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Feature Design α380/330/230
[ 2009.7.30 up ]

カメラの価値を問い直す、新デザイン・スタンダード

デジタル一眼レフカメラが人気を集めています。エントリーモデルのキーワードは「小型」「簡単」。しかし、それでも「大きい」「難しい」という人々は少なくありません。これからのカメラは誰のために、どうあるべきか。新しい"α"は、写真文化に対する真摯な思いの結晶です。

高橋 正宏
高橋 正宏
ソニー(株)
クリエイティブセンター
シニアプロデューサー
隅井 徹
隅井 徹
ソニー(株)
クリエイティブセンター
シニアデザイナー
黒川 慎吾
黒川 慎吾
ソニークリエイティブワークス(株)
デザイナー
深松 香苗
深松 香苗
ソニー(株)
クリエイティブセンター
プロデューサー/シニアデザイナー

「不文律のデザイン」を疑う:コンセプト

高橋:2006年に生まれたソニーの"α"ブランドも、"α900"のリリースによって、いよいよフルラインアップの完成を見ました。次なるテーマは、"α"ならではの「新しい価値」をさらに高めた、第2世代の開発です。そのために、デザインにできることは何か。私たちは、今回のエントリーモデル群で、答えを示したいと考えました。

実のところ、エントリーモデルとはいえ、一眼レフカメラのあり方を変えていくのは、とても挑戦的で困難な試みといえます。歴史的に一眼レフカメラは、主にプロの報道カメラマンの厳しい要求に応え、進化してきたもの。そのため、デザインにも「プロユースゆえの不文律」が数多く存在しているからです。たとえば、グリップは「重い大口径レンズをつけてもラクにカメラが振れる大きさと造形」、主要なダイヤルやボタンは「ファインダーに目をつけたままでも操作できるレイアウトと形状」というように。プロ機材を生い立ちに持つ以上、エントリーモデルもその例外ではありません。

それは、カメラづくりにおける素晴らしい伝統です。また、このクラスが「プロのような作品を撮りたい」「写真を本格的に学びたい」人たちだけのものであった時代なら、そんなデザインが妥当だったことでしょう。しかし、今やカメラの普及とともに、マーケットの価値観もシフトしていると思うのです。人気のカメラ雑誌やブログを開くと、「狙い澄ましたワンショット」のほかに、スナップショットも多く見られるようになりました。特定の撮影テーマのためにテクニックを磨くというより、日常の切り取り方や画像の仕上げ方にカメラの楽しみを見出す人も、増えているようです。それらの作品は、「エントリーユーザーが一眼レフカメラを手にするモチベーション」が、ひと昔前とは変りつつあることを教えてくれています。

そんな新世代のマーケットに、もっとマッチするプロダクトを提案したい。「ボディが大きい」「操作が難しそう」と購入に踏み切れていない人たちの背中を、デザインの工夫でそっと後押ししてあげられたら。さまざまな調査と議論を重ねた結果、私たちはあえて不文律のデザインを離れ、「今のエントリーユーザー」が欲しいと思っているカメラのあり方を素直に形にしようと決心しました。それこそがカメラのデザインの原点であり、エントリーモデルの本来あるべき姿だと信じて。

「カメラらしさ」への回帰:基本造形

隅井:このモデルのテーマは、新しいマーケットが望む小型化・シンプル化。また、最近ではクラシカルなカメラをファッションとして楽しむ若い女性も増えています。そんな時代に、面を連続的につなげて、有機的なひとつの「かたまり」として表現する今日の一眼レフカメラの造形は、似つかわしくないようにも思いました。そこで私がモチーフに選んだのは、クラシカルなフィルムカメラ。誰もが「カメラらしさ」を感じる佇まい、簡潔で明快な操作部こそ、カメラ・デザインの基本だと思えたからです。

そのモチーフは、新モデルを上部から見れば一目瞭然。オーバル状の本体をレンズが貫通する、わかりやすい基本造形です。また、モードダイヤルさえも、このフォルムの中に自然と収まるよう配慮しました。「モードダイヤルは大きいほど使いやすい」と信じられている一眼レフカメラにあって、これは逆転の発想。エントリーユーザーの場合、液晶モニターを見ながら操作することが多いのですから、わざわざダイヤルをつまむことなく、カメラを両手でつかんだまま親指だけで回せた方が便利です。ならば、モードダイヤルの存在をあえて主張させる必然性はありません。むしろ、存在を目立たなくすることで、見た目にもやさしく、手に取りやすい表情をつくった方が理にかなっているという判断です。

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