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Feature Design VAIO X Series
Feature Design VAIO X Series

曲面の反射光で描く、美しい個性

柘植:PCで約13.9mmといえば、相当な薄さです。しかし、単なる箱形状のままだと数字ほどには薄くは見えない、という問題がありました。まるでインパクトが感じられないのです。何らかの手法で薄さを表現したいのですが、当初、事業部から要求された外形寸法は縦横の余裕がまったくなく、私たちも手の打ちようがありません。

そこで、ふたつのモックアップを用意し、事業部のトップも含めたデザイン検討の場で是非を問うことにしました。ひとつは、ミニマムなサイズで箱形状のもの。もうひとつは、少しだけ縦横の余裕があれば挑戦したい、リジットアークデザインです。

森澤:薄く見せるための工夫のひとつに、端の部分を先細りさせ、メタリック調の帯で締めるという手法があります。効果は大きいのですが、あまりに一般的な手法のため、新鮮味がありません。何より、液晶部分を開いたとき、つまりユーザーがいちばん見にすることの多い面がすべてフラットになってしまい、面白くないと思いました。

その逆に、側面を彫り込むという手法もあります。いわゆるΣデザインですね。斜め方向から見ると2枚の板が宙に浮いたように見え、薄さを強調できます。これも良いアイデアですが、やはり開いたときの佇まいに不満がありました。外周部の削ぎ落とされた部分に光が反射したとき、逆に厚く見えてしまいます。

新しいテーマを見つけたい。試行錯誤で探しあてたのが、曲面でした。Σデザインと同じく側面を彫り込むのですが、それを単純な平面ではなく、曲面で造形するのがポイント。平面は面として光を反射しますが、曲面は細い一本のラインとして光を反射します。それが従来の手法より薄さをいっそう際立たせ、かつ新鮮なニュアンスを演出することにも結びつくのです。

この新しいフォルムは、リジットアークデザインと名付けられました。リジットというのは、この意匠が強度の向上にも貢献するためです。単純な平面の構成より、ねじれ強度が高くなります。13.9mmという薄さでは内部に構造材を入れることができませんから、あらゆる手段を尽くして強度を確保することが必要になります。その意味で、リジットアークデザインはこのモデルにとって、重要な機能でもあるわけです。

実は、この意匠は設計者にとっては歓迎できるものではありませんでした。アルミニウムを造形したとき、ねじれが生じる恐れがあったためです。その検証には時間が必要。スケジュールをとるか、デザインをとるか。最終的には、事業部も設計者もリジットアークデザインを支持してくれたおかげで、時間をかけてでも実現する方向で話をまとめることができました。

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