イメージセンシングプロダクツ / Image Sensing Products

ソニーが永年培ってきた、世界に誇るイメージセンサーを搭載するISP製品はマシンビジョンの『機械の眼』として"正確"に「撮る」「録る」「捉える」を実現し、画像処理、検査、監視、ロボットなど、多様化する産業用、セキュリティ用ニーズにお応えするカメラです。多彩なラインアップは、さまざまなシーンへの展開をご提案します。

ソニー製グローバルシャッターCMOSセンサー搭載カメラ
開発者・商品企画担当者 インタビュー①

ソニー製グローバルシャッターCMOSセンサーを搭載したデジタルカメラが新たにラインアップに加わった。マシンビジョンなどの画像処理で求められる、高信頼性、高速、高感度のニーズにお応えする商品である。
お客様の価値を最大化する特長的な機能に関して、開発者および商品企画担当者に機能の原理や技術、導入時におけるメリットを聞いた。
今回より4回にわたってお届けする。第1回は「IEEE1588」をテーマにインタビューした。

インタビュー 開発者・企画担当者

キーワードは、「カメラのタイムスタンプ」「トリガー・外部制御」「カメラがマスターになる」 IEEE1588対応モデル XCG-CGシリーズ

IEEE1588概要・原理・技術

①タイムスタンプ

斎木:まず、IEEE1588の原理や技術について、設計担当より解説をお願いします。

頴川:IEEE1588は、Ethernetでつながれた機器間の高精度時刻同期プロトコル(Precision Time Protocol:PTP)を定めた規格です。
これにより、時刻の基準機であるグランドマスターとEthernetケーブルで接続されたカメラ間の高精度な時刻同期が実現できます。

辻永:カメラは電源投入と同時に固有のクロックをリセットし、タイムスタンプは非同期でカウントアップします。また、個々のカメラのタイムスタンプはクロックの周波数偏差により時間経過とともにずれていきます。
IEEE1588をサポートしたカメラは、グランドマスターと一定の周期で同期メッセージを交換し、その送受信時のタイムスタンプ情報を基に内部カウンターのずれを補正します。
その結果、カメラのタイムスタンプはグランドマスターに同期します。
IEEE1588のタイムスタンプは1970年1月1日0時0分を0とするエポックタイムのカウンターであり、その分解能は1ns(1GHz)です。

頴川:PLLのような仕組みとは異なり、フリーランで走っているカウンターは同期メッセージが交換されるたびに更新されます。グランドマスターの同期間隔を短くすることで、さらに同期精度が向上します。

斎木 嘉春 テクニカルサポート担当
斎木 嘉春
テクニカルサポート担当
頴川 聡 設計プロジェクトリーダー
頴川 聡
設計プロジェクトリーダー

②トリガー、GPO連携

辻永:ソニーのXCG-CGシリーズでは、この絶対時刻に同期して露光を開始するという機能を持たせました。
GigE Vision規格でIEEE1588の応用として定義されている機能にScheduled Action Commandというものがあります。
GigE Vision 1.2以前では、複数のカメラに対して1つの命令で同時に動作させることを目的としてAction Commandというのがありました。これはネットワーク伝搬遅延やファームウェア処理遅延など不確定な要素が多く、同時性を保証できるものではありませんでした。
それに対してGigE Vision 2.0で追加になったIEEE1588とAction Commandを組み合わせて、時刻を指定してそれぞれのカメラがアクションを実行するということが可能になりました。
XCG-CGシリーズではソフトウェアトリガーとIEEE1588同期開始時刻の設定のためにScheduled Action Commandが実装されています。
将来のバージョンアップでGPO(General Purpose Output)信号出力との同期にも対応する予定です。

