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CLEFIA

 ソニーが2007年に発表した「CLEFIA」は、数多くのコンスーマー商品を生み出してきたソニーならではの「使いやすさ」を追求した暗号技術。2012年1月に国際標準規格に採択され、幅広い分野での利用が期待される。

従来にない暗号技術をめざし、開発プロジェクトをスタート

 「暗号技術」と聞いて、それをイメージするのは難しいかもしれない。しかしこの技術はWi-FiやICカードの情報保護、ブルーレイディスクのコピー防止、ネットショッピングの際に必要な認証システムなど、実は日常のあらゆるシーンで私たちの情報やコンテンツを守ってくれているのだ。
暗号技術とは?
安心してネットワークに接続するための機能の提供に役立つ技術。送られてきたデータを、鍵データと複雑に混ぜ合わせて暗号文データに変換する。用途は幅広く、FeliCa(非接触ICカード技術)を搭載した電子マネーカードや乗車カード、ネットショッピングの認証や、DVD、BDなどの著作権保護データの暗号化、情報漏えいを防ぐためのハードディスク暗号化、SSL、TLSなどのインターネット上のセキュア通信プロトコルなどにも活用されている。
  • ネットショッピング






たとえばネットショッピングの場合、住所やクレジットカード番号、注文内容などの顧客の個人情報は暗号化してネットショップへ送信され、第三者による情報の盗聴やなりすましを防いでいる。

  • 白井

白井 「暗号技術とは、デジタルデータを第三者が解読できないように複雑に変換する技術のこと。これまでもさまざまな暗号技術が開発され、適材適所で使われてきましたが、『CLEFIA』は『あらゆる面で従来を超える暗号技術を』というチームの思いが結実した新技術です」

 研究チーム発足は2000年のこと。ネットワーク時代を迎え、今後はセキュリティおよびそれを支える暗号技術が一層重要になるとの予見から、世の中に広く活用される暗号をつくりだすことを研究テーマの柱とした。


  • 渋谷

渋谷 「当時は時流もあり、家電メーカー各社が暗号技術を開発していましたが、『研究の余地は十分ある』と考え、どのタイミングで従来の暗号を超える技術を世に出すか、綿密に戦略を練っていきました」

 暗号にとって最も重要な安全性向上技術のアイデアが固まり、暗号の本格設計に必要な試作品の評価を実施後の2006年5月、正式に開発プロジェクトが始動。情報の受け手が解読のために必要なデータを「鍵」と呼ぶことから、フランス語の「Clef(鍵)」にちなんで「CLEFIA」と名付けられた。

安全性と高速性を両立させたバランスの良い暗号技術が誕生

 求めたのは何よりも“強い”暗号。ただ、安全性に執着してアルゴリズムを複雑にしすぎると、処理スピードが遅くなり実用性に欠けてしまう。最適なパフォーマンス実現のために、「高い安全性」と「より速く・使いやすく」という2つのバランスの追求が開発の肝となった。
  • 秋下

秋下 「暗号技術はメールソフトなどのソフトウェアとICカードなどのハードウェアで利用されていますが、安全性とスピードのバランスから、従来は同じ技術を双方で使用するのは困難でした。CLEFIAはどちらでも使用できるのが強みで、特にコンパクトなハードウェア実装に向いています。実装ではパーツごとに設計担当と試行錯誤を重ね、改良していきました」

 チームの粋を集めた暗号は2006年9月、海外の暗号研究者による第三者評価で高い安全性との評価を受けた。また、ソフトウェア実装では最高速レベルの速度を、ハードウェア実装でも小型実装においてAES(米国標準暗号)の2倍という従来にないレベルの性能を達成。“究極のバランス”を実現した暗号技術CLEFIAがこうして誕生した。

ソニーのカルチャーを継ぐCLEFIA、国際標準化で広がる可能性

 2007年に発表されたCLEFIAは、国際会議での審議を経て2012年1月、ISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議)で正式に国際標準化された。
  • 堅木

堅木 「高い信頼性と安心感を持って多くの人に利用していただくために、国際標準化をめざしました。また、国や公共機関などは、『国際標準の技術が搭載されているかどうか』を調達条件にする場合が多いので、ビジネスの面からもメリットがあると言えます」

 しかし、「ISO/IEC18033」という当初めざしていた暗号技術の規格は、すでに複数の技術が採択されており飽和状態。そこで、新たに発足した標準化プロジェクトチームでは、「ISO/IEC29192」という低消費電力で稼働する暗号技術の新たな国際規格を提案し、CLEFIAの国際標準化を狙っていった。

堅木 「新たな規格を立ち上げるわけですから、国内外から反対の声もありました。理解を得るためには暗号技術の専門知識はもちろん、周到な準備や交渉技術も欠かせません。標準化チームのメンバーになった当初は戸惑うこともありましたが、スピードも速く実装時のチップサイズも小さいというCLEFIAの強みが、何よりも強い説得材料になりました」

 「CLEFIAはソニーだからこそできた暗号技術」とはメンバー全員の声だ。

白井 「関わった誰もが“究極の小型・軽量”と“使う側の視点に立つ”というソニーのカルチャーを持って開発に臨んでいました。ソニーがネットワークビジネスに力を入れていくのと並行して、CLEFIAのような暗号技術の重要性が増していくと確信しています」

堅木 「国際標準化はCLEFIA普及の追い風になってくれると思います。幅広い商品・サービスを持つソニーならではのCLEFIAの活かし方を考え、普及させていきたいですね」

CLEFIAが守ることのできるさまざまな情報の例
  • メール、映像・音楽などのコンテンツ、防犯カメラ映像などのセキュリティ情報





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