ページの先頭ヘッダーをスキップし、本文へ

make.believe Special site

Japan

本文の開始
コンテンツメニューをスキップし、コンテンツの開始へ

技術情報

植物原料プラスチック

 ソニーは、環境問題への取り組みの一環としていち早く植物由来原料に注目し、植物由来原料をベースとした、耐久消費財に利用可能な難燃性や耐久性を持つ「植物原料プラスチック」を開発した。植物原料プラスチックは、一般のプラスチックと比較すると、石油資源の使用量削減、温室効果ガスの排出を抑制、多様な使用後の処理が可能な点で、環境面に優れている。

植物原料プラスチックとは

 「植物原料プラスチック」は、トウモロコシやいも類など、植物を原料としてつくられるプラスチックのこと。トウモロコシなどに含まれるデンプンを原料としてつくられるポリマー「ポリ乳酸」は、容易に生分解される性質があり、当初は手術用の縫合糸などに利用される「生分解性プラスチック」が主な応用例だった。また、燃えやすくもろいという性質のために、耐久消費財への応用は難しかった。しかしソニーは、ポリ乳酸に無機系化合物などの独自に研究・開発した添加剤を配合することで、石油原料の一般的なプラスチックと同等もしくはそれを凌ぐ難燃性および強度を持つ植物原料プラスチックを開発。2002年にウォークマン(WM-FX202/WM-EC1)の畛体に植物原料プラスチックを初めて採用した。その後も、AIBOやDVDプレーヤー、VAIO、携帯電話、非接触ICカード、製品のブリスターパッケージ(商品の梱包に使われる透明なパッケージ)などで植物原料プラスチックを採用している。

  • 図1 製品への応用
    図1 製品への応用



難燃性の実現

 植物原料プラスチックの素材となるポリ乳酸は、非常に燃えやすい素材である。実際にポリ乳酸を加熱すると、熱分解によって可燃性ガスが発生し、空気中の酸素と反応して簡単に燃え上がってしまう。そのため、ポリ乳酸を原料とした素材で難燃性を実現するには、難燃材が利用されることがある。しかし、それら難燃材の中には環境へのリスクが高く、人体にも安全とは言えないものもある。そこでソニーは、環境リスクが少なく人体にもより安全な難燃材として「水酸化アルミニウム」に着目した。

 ポリ乳酸に水酸化アルミニウムを配合することによる難燃のメカニズムは、図2の通り。
  1. 水酸化アルミニウムが無機フィラーとして働き、熱を加えても可燃性ガスが発生しづらくなる。
  2. 水酸化アルミニウムは、200度を超える熱が加わると脱水分解が起こり、同時に熱を吸収するという特性がある。
  3. 水酸化アルミニウムが加水分解して生成されるアルミナ(酸化アルミニウム)は熱に非常に強い物質で、素材を覆って酸素を遮断する被覆としての役割を果たす。
    水酸化アルミニウムの配合によって可燃性ガスの発生抑制、水酸化アルミニウムの脱水分解による熱の吸収と水の発生、アルミナでの被覆による酸素遮断効果という3重の効果が得られることで、優れた難燃性が実現されているのだ。

  • 図2 燃焼メカニズム
    図2 燃焼メカニズム



ゴム成分の添加による耐久性の確保

 ポリ乳酸に水酸化アルミニウムを加えることで難燃性は高まる。しかし、こうした素材が加わることで強度が落ち、耐久性が損なわれてしまう。そこで植物原料プラスチックでは、「ゴム成分」という素材を添加することで強度を高めている。ゴム成分は弾性に優れる素材で、これを加えることでポリ乳酸に粘りが加わり、衝撃に対する耐性が高くなる。ゴム成分は比較的燃えやすい素材ではあるが、ソニーは難燃材とのバランスを工夫したり、ゴム成分の素材の選別によって、難燃性を損なうことなく強度を高めることに成功した。また、このゴム成分にも植物由来素材が採用されており、環境への配慮がなされている。

顔料素材の添加で優れた成形性を実現

 非結晶のポリ乳酸は60度以上で軟化してしまうが、結晶化したポリ乳酸は60度を超える温度でも軟化しづらくなる。そのため、ポリ乳酸を家電品に利用する場合には、耐熱性を実現するために結晶化という工程が不可欠となる。ただ、ポリ乳酸の結晶化には長時間かかるため、成形性(生産性)が劣るという欠点があった。しかしソニーは、銅フタロシアニンなどの顔料素材がポリ乳酸の結晶化を大幅に促進することを発見し、結晶化促進剤としてポリ乳酸に添加することによって、一般的なプラスチックと同等の約30秒という成形サイクルを実現することに成功。これによって、ソニーの植物原料プラスチックでは、一般的なプラスチックで利用される射出成形機を利用した短時間での成形が可能となり、生産性が大幅に向上した。
  • 図3 各成形サイクルでの成形品の比較
    図3 各成形サイクルでの成形品の比較



自然循環素材として理想的な素材

 植物原料プラスチックに含まれる炭素は、植物が大気中から吸収した二酸化炭素が原料となっている。そのため、万が一植物原料プラスチックを燃やしてしまったとしても、植物が大気中から固定化していた二酸化炭素を放出するだけであり、トータルのサイクルとして二酸化炭素を増やすことがなく、自然循環素材として非常に理想的な素材である。植物原料プラスチックの利用が広がれば、石油消費量の削減につながるのはもちろん、温室効果ガス排出量の削減にもつながる。

 植物原料プラスチックに添加されている水酸化アルミニウムは、歯磨き粉にも利用されている人体に安全な素材。また、その他の添加物も植物由来の原料を広く利用している。現在ソニーが開発し製品に採用している植物原料プラスチックは、植物由来度が55%となっている。今後もソニーは、率先して植物原料プラスチックの研究開発を進める一方、製品への採用も推し進めていく計画だ。
  • 図4 植物原料プラスチック循環図
    図4 植物原料プラスチック循環図






本文の終了フッターをスキップし、ページの終了へ
Copyright 2012 Sony Corporation
ページの終了ページの先頭に戻る