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技術情報

高品位難燃再生プラスチック“SoRPlas” 環境技術

 ソニーは、製造事業所で排出された廃プラスチックと、独自開発した硫黄系難燃剤を最適にブレンドすることで、高い再生材率を実現する難燃性再生プラスチック“SoRPlas (ソープラス、Sony Recycled Plastic)”を開発した。ソニーでは、従来から、デジタルスチルカメラなどへの再生プラスチック導入を順次進めてきたが、2011年3月に商品化した液晶テレビ<ブラビア>の前面フレーム(ベゼル)への“SoRPlas”採用では、世界で初めて再生材比率99%という、圧倒的な高再生材率を実現(※)。バージンプラスチックと従来の難燃剤を採用した従来品と比べ、プラスチック製造工程(輸送含む)でのCO2排出量を約8割削減できることが見込まれる(2011年2月現在)。

※一般に、現存の再生プラスチックは再生材使用比率が10〜30%のものが多く、残りは新しい材料が使われている

廃光ディスク・廃光学シート由来のプラスチック

 ソニーでは、液晶テレビを含む各種製品の筐体や部品に難燃性のポリカーボネイト(PC)樹脂を多用している。一方、CDやDVD、BDで代表される光ディスクや、液晶テレビ内部の光学拡散板(光学シート)にも透明のPC樹脂が使用されている。ソニーの光学シート製造事業所では、製造時に端材として廃シートが発生、また、光ディスク製造事業所では、検査工程などで除外された塗装膜付の廃光ディスクが発生する。前者はそのまま粉砕、後者は、粉砕したものを専門業者でケミカル洗浄して塗装膜を除去するといった工程を経て、透明な回収PC樹脂として再利用することが可能となる。

  • 製造事業所排出ポリカーボネイト(PC)樹脂
    製造事業所排出ポリカーボネイト(PC)樹脂



最適ブレンドによる“SoRPlas”の開発

 廃光ディスクや廃光学シートに使用されているPC樹脂は、難燃性が無いため燃えやすく、また、それぞれの樹脂物性も異なる。そこで、液晶テレビに必要とされる難燃性や樹脂物性(例えば、衝撃性や曲げ強度等)を有するプラスチックを得るためには、先ほどの回収PC樹脂や難燃剤等の各種原料を最適な比率でブレンドすることが必要となる。ソニーでは、廃光学シートや廃光ディスク由来の回収PC樹脂に各種添加剤を加えた場合の樹脂物性への影響について詳細なデータを蓄積している。これらデータを基に、製造事業所で得られた回収PC樹脂と難燃効果の高い、ソニー独自開発の硫黄系難燃剤を配合して開発されたのが難燃性再生プラスチック“SoRPlas”である。

  • 最適ブレンドによる“SoRPlas”の創製
    最適ブレンドによる“SoRPlas”の創製



独自開発した硫黄系難燃剤

 ソニーが独自開発した硫黄系難燃剤は、従来のリン系難燃剤や臭素系難燃剤の10分の1より少ない添加量で、PC樹脂を難燃化させることができる。この難燃剤が添加されたPC樹脂に火を付けると、難燃剤が触媒となってPC樹脂の分解を促進する。この時、二酸化炭素、つまり、不燃性ガスが発生して燃焼を抑制し、同時にPC樹脂内に気泡が生成して燃焼熱の伝導が抑制される。さらに、PC樹脂表面の接炎部に薄い炭素被膜(炭化層)が形成されることで外界の酸素と遮断され、最終的に燃焼が抑制される。以上のように、不燃性ガスの発生、断熱発泡層の形成、炭素被膜による外界との遮断による効果により、今回開発した難燃剤は極微量でPC樹脂を難燃化することが可能となる。

  • ソニー独自開発硫黄系難燃剤と難燃メカニズム
    ソニー独自開発硫黄系難燃剤と難燃メカニズム



“SoRPlas”の特長

 今回開発した“SoRPlas”は、従来のバージンプラスチック(リン系難燃PC/ABS樹脂)と比べ、製造工程(輸送含む)のCO2排出量を約1/5まで低減することができる。これは新開発の難燃剤が少量添加で済むため高比率の再生材含有量を達成できたことで、その結果石油由来のバージンプラスチックが大幅に削減できたことによるものだ。また、リサイクル性や耐久性、耐熱性、コストパフォーマンスの観点でも従来品より優れ、再生材比率99%(残りは難燃剤、顔料など)にもかかわらず成型後は無塗装でも優れた色艶を出すことができることなどから、従来の再生プラスチックのイメージを変える高品位な難燃性再生プラスチックと言える。

  • “SoRPlas”の特長
    “SoRPlas”の特長



今後の展開

 今回開発した“SoRPlas”は、液晶テレビの用途に合わせた再生プラスチックだが、ソニーではまだ数多くの製品にPC樹脂が使用されている。当然、これら製品に使用されているPC樹脂は、液晶テレビとは異なる特性(例えば、耐衝撃性や薄肉成形性等)が要求される。そのため今後は、各種製品に要求される樹脂特性を満たすことができる“SoRPlas”の開発を進めていくとともに、廃光ディスクや廃光学シート以外から回収されるPC樹脂(例えば、建設や自動車、食品産業等からの回収物)の有効利用技術についても検討を進めていく。

当技術に関わる情報


・プレスリリース

http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201102/11-0208/

・関連学会発表

稲垣靖史, 第17回ポリマー材料フォーラム, 208 (2008)、

“各種スルホン酸塩ポリマーのPC樹脂の燃焼性に及ぼす影響”

稲垣靖史, Polymer Preprints Japan, 57(2), 5333 (2008)、

“金属塩ポリマー型難燃剤の燃焼メカニズムの検討”

Inagaki, Y., EcoDesign2006 Asia Pacific Symposium, GM-6, (2006)、

“A new flame-retardant PC resin using waste plastic as a raw material”

Inagaki, Y., PACIFICHEM2005, Envirn. & Green Chem., 81, (2005)、

“A new flame-retardant PC resin using waste plastic as a raw material”

・学会関連URL

http://www.spsj.or.jp/koho/tohronkai/55.htm

http://www.spsj.or.jp/koho/pmf/16.htm






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