フレーム演算
斎木:初めに、設計担当よりフレーム演算の技術について解説をお願いします。
平:XCL-SGシリーズは、撮影した画像を一旦カメラ内蔵のメモリーに格納し、複数枚の画像から1枚の画像を合成し、カメラから出力する機能を搭載しています。この機能をソニーでは「フレーム演算」と呼んでいます。フレーム演算には、複数枚の画像それぞれの撮影方法やその合成方法により以下の3つの機能があります。
①フレーム平均処理
平:複数枚の画像を同一の露光時間で撮影して、その平均を生成する方法です。あらかじめ指定された枚数分の露光を繰り返し、画像データをカメラ内部のメモリーで加算します。この加算中の画像はカメラからは出力せず、指定枚数分の加算が完了したら平均を算出し出力します。XCL-SGシリーズでは、平均する画像の枚数として2、4、8、16枚から選択できます。
②ワイドダイナミックレンジ
辻永:2枚の画像を異なる露光時間で撮影します。このとき、2枚目の露光時間は1枚目の16倍に固定されます。短時間露光画像の暗い部分の画素の情報を、長時間露光画像の明るい画像データに置き換えることで、暗部の階調分解能を向上することができます。XCL-SGシリーズの通常の出力ビット長は最大で12ビットですが、本モードを使用する場合のみ、出力ビット長を16ビットに設定することができます。
また、得られた16ビット長の画像から、17点近似により階調カーブを任意に変化させ、8ビットに圧縮された画像を出力することもできます。
③エリア露光
平:ワイドダイナミックレンジと同様に2枚の画像をそれぞれ異なる露光時間で撮影します。2つの露光時間はそれぞれ任意に設定可能です。2枚目の画像の任意矩形領域を1枚目の画像の同一領域の上に置き換えて1枚の画像として出力します。エリアは最大16か所指定できます。