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Feature Design "Cyber-shot"DSC-W300
Feature Design "Cyber-shot"DSC-W300

"親しみやすい本格派"であるために

石井:私たちの配慮は、ディテールにも息づいています。例えばレンズリング。アルミ鍛造に2色のアルマイトで黒く染色した後に、シルバーの光沢面を作っています。"Carl Zeiss"のロゴは、レーザー彫刻です。クロノウォッチのベゼルのような精度感が出たと思います。カメラらしい密度感を追求した結果なのですが、それでいて男性的な雰囲気じゃないのは、高木の工夫が功を奏しているからなんですよ。

高木:基本的にWシリーズは、側面のシルバーの帯に凹状の曲面を採用してきました。シリーズを通してスクウェアな印象で統一されているのは、そのためです。しかし、DSC-W300だけは、逆に凸状の曲面を採用しています。おかげで全体のフォルムがやさしく、エレガントな雰囲気になり、しかもスリムに見えているはずです。

これは、生産技術の都合からいっても合理的なんですよ。ステンレスはアルミより硬いぶん、面と面のつながりをどうしても緩い曲率で、柔らかくデザインすることが必要になります。それならば、逆にステンレスならではの丸みを活かしてしまおうと考えたわけです。

エレガントなフォルムにすることで、高級素材であるジルコニアを使う意味や必然性もいっそう明確になります。これは、フラッグシップだから許された部分ですね。

コラボレーションが、デザインの可能性を拡大する

高木:内部でも、「どうやったら、これだけ多彩な素材や新しいコート技術を使えるのか?」と訊ねられることがあります。ひとつには、それはタイミングが良かったからなんですね。ジルコニアやチタンコートといった、以前から研究・開発してきたものが実用化できそうだという絶好のタイミングで、DSC-W300のプロジェクトが動きはじめたんです。

もうひとつの理由は、多くの人たちが思いを込めたからだと思います。私がひとりでわがままをいっても、周りの人たちは動いてくれません。私はアーティストではなく、組織の一員。みんなをうまくコラボレートさせることが自分の仕事だと考えています。そうすることで、シンプルだけど他にない外装が実現できる。沈動式カメラという慣れ親しんだ製品でも、新しい"顔つき"が生みだせるんです。

高木 紀明氏、石井 大輔氏

石井:こと外装となると、カメラの世界はちょっと特殊といえるかもしれません。素材の耐衝撃性、コートの耐久性などの基準が非常に厳しく、他のカテゴリーでは当たり前ことがカメラでは許されないということがよくあります。生産台数がケタ違いに大きいことも考慮しなければなりません。数円のコスト差が、何千万円、あるいはそれ以上になって跳ね返ってきますから。

そこでソニーでは、素材やコートなど、"サイバーショット"の外装をより魅力的にするための特殊プロジェクトチームをつくり、積極的に研究や開発を進めてきました。選ばれた設計者たちがいち早くノウハウを蓄積し、デザイナーの要求に対応できるように準備しているわけです。これは私たちデザイナーにとって大きな強みですね。

これまでWシリーズというと、「伝統的なカメラ」、「スタンダードモデルの代名詞」という印象があったかもしれません。しかし、これからはWシリーズこそ"サイバーショット"の顔になっていくと私は考えています。DSC-W300は、そのイメージリーダーであり、デザイナーにとっての宣言です。ソニーらしいシンプルさと、独自の素材や技術を駆使した新しい魅力を、どんどん提案していきたいですね。

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