辻永 雅人 ソフトウェア担当
辻永 雅人
ソフトウェア担当

IEEE1588の同期の仕組み

カメラの露光開始タイミング

③カメラのマスター化

瀬戸口:グランドマスターとなる機器は通常、別途用意する必要があります。専用の市販機器を使用する、あるいはLinux OSのPCを用意してフリーソフトのグランドマスターを走らせて代用することも可能です。

平:XCG-CGシリーズの将来のバージョンアップでは、IEEE1588のマスター機能を搭載することを検討しています。
カメラ自身がマスター機能を担うことで、グランドマスター機器を用意する必要がなくなり、カメラ間あるいはカメラと周辺機器の同期をとるという、シンプルな構成が実現できるようになります。

瀬戸口 淳 ハードウェア担当
瀬戸口 淳
ハードウェア担当
平 聡 ハードウェア担当
平 聡
ハードウェア担当

IEEE1588のユースケースとメリット

IEEE1588のユースケースとメリット

斎木:IEEE1588の具体的なユースケースやメリットについて、大きく3項目に分類して捉えているようですね。詳しく教えてください。

①事後解析の容易化

神戸:GigE VisionカメラへのIEEE1588の実装で、カメラはグランドマスタークロックに対して時刻同期するようになり、映像パケットに付加されるタイムスタンプは、絶対時刻を表示するようになります。
ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の1つのユースケースとして速度違反車両の検知があります。ある2地点間のタイムスタンプの差から、速度超過の可否が判断されますが、各地点で取得する画像の時刻が正確になることによって、高精度な速度解析が容易になります。
組み立て用途の産業用ロボットや各種検査装置においてもIEEE1588のタイムスタンプは有効です。画像処理、検査の結果に対し、画像に絶対時刻が付加されていれば、簡単に対象物を特定することが可能になります。

②画像処理システムの信頼性向上

能勢:組み立て・検査用途の産業用ロボットや装置では、ビジョンシステム導入にあたってその配線の取り回し(冗長性)が課題となります。長時間稼働することで配線は磨耗し、切断することがありシステム稼働率を低下させる原因となります。特にカメラ台数が増え、それぞれ同期させる場合さらに配線数が増えることになります。
XCG-CGシリーズでは、IEEE1588とScheduled Action Commandを介して、複数カメラの同期が可能です。加えてPoE(Power over Ethernet)にも対応しており、1本のケーブルで露光同期、映像出力、電源供給を行うことができます。これはシステムの信頼性向上におおいに貢献します。

PoE非対応 PoE対応

斎木:将来XCG-CGシリーズにマスター機能が搭載されれば、別に機器を準備する必要がなくなり、システムの簡素化が実現できますね。
今後、ネットワークを介してカメラのみならず照明などもIEEE1588に対応されると、ますますシンプルかつ、インテリジェントなシステム構築が実現可能となりますね。

③タクトタイムの削減

能勢:産業用ロボットや画像処理装置におけるトータルのタクトタイム短縮のために、画像の取り込みから周辺機器がアクションを開始するまでの時間をいかに短くするかが課題となります。
XCG-CGシリーズは、今後GPO(General Purpose Output)との連携も対応する予定です。これによりIEEE1588をサポートしない周辺機器に、時刻同期の動作を行わせることができるようになります。

神戸:たとえば、カメラ撮影からロボットによるワークのピッキング動作をカメラのGPOをロボットに繋げることで、カメラに対する画像取り込みとロボット動作の同期が可能になります。
さらに、多数カメラの同期が必要で、かつ一定の速度で検査対象が流れてくるボトル検査装置では、IEEE1588の高精度な時刻同期を使用したシステムと非常に親和性が良いと思いますね。

能勢 暁彦 商品企画担当
能勢 暁彦
商品企画担当
神戸 良 商品企画担当
神戸 良
商品企画担当

IEEE1588のユースケースとメリット
①事後解析の容易化 ②画像処理システムの信頼性向上 ③タクトタイムの削減

第2回 開発者・商品企画担当者インタビューは、「フレーム演算」を予定

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