植物原料プラスチックの素材となるポリ乳酸は、非常に燃えやすい素材である。実際にポリ乳酸を加熱すると、熱分解によって可燃性ガスが発生し、空気中の酸素と反応して簡単に燃え上がってしまう。そのため、ポリ乳酸を原料とした素材で難燃性を実現するには、難燃材が利用されることがある。しかし、それら難燃材の中には環境へのリスクが高く、人体にも安全とは言えないものもある。そこでソニーは、環境リスクが少なく人体にもより安全な難燃材として「水酸化アルミニウム」に着目した。
ポリ乳酸に水酸化アルミニウムを配合することによる難燃のメカニズムは、図2の通り。
- 水酸化アルミニウムが無機フィラーとして働き、熱を加えても可燃性ガスが発生しづらくなる。
- 水酸化アルミニウムは、200度を超える熱が加わると脱水分解が起こり、同時に熱を吸収するという特性がある。
- 水酸化アルミニウムが加水分解して生成されるアルミナ(酸化アルミニウム)は熱に非常に強い物質で、素材を覆って酸素を遮断する被覆としての役割を果たす。
水酸化アルミニウムの配合によって可燃性ガスの発生抑制、水酸化アルミニウムの脱水分解による熱の吸収と水の発生、アルミナでの被覆による酸素遮断効果という3重の効果が得られることで、優れた難燃性が実現されているのだ。