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Feature Design PIIQ & Jienne
Feature Design PIIQ & Jienne

ディテールに散りばめた物語

森澤:“PIIQ”は5モデルありますが、デザインの狙いはひとつ。いかにして「音を再生する機器」ではなく、「音楽を楽しむ体験」をデザインするかということでした。たとえば「髪が巻き込まれる」「耳から外れそう」「キズが付きそう」という心配事は、音楽を楽しむ行為とは真逆のベクトルです。これらを徹底的に排除しつつ、「これが自分のヘッドホン」という思い入れの要素をプラスする。そのため、従来のプロダクトデザインにはない、さまざまな試みを凝縮することになりました。

たとえば“PIIQ”のフラッグシップ、MDR-PQ1。ソニーとしてはじめて、ハウジングに布張りを採用しています。塗装ではキズが付くと価値が下がりますが、布なら使い込むことで味が出て、思い入れが生まれるからです。一方のスライダー部は、黒い塗装が削れると、ピンクの生地があらわれる仕掛け。アメリカの若者は、たとえばスケートボードを買うとまずキズをつけ使い込んだ感じを演出したり、キズの入り方でお互いの得意な技を判別したりします。そのスタイルを採り入れ、あえてキズがつきやすいようエンボス加工をほどこしました。「キズをつきにくくする」というプロダクトデザインのセオリーとは、まさに反対の発想と手法です。

MDR-PQ2は、布巻きのヘッドバンドと型押し成形のパッド、ゴム製ハンガーカバーのコンビネーション。スライダー部やメカ機構をカバーしているため、アフロやドレッドといったヘアスタイルでも髪を巻き込みません。MDR-PQ3はシンプルな造形。その造形とゴム素材のおかげでタフです。また、削れたり擦れたりしても、ゴムなら素材由来のことだから気にならないと目論見ました。

インナーイヤータイプは2モデル。MDR-PQ4はクリップタイプで、耳を挟み込むため逆立ちしても外れません。さらに装着しないときはシャツの襟やズボンに引っかけて、アクセサリーのように見せることもできます。このとき、左右を合わせると“PIIQ”ロゴがあらわれるという仕掛けです。MDR-PQ 5はオープンタイプ。音質調整のための穴を逆手にとり、低音ダクトの造形をガスマスクのようなアイコニックなデザインに仕立てました。

さらに、コード分岐パーツにPのワンポイントを押し出し形状であしらうほか、LRの表記もモデルごとにちがうフォント、処理を採用するなど、「使ってはじめてわかる」「気づいて思い入れがわく」要素を随所に散りばめています。

パッケージも「クール」でありたい

Zamani:パッケージデザインは、アメリカ側が手がけました。森澤のプロダクトデザインは、これまでのソニーのイメージとだいぶ異なっていて、クールでエネルギッシュ、かつ斬新。パッケージも既存のものとはちがう、新しいデザインにしたいと考えました。

パッケージの形状は、製品のフォルムや機能に基づいてデザインしたもの。“PIIQ”ロゴの扱い、テクスチャーやパターンも、同じ見栄えと印象になるよう配慮しています。それがブランドイメージを統一する要素だからです。こうして“PIIQ”の世界観を打ち出す一方、品質を保証する“Sony”ロゴはさりげなくあしらいました。

どのパッケージも、従来のソニー製品のパッケージに比べて若々しく明るい派手なデザインです。これは、ターゲットの若者に訴求すると同時に、店頭で他社よりも目立つためでもあります。さらに、インナーイヤータイプの2モデルについては、ボールチェーンを採用しました。パッケージデザインの世界でも、これは新しい試みのひとつです。通常、ヘッドホンのパッケージは、陳列棚の上に整然と並んでいるものですが、それではアクティブな感じがしませんし、ファッショナブルでもありません。その点、チェーンで下げたパッケージは45度に傾いているので、片ときもじっとしていない若者たちのイメージにぴったりです。

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