Sony Design

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Feature Design

Smart Tennis Sensor

スポーツの体験に、
新しい楽しさをつくる

スイングの種別やボール速度などを瞬時に可視化するスマートテニスセンサー。
スポーツのユーザーエクスペリエンスをさらに高めるため、
最先端のテクノロジーとデザインの力によるソニーの新たな挑戦が始まります。

楽しいテニスを、もっと楽しくしたい

エレクトロニクスとスポーツ。全く異なるジャンルが結びつくことで、これまでにない体験を創出できないか。そんなソニーの新たなチャレンジは、テニス好きのエンジニアがつくった一つのプロトタイプから始まりました。ソニーが培ってきた独自の音解析技術を応用すれば、ボールを打つ際のインパクト位置を、ラケットから伝わる振動で読み取れるのではないかと試みたのです。「インパクト位置やスイング速度、ボールの速度や回転数など、自分のショットのデータがわかったら、テニスはもっと面白くなる。」感覚でしか分からなかったものをデータで見えるようにすれば、スポーツに新たな楽しさが生まれる。その可能性を信じて、プロジェクトがスタートしました。

テニスそのものは変えずに、より楽しくするにはどのような商品にするべきか。この難問に挑むために、テニス愛好者の商品企画、デザイナー、エンジニアでプロジェクトチームを発足。まず、プレーヤーが何を求めているかを考えました。見えてきたのはスポーツへの本質的な欲求です。プレーに没頭する「没入感」、上手くなりたいと思う「探究心」、仲間と喜びを分かち合う「共感」、そして夢中になれる「楽しさ」。この4つのキーワードを軸にしながら、ショットの可視化によって生まれるテニスの新しい体験を模索。「データを見ることで楽しみながら上達する」というテニスセンサーの基本コンセプトが生まれました。

テニスを愛する人に、
この体験を届けたい

テニスセンサーによるこの新しい体験をなんとかしてユーザーに届けたい。しかし、スポーツはソニーにとって未知の領域でした。そこで、ユーザーがこの商品をどのように知り、購入して、楽しんでいくのか、カスタマージャーニーマップを作成して細かく検証。さらに、そのストーリーを分かりやすくビジュアル化したコンセプトムービーを作成。テニスセンサーによって描かれる世界観を具体的に表現することで、社内のビジネス判断や、パートナー企業との合意形成につなげました。

テニスのことは
会議室にいても分からない

テニスのショットを可視化するというこれまでにない商品。開発は、すべてが手探りです。センサーはどのような形状がいいのか。どんな情報を、どう伝えたら、楽しく上達できるのか。しかし、会議室で考えていても答えはでません。そこでプロジェクトメンバーで実際にコートにでてフィールドテストを繰り返したり、テニスの愛好者やコーチに話を聞いたりとリサーチを重ねました。改めて確信したのは、テニスプレーヤーにとって「プレー」そのものが一番大事だということ。プレーをじゃませず、かつその場ですぐデータをプレーに生かせるものを目指すことにしました。

プレーをじゃましない

センサー開発の第一条件は、プレーをじゃましないことです。センサーを装着することでプレー感覚が変わってしまってはいけません。装着していることを感じさせない装着感を目指し、まずは設置場所を検討。ラケットのフレームやグリップなど、さまざまな候補からたどり着いたのが、スイングしたときに最も重さを感じさせないグリップエンドでした。さらに、センサーが簡単に外れないようエンジニアとデザイナーが一緒になって試行錯誤を繰り返し、取り付ける機構を工夫。プレーヘの影響を最小限に抑えるため小型・軽量化にも注力し、基板の配置を工夫することで、最終的に体積は開発当初の1/2、重さは約8gまで軽くしました。

またプレースタイルが人によって違うように、ラケットの握り方も人それぞれです。グリップの端を握る人でも違和感なくプレーできるように形状も工夫しました。握ったときに角が当たらないように丸みのあるフォルムにすることで、プレーの最中でもセンサーの存在を極力感じさせないようにしています。

プレーヤーへのやさしさも
忘れない

コート上を激しく動き、屋外の試合も多いテニス。選手の汗はもちろん、強い日射しや雨、コートの土ぼこりなど過酷な環境にも耐えられる耐久性がセンサーには求められます。そこで採用したのが、ゴムでセンサー全体を包む方法。これにより、ほこりや水滴が入らないようにしただけでなく、プレーヤーがグリップを握った際にセンサーに触れたときのやさしい触り心地を実現。フィールドに強い耐久性と、プレーヤーにやさしい感触を、ゴムで包むことで同時に実現しているのです。

またラケットをぶつけたり、落としたりしても簡単に外れず、ショットを正確に計測するために、小さなセンサーをラケットにしっかり固定する必要があります。しかし一方で、だれでも簡単に着脱できなければなりません。デザイナーが着目したのは、充電用のクレードル。レンチに似た機構をクレードルに取り入れることで、センサーにはめてひねるだけで簡単に着脱できるようにしました。

使っていて楽しい、それが大事

最先端のテクノロジーの固まりであるセンサー。使われるのがスポーツの場である以上、使っていて気分を盛り上げるものでなければなりません。見た目は大事なポイントです。アイコニックな形とともにこだわったのがカラー。コートのグリーン、ボールのイエローなど、テニスを象徴する色に配慮しながら、プレー中にしっかり映えるよう最終的に選んだのはアクティブオレンジです。色味が微細に異なるカラーチップでいくつも検討しながら、テニスの楽しさを表現したカラーに仕上げました。

小さなセンサーで、
テニスのストーリーが変わる

テニスは長い歴史を持つスポーツですが、この小さなセンサーが一つ加わるだけでストーリーが変わると思います。たとえば、これからは試合前に体調を整えたりガットをチェックしたりするだけでなく、データを分析し自分の課題を意識して試合に望んだり、試合後にはデータをもとに仲間と会話を楽しんだり。そういうテニスの新しいストーリーが始まると思います。

デザイナー 細田