イメージセンシングプロダクツ / Image Sensing Products

ソニーが永年培ってきた、世界に誇るイメージセンサーを搭載するISP製品はマシンビジョンの『機械の眼』として"正確"に「撮る」「録る」「捉える」を実現し、画像処理、検査、監視、ロボットなど、多様化する産業用、セキュリティ用ニーズにお応えするカメラです。多彩なラインアップは、さまざまなシーンへの展開をご提案します。

ソニー製グローバルシャッターCMOSセンサー搭載カメラ
開発者・商品企画担当者 インタビュー②

ソニー製グローバルシャッターCMOSセンサー搭載カメラの機能「フレーム演算」について、開発者および商品企画担当者に原理や技術、導入時におけるメリットをインタビューした。

インタビュー

キーワードは、「フレーム平均処理」「ワイドダイナミックレンジ」「エリア露光」 IEEE1588対応モデル XCG-CGシリーズ

フレーム演算の概要・原理・技術

フレーム演算

斎木:初めに、設計担当よりフレーム演算の技術について解説をお願いします。

平:XCL-SGシリーズは、撮影した画像を一旦カメラ内蔵のメモリーに格納し、複数枚の画像から1枚の画像を合成し、カメラから出力する機能を搭載しています。この機能をソニーでは「フレーム演算」と呼んでいます。フレーム演算には、複数枚の画像それぞれの撮影方法やその合成方法により以下の3つの機能があります。

①フレーム平均処理

平:複数枚の画像を同一の露光時間で撮影して、その平均を生成する方法です。あらかじめ指定された枚数分の露光を繰り返し、画像データをカメラ内部のメモリーで加算します。この加算中の画像はカメラからは出力せず、指定枚数分の加算が完了したら平均を算出し出力します。XCL-SGシリーズでは、平均する画像の枚数として2、4、8、16枚から選択できます。

フレーム平均処理

②ワイドダイナミックレンジ

辻永:2枚の画像を異なる露光時間で撮影します。このとき、2枚目の露光時間は1枚目の16倍に固定されます。短時間露光画像の暗い部分の画素の情報を、長時間露光画像の明るい画像データに置き換えることで、暗部の階調分解能を向上することができます。XCL-SGシリーズの通常の出力ビット長は最大で12ビットですが、本モードを使用する場合のみ、出力ビット長を16ビットに設定することができます。
また、得られた16ビット長の画像から、17点近似により階調カーブを任意に変化させ、8ビットに圧縮された画像を出力することもできます。

ワイドダイナミックレンジ

③エリア露光

平:ワイドダイナミックレンジと同様に2枚の画像をそれぞれ異なる露光時間で撮影します。2つの露光時間はそれぞれ任意に設定可能です。2枚目の画像の任意矩形領域を1枚目の画像の同一領域の上に置き換えて1枚の画像として出力します。エリアは最大16か所指定できます。

IEEE1588の同期の仕組み

斎木 嘉春 テクニカルサポート担当
斎木 嘉春
テクニカルサポート担当
平 聡 ハードウェア担当
平 聡
ハードウェア担当
辻永 雅人 ソフトウェア担当
辻永 雅人
ソフトウェア担当

エリアゲイン

頴川:1フレームの映像からエリア露光と似た効果を得られる機能として「エリアゲイン」があります。
画像中の最大16の任意矩形領域に、個別のゲイン(0~32倍)を設定する機能です。
エリア露光とエリアゲインにはその機能的な特長により、それぞれに有効なケースがあります。

頴川 聡 設計プロジェクトリーダー
頴川 聡
設計プロジェクトリーダー
  有効なケース 機能搭載機種
エリア露光 ① 一度の撮影では白飛びがあり、
その部分の露光量を抑制したい場合
② 露光を適正化しながらS/Nを確保したい場合

XCL-SGシリーズ

エリアゲイン

① 動く被写体を撮影する場合
(単一フレームに対する処理のため)
② 各領域の明るさを微調整したい場合
(エリアゲインは16領域に対し個別に設定可能)

XCL-SGシリーズ
XCG-CGシリーズ

IEEE1588の同期の仕組み

フレーム演算のユースケースとメリット

フレーム平均処理のユースケース

斎木:続いて、商品企画よりフレーム演算のメリットについてユースケースを交えて解説をお願いします。

能勢:微細な部品検査、位置決め機能がある装置では、ステージが高速に繰り返し移動しています。撮像を行うためにそのステージを止めたつもりでも、実際には微小な振動が発生しており、数μ単位の画素レベルでの分解能が求められる場合、カメラや対象物を揺らし、画像処理の結果に影響を及ぼします。こうした画像処理への悪影響を低減するために、フレーム平均処理が有効です。
また、カメラの設置環境温度の影響を受けて取得画像にランダムなノイズが発生してS/Nを悪化させ、画像処理結果に影響を及ぼすこともあります。このような場合にもフレームの平均処理が有効です。(下図参照)
Nフレームの画像を加算することによって、効果は√Nの効果があると言われています。すなわち4フレーム加算でノイズは半分に、16フレーム加算で1/4となる効果があります。

フレーム平均処理

能勢 暁彦 商品企画担当
能勢 暁彦
商品企画担当

フレーム平均処理のカメラ内蔵によるシステムメリット

神戸:フレーム平均処理は、カメラからの画像をPC上で溜めて、CPU/GPU(Graphics Processing Unit)にて処理されることが一般的です。しかしながら、カメラからの映像転送時間がネックになることや、CPU/GPUは画像認識などの他の処理も割り当てられるため処理スピードを圧迫します。他方で、処理スピードを改善するために、複数のCPU/GPUで分散処理を行うことやFPGA搭載の画像処理ボードを採用する例もありますが、これはシステムコストの上昇を招きます。それに対して、フレーム平均処理など一部前処理を、カメラで行わせることで、カメラからの映像転送時間を短縮し、かつCPU/GPUの負荷を抑え、システム全体としての処理スピードを速めることが可能となり、お客様のシステムパフォーマンス向上に貢献します。

神戸 良 商品企画担当
神戸 良
商品企画担当

ワイドダイナミックレンジのユースケース

神戸:次に、基板検査やナンバープレート認識などのITS(Intelligent Transportation System)といった視野角に低輝度や高輝度な複数の対象物が映り込むユースケースを考えてみたいと思います。基板検査では、反射率の異なる部品が同一視野角に存在し、コントラスト差が大きいため反射率の低い部品に合わせて明るさの調整を行うと、他方の部品が白飛びしてしまい、検査に有効な画像が一回の撮影では得られないといった課題が生じます。また、ITSにおいても、明るいヘッドライトと、その中心に位置する暗いナンバープレートや車内の画像を取得する場合に同様の問題が生じます。こうした、高いコントラスト差によって生じる課題を解決するために、露光時間の異なる2枚の画像を合成することで視認性の高い画像を取得することが可能になります。

ワイドダイナミックレンジのカメラ内蔵によるシステムメリット

能勢:高いコントラストによる視認性課題に対して、その解決策として複数の照明をさまざまな角度からあてるケースがありますが、単一照明使用システムに比較してコストが高くなるとともに、ノウハウが求められる照明は導入・運用・保守の点でもコストがかさむこととなります。これに対し、カメラ内画像処理で対応出来れば、手間をかけることなく、システムコストを抑えながら、この課題を解決することが可能となります。

フレーム演算のメリット
① フレーム平均処理のカメラ内蔵によるシステムメリット
② ワイドダイナミックレンジのカメラ内蔵によるシステムメリット

第3回 開発者・商品企画担当者インタビューは、「信頼性」を予定

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