Feature Design BRAVIA:X2500 Series
[ 2006.10.30 up ]

アイデンティティの復活と進化

画面の大型化が進む液晶テレビは、正面から見る姿のほとんどが液晶パネル。まさにデザイナー泣かせのプロダクトです。そこに、どうオリジナリティを加えるか。<ブラビア>X2500シリーズに、ひとつの答えを見ることができます。プラズマ<ベガ>で人々をあっといわせたフローティングデザインが、6色のカラーバリエーションを揃えてここに復活。その舞台裏には、テレビのデザイン・アイデンティティを求め続けたデザイナーたちの信念がありました。

写真-土屋雅義
土屋 雅義
ソニーデジタルデザイン
代表取締役社長
写真-新津琢也
新津 琢也
ソニー(株)
クリエイティブセンター
チーフアートディレクター

テレビデザイン、暗中模索からの脱却

土屋:私は当時ホームプロダクツのデザインを統括していたのですが、<ブラビア>X2500シリーズのデザインは、通常とまったく違うプロセスから生まれました。いつものデザイン開発はデザインチームで案を決め、設計や商品企画と相談し、さらに適宜トップの承認をとる、という流れです。それに対して今回は、まずデザインコンペを開催し、トップも含めた関係メンバーみんなが「このデザインを実現する」という意思を確認しあってから、設計に入っています。スタイリングのキーワードは「Minimal/Airily/Harmony」。コンペには内外の7人のデザイナーが参加しました。これだけ大掛かりなコンペは、プロダクトに関する限り、ソニーでもそう多くはないでしょうね。

というのも、当時、私たちは試行錯誤していたからです。いや、暗中模索といったほうが正しいでしょうか。液晶テレビの普及や低価格化など、環境が急激に変わる中で、テレビはどんどん没個性化しています。その中で、ソニーらしいアイデンティティをどう確立していけばいいのか。いろいろなデザインを試みましたが、確かな手応えは得られませんでした。

このジレンマを打開するための、デザインのプロセス改革です。メンバー全員で「デザインは何をメッセージとして伝えるべきか」「そのためには、ここまでやる」という目標を共有する。だから、「コストが大きいから」と否定するのではなく、「それをどう実現するか」とポジティブに発想できるようになる。みんなが選び、設計に着手したのが、新津の提案するフローティングデザインでした。

フローティングデザインの価値は色あせない

写真-新津琢也

新津:コンペの話を聞いたとき、すでに私の中に答えはあったんです。私にとってのテレビとは、窓枠を通して外界を眺める…そんな軽やかで透明感のあるイメージ。つまりはフローティングデザインで、手描きでスケッチすることもせず、いきなりポンポンとできてしまいました(笑)。2002年に手がけたプラズマ<ベガ>と同じデザインコンセプトですが、4年後の今、原点のイメージに純粋に立ち戻ってもう一度息吹を吹き込んでみたかったんです。

というのも、「これを超えるものはない」という信念がありましたから。もし、そんなアイデアがコンペで出てくれば、素直に降参するところですが、長年テレビのデザインをやっていると、まずないだろうということはわかるものなんです。

でも、一度は世に出したことのあるフローティングデザインだけに、それを進化させないと説得力がありません。そこで、同じインチ数でも液晶ならプラズマより小さくできること、ベゼルを変えられる…つまりカラーバリエーションの可能性があることをプレゼンテーションしました。そのときのデザイン案のタイトルは「Timeless」。次々と新商品があらわれては変わっていく家電業界ですが、「考え方は変わらない」ということを宣言したかったんです。

|1|23