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「環境負荷ゼロ」へ、挑戦者たちの仕事録

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Vol.09 ソニーが切り拓く、「グリーン熱」という新しい環境価値

ソニーは再生可能エネルギーの利用をさらに拡大すべく、2012年4月より「グリーン熱証書」の利用を開始し、国内最大規模の年間133,333GJ(ギガジュール)の「グリーン熱証書」を購入。これはCO2換算で年間約8,000トン相当の排出量削減効果があるといわれます。担当者らの特別対談を交え、その利用内容を紹介します。

今回の挑戦者たち
  • 竹村康広 ソニー総務センター ファシリティ部(取材当時)
  • 工藤拓毅さん グリーンエネルギー認証センター 副センター長
[特別対談] ソニーが積極的に導入を進めるグリーンエネルギー。本プロジェクトを担当した竹村康広さんと、グリーン熱証書の第三者認証機関であるグリーンエネルギー認証センターの工藤拓毅さんに、取り組みの意義や可能性を語ってもらいました。

グリーン熱証書は未開拓の分野、だからこそソニーがフロントランナーに

竹村 ソニーではこれまでもグリーン電力証書をはじめ、グリーン電力の利用を積極的に行ってきましたが、今回実現したグリーン熱証書では、証書化にあたっていろいろ動いているうちにすっかり工藤さんも巻き込んでしまいましたね。

工藤 エネルギー研究機関としての我々の第三者性を評価いただき感謝しています。日本では企業がアクションを起こす時、第三者が間に入るという仕組みが海外に比べて未成熟な部分がありますが、社会的信頼を得るには重要なポイントです。グリーン電力の証書化でも、社会への普及・牽引という点でソニーの存在は欠かせませんでした。今回導入したグリーン熱は未開拓な分野ですが、ポテンシャルの大きなエネルギーですから、フロントランナーとして期待しています。

竹村康広

ソニー総務センター
ファシリティ部(取材当時)

ソニーグループが省エネに加えて進めている、グリーンエネルギーの導入および利用促進を担当している。

竹村 とりわけ木質バイオマスには大きな広がりを感じますね。日本は国土の約7割が森林ですから、ここに経済性というドライブがかかれば利用価値は非常に高いと思っています。

工藤 一般的にはあまり知られていませんが、エネルギーとしての熱は世の中で想像以上に使われています。暮らしに身近な電気も元をたどれば熱を使って発電したものがほとんどです。熱をどうやってつくるかを考えると、木質バイオマスは重要なリソースのひとつだと思います。

竹村 そもそもグリーンエネルギーは実に多様で、地域特性など付随するものまで含めて「何が日本に向いているのか」を考えていく必要があります。資源として豊富な木質バイオマスは裾野が広く、地球温暖化防止はもちろん、生物多様性保全、さらには林業再生から地域活性化につなげることも不可能ではありません。今回のグリーン熱証書購入で、さまざまな切り口から複合的に応援できればと考えています。

「グリーン熱証書」とは?

バイオマス・太陽熱・雪氷熱など再生可能な原料をもとに発生する熱エネルギーを「グリーン熱」といいます。「グリーン熱証書」はこのグリーン熱の環境価値を証書化したものです。現状ではオフィスや家庭で消費するエネルギーの約60%が熱利用と考えられるため、近年この「グリーン熱証書」システムが大きな注目を集めています。

グリーン熱の種類 雪氷熱

雪や氷を冬場に保存しておき、その冷熱エネルギーを夏場の冷房などに利用する。2008年7月開催の洞爺湖サミットでも導入され注目を集めた。

太陽熱

太陽の熱を利用し、おもに給湯や暖房に使う。エネルギー変換効率が高く、比較的安価で導入できることから近年再注目されているエネルギーである。

バイオマス

木材などの生物体を直接燃焼、または発酵により発生するメタンガスなどを燃やすことで得られる熱をエネルギーとして活用する。

再生可能エネルギーの普及促進に企業の果たす役割は大きい

工藤拓毅さん

グリーンエネルギー認証センター
副センター長

エネルギー・環境問題に長年携わり、現在は、同センターで認証システムのデザインや運営を行う。

工藤 環境問題は、こっちを叩くとあっちが引っ込むでは困ります。その点でバイオマスの場合、効果を定量的に測ることは難しくても、可能性は非常に大きいですからね。2012年7月にスタートしたFIT(固定価格買取制度)も量の拡大という意味では貢献度の高い仕組みですが、その後の広がりは未知数。先のステップにどうやって進むかは、まさに需要家サイドが構築していくべき部分です。

竹村 震災以降、省エネについては社会全体で随分進んだように思います。ただコスト削減との絡みが大きかったので、次はもう一段上にある意識の改革やその啓発がカギになりますね。

工藤 難しいチャレンジになります。現在のようにスポットが当たったところに向かうだけでなく、本質的に日本がどういう方向に進むのかという将来像のつくり込みが必要です。かつて、日本人はここまで真剣にエネルギーについて考えたことはないはずです。知識や情報への感度は非常に高まっているので、次はそれを理解して判断するところまでの一貫した流れにいかに持っていくかでしょうね。

竹村 そうした場面で企業の果たす役割というのはとても大きいと認識しています。グリーンエネルギーの利用を通じて、ソニーとしても再生可能エネルギーの普及促進に貢献していきたいと考えています。

ソニーが購入した「グリーン熱証書」について

雪氷熱、太陽熱、バイオマス熱などの熱エネルギーがある中で、今回ソニーが日本自然エネルギーから購入したグリーン熱証書は、2007年よりグリーン電力証書の購入を続けている秋田県・能代バイオマス発電所で発電と同時に発生していたバイオマス熱(蒸気)を活用しています。購入数量は国内最大規模の年間133,333GJ(ギガジュール)。これは、CO2換算で年間約8,000トン、約1,650世帯分の排出量削減効果があるとされています。

※ 温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル(環境省・経済産業省/平成23年4月)の換算係数を使用

間伐材をチップ化

バイオマス発電・発熱の原料の一部は、地元の森林から切り出す秋田スギを中心とした間伐材。森から運び出された間伐材は、燃焼しやすいよう製材所でチップ化されます。

木質バイオマス発電所

間伐材などを木質バイオマス燃料としてボイラーで燃焼。その際に発生する蒸気の圧力を利用して発電を行い、また一部の蒸気はそのまま熱として利用。つくり出した電気や熱は、地元の工場等に送られ、エネルギーとして消費されます。

バイオマス発電、発熱がどうして環境にいいの?

木は光合成をすることで大気中のCO2を吸収し、成長していきます。そのため、木を燃やしてもライフサイクルで見た大気中のCO2濃度は変化しません。これをカーボンニュートラルといいます。木を燃やして発電するバイオマス発電は、資源を有効利用することができると同時に、カーボンニュートラルという特性から、環境保護とエネルギー確保を両立できるものとして注目されています。ソニーは、秋田県能代市以外にも北海道津別町、新潟県十日町市、静岡県においても木質バイオマスの利用拡大を支援しています。

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