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技術情報

無水銀アルカリボタン電池(環境技術)

 電池には、使いきりタイプの一次電池(例:乾電池、ボタン形電池)、充電して何度でも使える二次電池(例:リチウムイオン電池)、太陽電池などの種類がある。そのうちボタン形電池については、電池内部で発生する水素ガスを抑制するための水銀が必要であり、技術的に無水銀化は非常に困難とされていた。しかし、水銀は誤った使い方をしたり不適切に廃棄された場合などは、環境や人体へ多大な悪影響を及ぼす可能性を否定できない。そこでソニーは、環境負荷低減に貢献すべく、ボタン形電池の無水銀化にいち早く取り組んできた。2004年に、ボタン形酸化銀電池を世界で初めて無水銀化。そして2009年、酸化銀電池よりも実現が難しいとされていた、アルカリボタン電池での無水銀化を独自の技術によって成功させた。

なぜ水銀が必要だったか

 ボタン形電池の主流であるボタン形酸化銀電池およびアルカリボタン電池は、どちらも負極材に亜鉛、電解液にアルカリ水溶液を利用している。ところが、負極材の亜鉛は、電池を使用していない状態でも電解液との腐食反応によって溶解するとともに、電解液が分解され水素ガスが発生するという問題がある。電池内部で水素ガスが発生すると、電池の内圧が上昇し、電池が膨れたり液漏れを引き起こす原因となる。一般的な乾電池は体積に余裕があるため、発生した水素ガスを外に逃がす安全弁を用意するなど、水素ガスに対する物理的な対策を施すことが可能。しかし、ボタン形電池は体積が小さいため、そのような物理的な対策を施すことが難しく、ごく少量の水素ガスの発生でも、電池の膨れや液漏れといった問題が引き起こされる。
  • なぜ水銀が必要だったか


 一般的に水銀は、不適切に廃棄された場合など、食物連鎖により環境や人体に深刻な影響を与える可能性があると指摘されている。しかし従来のボタン形電池では、やむを得ず亜鉛の腐食反応を抑える効果のある水銀を負極材に添加することによって、水素ガスの発生を抑制してきた。
2008年に施行された欧州の新電池指令でも、電池における水銀の使用が厳しく制限されているが、ボタン形電池は無水銀化が困難という理由から、例外的にある程度の水銀の使用(含有量2%未満)が認められている状況だ。

ボタン形酸化銀電池の無水銀化

 2004年のボタン形酸化銀電池の無水銀化では、3つの技術を開発することで、水銀を添加せずに亜鉛の耐食性を高め、水素ガスの発生を大幅に抑制することに成功した。
  1. 耐腐食性が従来よりも約10倍優れる高性能亜鉛合金粉を負極材に採用
  2. 耐腐食性を約2倍に高める腐食抑制剤を負極材へ添加
  3. 内部電解液の漏出を抑えつつ亜鉛の腐食を抑制する集電体への防食処理
 上記3つの独自技術によって水素ガスの発生を大幅に抑制することで無水銀化に成功したが、実はもう一つ、正極である酸化銀が水素ガスを吸収する特性を持っていることも利用している。この事で、万が一水素ガスが発生したとしても酸化銀が吸収することで、有水銀時と同等以上の安全性を実現したのだった。

酸化銀電池の技術をベースに、アルカリボタン電池を無水銀化

 アルカリボタン電池には、酸化銀電池のように水素ガスを吸収してくれる物質が存在しないため、アルカリボタン電池の無水銀化は酸化銀電池以上に困難で、ほぼ実現不可能とされていた。ただ、アルカリボタン電池は酸化銀電池に比べて安価で、小型の電気機器やゲーム機、おもちゃなどで幅広く利用されており、一般の人はもちろん、子どもが手にする機会も多い。従って、アルカリボタン電池の無水銀化が、安全性を充分に配慮した上で実現できる事が一番望ましかった。

 ソニーは、アルカリボタン電池でも,酸化銀電池と同じように、万一発生する水素ガスが吸収できれば、安全な無水銀化が実現できると考え、優れた水素ガス吸収能力を有する材料の研究開発を積み重ねた。そして新たに独自の水素ガス吸収材を正極に配合、これに無水銀酸化銀電池で開発した3つの独自技術を組み合わせることによって、アルカリボタン電池でも有水銀の場合と同等以上の性能と安全性を確保した無水銀アルカリボタン電池の商品化に成功した。
  • 酸化銀電池の技術をベースに、アルカリボタン電池を無水銀化



今後の技術展開

 ソニーは、年間約3億個※1のアルカリボタン電池と酸化銀電池を販売しており、両電池をあわせると、年間約470kg、500mlペットボトル換算で約68本分の水銀を削減※2することが可能だ。ソニーは、今後も環境負荷低減に貢献すべく、有害物質の利用全廃を目標に、より一層の技術力の向上をめざしていく。

※1 2008年度ソニー製酸化銀電池(SR)とアルカリボタン電池(LR)の出荷実績より

※2 ソニー調べ


ソニーの電池無水銀の歩み

1977年 酸化銀電池生産開始
1978年 アルカリボタン電池生産開始
1982年 コイン形リチウム電池生産開始
1991年 無水銀マンガン乾電池生産開始
1992年 無水銀アルカリ乾電池生産開始
2004年 無水銀酸化銀電池開発発表
2005年 無水銀酸化銀電池生産開始
2009年 無水銀アルカリボタン電池開発発表・生産開始




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