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技術情報

“α” ボディ内手ブレ補正(デジタル一眼レフカメラ “α”)

 「もっときれいに写真をとりたい」というユーザーの要望に応えるための機能として広く浸透してきた手ブレ補正機能。レンズ交換が行える一眼レフカメラの手ブレ補正機構は、レンズ側に搭載されるものと、ボディ側に搭載されるものの2種類がある。ソニーのデジタル一眼レフカメラ“α”シリーズは、ボディ側に手ブレ補正機能を搭載。レンズ側に手ブレ補正機構を搭載していると、使うレンズによっては手ブレ補正が効かない場合もあるが、 “α”シリーズは「広角から望遠まで全てのレンズ」で、かつ「従来から所有している“α”レンズ」でも補正効果を発揮するのが特長だ。

イメージセンサーシフト方式

 デジタル一眼レフカメラの手ブレ補正方式には、イメージセンサーシフト方式と、レンズシフト方式の2種類がある(図1)。“α”はボディ内蔵のイメージセンサー自体を移動させて手ブレを補正するイメージセンサーシフト方式を採用。また、手ブレ補正を行うために必要な駆動量は、レンズごとに異なるため、制御の際にはレンズから焦点距離情報を受け取る必要があるが、“α”ではレンズとボディの間の接点により交信することで、ボディ内での補正制御が可能となっている。
  • 図1. イメージセンサーシフト方式とレンズシフト方式
    図1. イメージセンサーシフト方式とレンズシフト方式


  • イメージセンサーシフト方式
    手ブレにより生じるイメージセンサー上の被写体像のブレを打ち消す方向に、イメージセンサーをシフトすることにより手ブレ補正を行う。
  • レンズシフト方式
    手ブレにより生じる光軸のブレを打ち消す方向に、補正レンズをシフトすることにより手ブレ補正を行う。

手ブレ補正システム

 図2に手ブレ補正システムのブロック図を示す。“α”の手ブレ補正システムでは、マイコン(マイクロコンピューター)を用いて、制御(一定周期で以下の13に示す処理を繰り返すデジタルサーボ処理)を行う。

  • 1手ブレ検出部(角速度センサー)からの角速度信号を、アナログ信号処理回路で増幅し、制御マイコンでAD変換を行って取り込む。次に取り込んだ角速度信号に対して信号処理を行い、角速度をブレ角度に変換する。その後、交換レンズの焦点距離情報を用いて、ブレ角度をイメージセンサー面上でのブレ量に変換する。
  • 2位置検出部(イメージセンサーと一体的に移動する磁石と、それに対向して配置されているホールセンサー)からの現在位置信号を、アナログ信号処理回路で増幅し、制御マイコンでAD変換を行って取り込む。
  • 3ブレ量と現在位置から、イメージセンサーの必要移動量を算出し、その量に応じてアクチュエーターを駆動する。

  • 図2. 手ブレ補正システムブロック図
    図2. 手ブレ補正システムブロック図



手ブレ駆動に超音波リニアアクチュエーターを採用

 前述の通り、“α”はボディ内の撮像センサー自体を移動させて手ブレ補正を行うのが特長であるが、補正中に像面内や光軸方向のガタつきが発生すると補正性能を低下させてしまう。このため、補正駆動には撮像センサーをスムーズに動かすことができる超音波リニアアクチュエーターを採用している。

 超音波リニアアクチュエーターは電圧を変化させると伸縮する「圧電素子」、圧電素子に固定される「シャフト(駆動軸)」、そしてイメージセンサーが取り付けられている「スライダー」部からなる。スライダーは伸縮するシャフトと摩擦を利用して結合されているため、ガタつきのない駆動が可能となっている。圧電素子は、スライダーの「滑り」をコントロールするよう往復の速度差を適度に与えることでアクチュエーター部の往復運動をスライダー部の直進運動に変換している。
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  • APS-C用(“α700”)、フルサイズ用(“α900”)のアクチュエーター部

写真は実際のAPS-C用(“α700”)、フルサイズ用(“α900”)のアクチュエーター部を示している。“α900”ではフルサイズのイメージセンサーを駆動するためにAPS-C比べて約1.5倍の質量を十分に駆動することができるアクチュエーターを新規開発し、世界で唯一のボディ内蔵フルサイズ手ブレ補正機構付デジタルカメラを実現している。


手ブレ補正機構の構成

 実際の手ブレ補正ユニット内には、ピッチ、ヨーの2軸方向のブレを補正するため2組のアクチュエーターが配置される。図3に手ブレ補正機構の構成図を示す(フルサイズ用)。

 カメラ本体に取り付けるための台板上にはヨー側のアクチュエーターがあり、それを挟むようにスライダー、キャップ、ばねが組み込まれる。スライダーはヨー、ピッチ側用を一体としている。ピッチ側のアクチュエーターはイメージセンサーを固定するホルダーに組み込まれて、スライダーと結合する。従ってピッチ側アクチュエーターはカメラ本体から見れば自走することになる。

 また、手ブレ補正駆動時には台板上に配置された2軸のホールセンサー出力からイメージセンサーの位置を検出しており、角速度センサーにより検知される手ブレを打ち消す方向に制御される。

 この駆動基本構造は、イメージセンサーに対して駆動部のサイズが小さく、ガタつきのない高精度な駆動が可能である。
  • 図3. 手ブレ補正機構の構成図(フルサイズ用)
    図3. 手ブレ補正機構の構成図(フルサイズ用)



今後の技術展開

  • 手ブレ補正ユニット

 デジタル一眼レフカメラに対する「一層のコンパクト化」や「スタミナ(低消費電力化)」の要望に応えるため、ソニーは今後もイメージセンサーシフト方式の手ブレ補正機構を更に進化させるべく取り組んでいく。それにはアクチュエーター、デバイスの更なる低消費電力化や、メカ機構のコンパクト化、イメージセンサーの進化も欠かすことができない。ソニーは、これらの技術(機構メカ、制御デバイス、イメージセンサー)がすべて社内にある。こうした強みを生かし、さらに魅力的なデジタル一眼レフカメラの開発に取り組んでいく。





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