2012年秋から中国、インド、中近東などの新興国向けに出荷されている32型液晶テレビ「KLV-32EX330」の重さはなんと、約4.7kg。片手で持てるくらいなのだ。常識破りの軽量化が可能になったのはなぜか。開発者に秘密を聞く。

2012年秋から中国、インド、中近東などの新興国向けに出荷されている32型液晶テレビ「KLV-32EX330」の重さはなんと、約4.7kg。片手で持てるくらいなのだ。常識破りの軽量化が可能になったのはなぜか。開発者に秘密を聞く。




担当者たちの多くの新しい試みで誕生した、新興国向け・液晶テレビ〈ブラビア〉KLV-32EX330
約4.7kg、2012年秋から新興国向けに出荷されているLEDバックライト採用の32型液晶テレビの重量である。その重さは従来機(※)の9.9kgに比べて、約半分にまで軽くなった。1年の違いとは思えない変わりようだ。材料/部品製造時におけるCO2排出量に換算すると、従来機(※)と比較し、約35%の削減となる。
このモデルの機構設計のリーダーを務めた羽深旅人は製品づくりがスタートしたその経緯を語る。
羽深旅人
ホームエンタテインメント&サウンド事業本部
TV事業部パネル・機構設計部
1年前に海外の設計拠点から帰任。その直後に検討がスタートした「KLV-32EX330」の機構設計のリーダーを務める
「新興国におけるテレビの需要もCCFLバックライトからLEDバックライトへ年々移行してきている。そのニーズに応え、お求めやすい価格帯を狙うこと。しかも、高画質、優れたデザイン性など、お客様の求めるソニーらしい製品づくりは諦めない。そんな大命題への解決策を検討しているうちに、究極の省資源に至ったんです」さらに、省資源の最大のポイントは「作りざま」だと明快に言う。
「液晶テレビのパネルモジュールは、液晶セルを金属性のトップシャーシとバックシャーシでカバーしたものをサプライヤーから入手するのが通例です。今回は、その常識を破り、ソニーの生産工場で液晶セルも含めたパネルモジュールの組み立て工程を取り込みました」
そして自前で組み立てることの効果はコスト削減だけにとどまらず、当初の予想を超える成果を生んだ。それが、軽量化やリサイクル性の向上だった。
羽深たちは、パネルモジュールから組み立てる設計を検討する中で、今まで気にしていなかったことが気になったという。
「金属フレームは、ほんとに必要なのかと」
従来のパネルモジュールは、液晶セルを前面と後面の金属シャーシで挟み込んでいる。
「しかし」と羽深たちは考えた。
「品質を確保できれば金属部品は不要なのではないか」
発想は単純ながら、液晶テレビの設計としては、ほぼ前例がない。部品一点一点を見直した結果、品質を保ちながら金属部品を極力なくし、プラスチックに置き換えるメドがついた。製品重量が約半分に軽量化されることで、輸送衝撃も半減することなどもプラスになった。
※ KDL-32EX420
液晶テレビは液晶セルや光学シートなどの平面パーツを重ねたものを、金属性のシャーシでカバーするような構造になっている。このパネルモジュール部分を中心に「KLV-32EX330」は構造そのものを見直して大幅に部品点数を減らした。さらには金属部品のほとんどを不要にし、品質を確保した上で、軽量化を実現した。
前面のフロントパネルから最後部の外装部品まですべての部品を並べても、ひと目で省資源されたことがわかる。液晶セルや光学シートなど液晶テレビの要となる部品を確実に固定するための工夫を重ねて、従来と変わらない品質を確保した。
LEDバックライトが並ぶ外装部品の内側。壁掛け用の金属パーツ以外、すべてプラスチック製。壁掛け用の金属パーツは、新興国市場では必須。最も強度が必要な部分だが、可能な限り短くしている。この長さで強度確保ができたのは軽量化の功績でもある。