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技術情報

アプリキャスト(ネットコンテンツ閲覧技術)

 インターネットの情報発信は主にPCなどのWebブラウザ向けに進化してきたが、近年ではWebサービスという形で、PCに限らず携帯電話やテレビなどのCE機器への情報発信する形も増えてきている。ソニーの液晶テレビ<ブラビア>に搭載されている「アプリキャスト」は、テレビを見ながら簡単にインターネット上のコンテンツやサービスを楽しめる環境を提供するソニーの新たな技術だ。

アプリキャストとは

 「アプリキャスト」とは、ソニーの液晶テレビ<ブラビア>に直接ウィジェットを配信するという世界初※1の技術。ウィジェットとは、スクリプト言語などで記述された小さなアプリケーションプログラムで、通常PCなどでは、デスクトップアクセサリなどの用途に使用されている。

 ウィジェットは、近年、主要なソフトベンダーやサービスプロバイダが相次いで同様の技術をリリースしたこともあり、特にPCの世界で大きな注目を集めている技術の一つである。同時にWeb2.0という言葉で表現されるような、より柔軟なウェブの活用のための、クライアントサイドの技術としても期待が高まっている。また、モバイル機器への採用事例など、コンスーマーエレクトロニクス機器の世界でも今後その柔軟性を活かした活用例が増えていくことが予想されている。

 ソニーのアプリキャストはこのようなウィジェットをサーバーから直接<ブラビア>にダウンロードし、実行している。

  • 図1 アプリキャスト



テレビを見ながらさまざまなネット情報を表示

 アプリキャストのウィジェットも他の多くのウィジェット技術と同様に、主にJavaScript※2で記述されたプログラムと、XML形式※3で記述されたレイアウト情報から構成されている。アプリキャスト搭載の<ブラビア>には、このウィジェットの実行環境が組み込まれており、サーバーからダウンロードされ実行されたウィジェットは、インターネット上の各種ウェブサービスと連携し、それぞれが独立した「アプリ(コンテンツ)」として情報やコンテンツを提供する。

 アプリはあらかじめ複数登録しておくことが可能である。アプリキャストを起動すると、<ブラビア>は2画面モードに切り替わり、左側の画面にテレビ放送などを表示する。同時に、登録されたそれぞれのアプリのウィジェットがサーバーからダウンロードされ、右側の画面に表示されるため、テレビを見ながらさまざまなネット情報を表示することが可能になっている。

 また、ウィジェットはアプリキャスト起動時にサーバーから動的にダウンロード・実行される。あらかじめプログラムをインストールする必要はなく、常に最新の情報をダウンロードできるので、バージョンや更新を気にする必要がない。

※2 Webブラウザなどでの利用に適した簡易プログラミング言語。
  Webページに、動きや対話性を付加することを目的に開発された。
※3 文書やデータの意味や構造を記述するためのマークアップ言語の一つ。



  • 図2 アプリキャストのしくみ



<ブラビア>の快適な操作を実現するウィジェット

リモコン操作
 各ウィジェットの表示レイアウトはXML形式で記述されている。アプリキャストのウィジェットではJavaScriptから、特定のリモコンキーからの信号を操作することができる。アプリキャストのウィジェットは<ブラビア>で使用されることを前提に設計されているため、リモコン操作だけで簡単に操作することが可能になっている。

3つのモード
 アプリキャストのウィジェットには3つのモードが存在する。ノーマルモードでは左側の画面に複数のウィジェットが同時に表示され、リモコンの上下キーで全体が上下にスクロールする。ノーマルモードでウィジェットを選択するとフォーカスモードになり、選ばれたウィジェットの操作が可能になる。さらに選択すると、選ばれたウィジェットだけが左側の画面いっぱいに表示されるアクティブモードになり、より多くの情報を表示することが可能になる。これらのモード遷移は各ウィジェットに共通で、アプリキャスト全体の統一した操作性を保っている。

アプリの選択と登録
 アプリはXMB(クロスメディアバー)に組み込まれたリストから簡単に選択し、登録することができる。<ブラビア>はインターネットに接続されていると、定期的にサーバーにリストの更新情報を確認し、最新アプリのリストをXMB中の「ネットワーク カテゴリー」に表示する。このリストにはソニーがあらかじめ認証試験を行い、一定の品質と安全性が確認されたアプリのみが掲載されている。

インターネット接続
 アプリキャストはHTTP (Webサーバーとクライアント(Webブラウザなど)がデータを送受信するのに使われるプロトコル)およびHTTPS(SSL(Secure Sockets Layer)という暗号化通信をHTTPに付加したもの)のみを使用して通信しているため、使用する際に特別な設定などが不要。<ブラビア>にはLAN接続端子があり、通常のインターネットブラウザを使用するための設定をすれば、自動的にXMBにアプリのリストが表示される。そこから、好みのアプリを選ぶだけで、すぐにアプリキャストが起動する。

アプリ設定
 アプリキャストでは、アプリ毎に設定項目を入力し、<ブラビア>の不揮発記憶領域に保存することが可能。これにより、アプリ毎のプレファレンスなどの項目を<ブラビア>の電源をオフした場合も記憶しておくことができる。

メモリ管理
 各ウィジェットには一定のメモリ領域が与えられ、その中で各ウィジェットのプログラムは動作する。こうすることで、複数のウィジェットが同時に実行された場合でも、テレビの基本機能に影響を与えることがない。

  • 図3 XMBのメニュー画面



サーバーとの通信システム

 複数のウィジェットはそれぞれ並行して動作しAjax(Asynchronous JavaScript + XML) ※4同等のXHR(XMLHttpRequest)APIを使った非同期HTTP通信を任意のサーバーと行い、XMLデータとして各種情報を取得する。既にWebサービスとして提供されているコンテンツの場合は、ウィジェットから比較的容易にアクセスできるので、既存のコンテンツを再利用した低コストでのアプリ作成が可能だ。

※4 Webブラウザに実装されているJavaScriptのHTTP通信機能を使ってWebページのリロードを
  伴わずにサーバーとXML形式のデータのやり取りを行なう処理方法



今後の技術展開

 <ブラビア>に標準搭載※5されているアプリキャストだが、今後は互換性に配慮しながら、さらにその機能が進化していく。同時にアプリキャストで提供されるコンテンツも、増加する予定だ。

※5 日本仕向けのみ。一部モデルを除く。






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