の海を望む高台で、元ちとせさんが思わず上げた第一声です。そこには、施設建設が進むキャンパスがあります。名前は、沖縄科学技術大学院大学(OIST:Okinawa Institute of Science and Technology)。2012年9月の開学のあかつきには、神経科学や分子科学などさまざまな分野の教員のもとに世界中から学生が集まり最先端の研究が行われる施設となります。その一角で、ソニーの蓄電モジュールを使った「オープンエネルギーシステム」の実証実験が行われています。
「難しいことはわからないけど、なんだかすごいことを実験しているんだろうなという予感はします」と、大きな瞳をいたずらっぽく輝かせるちとせさん。それを受けて、実証実験責任者であるソニーコンピュータサイエンス研究所の山崎大介さんが解説をします。「ソニーが考えるオープンエネルギーシステムは、誰もが電気をつくって分け合える自由なエネルギーのネットワークシステムです。繰り返し使える充電池に充電をしてラジオを聴くのと同じように、太陽光発電や風力発電でつくった電気を蓄電モジュールにためて、その電気を大学の施設で使うための実証実験をしているんです。実際に、電気をつくって、ためて、使うという順で見て回りましょう」

大学の入口につづく通路の屋根に設置された風力発電機と太陽光パネル。合わせると、一般家庭の1日の平均消費電力量にも匹敵する12.2kWhの発電能力がある

蓄電システムの前に立つ、ちとせさんと山崎さん。箱の中は上から、縦に5つ並ぶ充放電ユニット、横に5つ重なる蓄電モジュール、インバータの順。実証実験のために、特別に開発した6kWhの容量の蓄電システム

電気をためて、効率的に使う。蓄電システムをソニーがつくるとこうなる

 最初は、エントランスに続く通路の屋根に設置された、風力発電機と太陽光パネルです。条件が良ければ、風車で2.2kWh、太陽光パネルで10kWhの電気を発電します。この日は程よく風も吹き、お天気も良い発電日和。くるくる回る風車を見て「いいなぁ。うちにも欲しいな」と、ちとせさん。「風車も太陽光も今日のような天気の時は多く発電しますが、残念ながら、余った電気は捨てるしかありません。それを、一度ためておいて後で使えるようにするのが、この蓄電システムです」。そう話しながら次に山崎さんが案内してくれたのは、今回の実証実験で設置している蓄電システムが置かれた場所。このシステムは2011年の春に業務用として発表した蓄電モジュール『IJ1001M』を利用して作り上げています。
 『IJ1001M』は1台あたり1.2kWhの容量を持ち、長寿命や高い安全性能、急速充電機能を装備。用途に合わせて電圧や容量の拡張ができ、業務用バックアップ電源や住宅用蓄電システムなど、広く活用できる汎用性の高さも特長です。今回の実験では、この製品を5台使い6kWhの容量の蓄電システムを特別に開発、また更なる備えとして2台用意し、計8.4kWhで実験しています。
「今では携帯電話やノートPCに当たり前に使われるリチウムイオン電池。その電池を20年前、世界で初めて商品化し、更に安全で長寿命な電池を生み出したのがソニー。こうした技術を活かし、電気をためるために特別に開発したのがこの蓄電モジュールです。蓄電池自体も、それを最適利用するシステムの構築もすべてソニーの技術なんですよ」と少し誇らしげな山崎さん。

業務用蓄電モジュール IJ1001M

大学の実証実験で使用されている、オリビン型リン酸鉄を用いたリチウムイオン二次電池搭載の1.2kWh蓄電モジュール。蓄電性能のほか、長寿命、高い安全性能、急速充電性能、そして高い拡張性を実現しています

たとえば、海外の無電化の町にこの蓄電システムがあれば、本当に便利ですよね

 実は山崎さん、2010 FIFAワールドカップ 南アフリカ大会開催時にガーナ北部の無電化村に飛び、今回の布石ともいえる実証実験を行っています。「電気が通っていない20カ所ほどの村々に、太陽光パネル、蓄電池、大型スクリーンなどを持ち込んで、昼間に蓄電し、夜にサッカーの試合を上映しました。テレビも見たことがない人が初めてハイビジョンを見たので、行く先々でそれは大変な反響でした。多い時は村をまたいで3,000人もの人が集まったほどです。再生可能エネルギーをためて使用できる蓄電システムの開発でひと時でも、人を幸せにすることができると実感した、モチベーションの高い仕事でした」と興奮気味に当時を振り返ります。この話に、ちとせさんも自らの体験を重ね合わせます。「海外に行くと電気のありがたさを実感することがあります。無電化の町もそうですが、電気は通っていても、電力不足や天候の関係で急に停電になったりする町もありますよね。そういう町にこの蓄電システムがあれば、本当に便利ですよね」

写真上はパブリックビューイングの様子。写真下は蓄電システムの開発メンバー

アフリカでも実施した
オープンエネルギーシステムの実証実験

ソニーでは、2010年5月14日から18日にかけ、ガーナ北部の無電化村にソーラーパネル、プロジェクター、蓄電池などを持ち込み、サッカーの試合のパブリックビューイング実証実験を行いました。ソーラーパネル4時間の充電で、2時間強の試合の上映を実施。無電化村におけるオープンエネルギーシステムコンセプトの有効性が実証できました。ソニーコンピュータサイエンス研究所とソニーエナジー・デバイスによる共同実験です。今後も、ソニーではオープンエネルギーシステムの研究開発を進めていきます。

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