Sense of Quartz
Sense of Quartz
[ 2013.5.1 up ]

モノが語り出す、圧倒的な体験

見るものを圧倒する美しい映像や、その場にいるかのような臨場感を、ひたむきに追求してきたソニーの〈ブラビア〉とホームオーディオ機器。その体験の素晴らしさを、もっとお客様に伝えるにはどうすればいいか。この本質的な課題を改めて見つめ直し、デザイナー達がたどり着いたコンセプト「Sense of Quartz」とは何なのか。そのすべてが語られます。

田幸
田幸
ソニー(株)クリエイティブセンター
チーフアートディレクター
横田
横田
ソニー(株)クリエイティブセンター
プロデューサー/デザイナー
桑尾
桑尾
ソニー(株)クリエイティブセンター
デザイナー
及川
及川
ソニー(株)クリエイティブセンター
プロデューサー/シニアデザイナー
近藤
近藤
ソニー(株)クリエイティブセンター
デザイナー
詫摩
詫摩
ソニー(株)クリエイティブセンター
チーフアートディレクター
鄭
ソニー(株)クリエイティブセンター
プロデューサー/デザイナー

〈ブラビア〉の価値を、モノそのもので語る

田幸

田幸: 〈ブラビア〉では前モデルまで「モノリシックデザイン」というコンセプトを掲げ、「一枚の板」という美しいテレビの佇まいを軸にデザインしてきました。このコンセプトを3年間続けてきて今回感じたことは、ミニマルを追求する「そぎ落とし」のデザイン手法だけでは新たな〈ブラビア〉の持つ本当の価値を伝えるのに限界がある、ということでした。では新たな〈ブラビア〉の価値とはなにか。それは、更に極限まで高められた画質と音質による圧倒的な体験です。この体験の質の高さをどのようにしてデザインで表現するかが今回のカギでした。

そもそも〈ブラビア〉は、最高の画質や音質を届けるために素材にかなりこだわって作られています。それは言い換えれば、優れた素材のひとつ一つが、質の高い体験に紐づいているということ。ならば、その素材の価値、質感の高さをデザインで適切に表現さえすれば、〈ブラビア〉の価値ももっと伝わるのではないか。そのことに気づいたとき、「素材表現そのものでバリューを語る」というデザインの方向性が見えてきました。

そこで改めて注目したのが、「モノリシックデザイン」より搭載されている液晶画面前面の「ガラス」です。高精度な貼合技術による前面のガラスは〈ブラビア〉の象徴であり、体験を高める重要なファクターです。それならば、このガラス自体をもっとデザインの軸として主張すべきではないかと考えました。これをきっかけに、ひとつ一つの素材ならではの表現や処理を生かしてデザインする、という基本コンセプトが固まりました。 最終的にはガラスだけでなく、ミラーやヘアラインなどの金属質感も含めることで、「ガラス板が金属リング上に浮遊し光のコアで結ばれる」「映像のガラスから削り出されて音が現れる」といった素材に紐付くストーリーに帰着し、新しいデザインコンセプト「Sense of Quartz」が生まれたのです。

「Quartz」という言葉の響きには、「精細感」や「明瞭感」などのイメージがあり、〈ブラビア〉が誇るピュアでクリアな画音質を想起させるワードとしてもぴったりでした。同時に「Quartz=鉱物」から連想される形や質感、輝きなどの要素を、テレビとしての価値に結びつける3つのKey Valueを設定。佇まいに関するものについては、一枚板や円、直方体など、シンプルな幾何学の組み合わせで力強い存在感を表現する「Distinctive Silhouette」。質感については、ガラスや金属らしさを様々な手法で表現する「Quartz Edge」。そして今回〈ブラビア〉の新たな試みとして採用された、光によるコミュニケーションを演出する「Intelligent Core」。これらのデザイン要素を組み合わせながら、全く新しい〈ブラビア〉は生み出されました。

どこから見ても美しい、一枚のガラス

Sense of Quartz - W950Aシリーズ

W950Aシリーズ

横田

横田:W950Aシリーズは、まさにガラスを削り出したかのような一枚の板にどれだけ見せられるかをテーマにデザインしています。そのため今回は正面の液晶画面だけでなく、背面にもガラスを使用しています。つまり液晶のセルをガラスでサンドイッチした構造になっているのです。両面をガラスにすることで構造体としての強度が保たれるだけでなく、今まで以上に平滑に仕上げることができます。また雑然として見えるケーブル類をすっきりと覆うため背面の基盤類を収めたパネルにカバーを取り付け、360°どこから見ても美しい佇まいを実現しました。

また、ガラスの一枚板に見せる工夫として、張り合わせた端面をアルミでぐるりと巻いています。さらにこのアルミは職人の手でバフ研磨したあと、アルマイト処理で着色し、ガラス板を側面から見た時のような厚みを感じる深いブルーグリーンに仕上げています。実際にやってみるとバフ研磨の精度や、ガラスのような色彩を出すのがとても難しく、最後まで微調整を重ねました。

もうひとつ、一枚のガラスを際立たせる工夫としてリングスタンドがあります。スタンドを板とは全く違う円形にすることで、まるでガラスの板が浮いているかのような佇まいを表現しています。このリングは実際には楕円ですが、造形や見せ方を工夫することで正円に見えるようにしています。またアルミをかぶせてヘアライン加工しているのですが、楕円の軌道に沿って加工するのが難しく相当苦労しましたね。

Sense of Quartz Sense of Quartz

今回初めて搭載した「Intelligent Core」も、一枚の板としての美しさをとことん追求して生まれたものです。テレビは本来コンテンツにいかに没入させるかがデザインの大前提ですが、今までのテレビの画面には、電源やタイマーなどの文字や、状態を表すパイロットランプなどの要素が多くありました。そこでこれらを極力排除し、最小限に抑えるために機能を一カ所に集約したのがこのコアです。その結果、基盤を減らすことができ、ディスプレイ下部の額縁もすっきりと薄くなり、純粋にガラスだけでできた一枚板に見せることができました。ただ、このコアは「一枚の板」と「リング」をデザイン的に結ぶ重要な要素でもあるので、そのバランスをとるために大きさは何案も検討しましたね。しかし苦労した甲斐もあり、実際にコアが輝くと下に光が落ちるので、ガラスの板が本当に浮いているようにも見えるのです。このようにW950Aシリーズではすべてにおいて、一枚のガラスの板としての佇まいが強調されるよう計算されているのです。

※W950Aシリーズは海外でのみの発売です。日本国内での発売予定はありません(2013年5月現在)

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