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Life Space UX ニュース

空間そのものを活用して体験を創出する「Life Space UX」。
ソニーはさまざまな活動を通して、その体験の場を提供しています。

Life Space UX

Life Story event report : 1 ― ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律

[ Report ] 2015.11.05
アルマ望遠鏡
©ESO/C. Malin

こんにちは、ライターの宮越です。10月2日(金) - 11月3日(火)、六本木のアクシスビル1階 リビング・モティーフにて展覧会「Life Story 日常を豊かに変えるLife Space UXのある生活」が開催されました。

会場の様子
©shuntaro(bird+insect)

会場では、リビング・モティーフの素敵なインテリアの中に4K超短焦点プロジェクターやLED電球スピーカー、ポータブル超短焦点プロジェクター、シンフォニックライトスピーカーが配され、Life Space UXの世界観を体験できるようになっていました。

さらに本展覧会では、さまざまジャンルのゲストを招き、5つのコラボレーションイベントも開催されました。
10月8日(木)は、アルマ望遠鏡プロジェクトの皆さんをお招きし、記念すべき第1回目となるイベント「ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律」を開催。ここでは、この日のイベントレポートをお届けしていきたいと思います。

アルマ望遠鏡プロジェクトとは?

南米チリ標高5000mの砂漠に建設された、日本をはじめ世界21か国が共同運用する、史上最大規模の高性能電波望遠鏡「アルマ望遠鏡」。アルマ望遠鏡プロジェクトは、国立天文台とエピファニーワークス、PARTY、Qosmoにより、この望遠鏡の魅力を広めるために立ち上げられたプロジェクト。2012年にアルマ望遠鏡がとらえた「ちょうこくしつ座R星」の電波データをオルゴール盤に置き換え、70種類のメロディと映像が体験できるインスタレーション「ALMA MUSIC BOX」を発表。2015年、同作が世界最高峰のクリエイティブ賞「D&AD賞」のデジタルデザイン部門に入賞。2015年秋にはALMA MUSIC BOXのメロディをもとに音楽アルバム「MUSIC FOR A DYING STAR」を発売しました。

4K映像で見る、ALMAがとらえた宇宙

イベントがスタート

当日、会場にアルマ望遠鏡プロジェクトの平松正顕さん(国立天文台)、クリエイティブディレクターの川村真司さん(PARTY)、プロデューサーの林口砂里さん(エピファニーワークス)、観客のみなさんが揃うと、いよいよイベントがスタート。

まず最初に、天文学者であり国立天文台の広報室⻑でもある平松さんからアルマ望遠鏡についてのレクチャーが行われました。

4K映像やアルマ望遠鏡が捉えた画像を再生
アルマ望遠鏡と星空が写しこまれた4K映像やアルマ望遠鏡が捉えた画像を4K超短焦点プロジェクターで再生。じつはメンバーのみなさんも、4Kの素材を4K対応プロジェクターで見たのはこの日が初めてだったそう。

驚かされたのは、アルマ望遠鏡が電波を観測する望遠鏡だということ。
たとえばこちらは、アルマがとらえた寿命を終えつつある星「ちょうこくしつ座R星」の画像。ALMA MUSIC BOXのモチーフにもなった星です。

「ちょうこくしつ座R星」の画像
©ALMA(ESO/NAOJ/NRAO)

アルマ望遠鏡はこの星が放出するガスが発する電波を観測することによって、このように同心円状にガスが広がる、美しい画像を見せてくれているのだそう。これには驚かされました。

この望遠鏡のことをクリエイターに新たな切り口で表現してもらい、もっと多くの人に知ってもらうきっかけをつくれないだろうか―と動いたのが、さまざまな分野をつなぐお仕事をしてきた林口さんでした。

アルマ望遠鏡の説明の様子

そしてその時に白羽の矢を立てられ、難しいオーダーに挑んだクリエイターが、数々の広告やミュージックビデオなどを手がけてきた川村真司さん。

川村 最初は何て素晴らしい望遠鏡なんだと思いながら自由奔放にネタを考えていたのですが、多々ダメ出しを受けまして(笑)。2人から実際の観測データを生かせるような表現を、という要望を頂き、「ちょうこくしつ座R星」の画像をそのまま丸いオルゴール盤にしたらどうだろう、と思ったんです。それでプロトタイプをつくったらうまくいったので、サウンド・エンジニアリングに強いQosmoの澤井妙治さんや徳井直生さんたちの協力を得て70枚のオルゴール盤をつくり、インスタレーション作品に仕上げました。

オルゴール盤
完成したオルゴール盤。盤面の穴は、オルゴールを鳴らすためのもの。「ちょうこくしつ座R星」の周りに広がったガスの濃度が濃いところに穴があけられている。2014年に開催された21_21 DESIGN SIGHT企画展「活動のデザイン展」にて展示された。
金沢21世紀美術館「われらの時代展」に展示されているオルゴール盤
ALMA MUSIC BOX:金沢21世紀美術館「われらの時代展」にて展示中( - 2015.11.15)
Photo by Keizo Kioku, Courtesy of 21Century Museum of Contemporary Art, Kanazawa

「初めてみんなでオルゴールの音色を聞いた時の感動は忘れられないですね」と林口さん。

さらに今年の9月には、クリスチャン・フェネスさんら11組のアーティストが70のオルゴール音源をもとに楽曲を制作し、CD「MUSIC FOR A DYING STAR - ALMA MUSIC BOX × 11 artists」を発売しました。
こちらのCDは、川村さん率いるPARTYチームが制作した特設サイトにて試聴できるようになっています。

Life Space UXとALMA MUSIC BOXの共通項

トークセッション

後半はソニーTS事業準備室の戸村朝子さんが加わり、4名によるトークセッションが行われました。

ソニーでLife Space UXのコンセプトをどうやってお客様に伝えていくか、どうやってお客様と一緒に考えていくかということを担当している戸村さん。
初めてALMA MUSIC BOXを見た時に、Life Space UXとの共通点を感じたと語ります。

戸村 私たちは家電の存在を問い直し、空間そのものを活用して新しい体験を創り出していく、というコンセプトに取り組んでいるのですが、テクノロジーを、それと意識させずに人が感じられるものにするって、その裏には色々なプロセスがあるんですよね。ALMA MUSIC BOXでは、クリエイターや研究者の方たちがそういったことに取り組み、それを見た人が美しいと感動できるようなものに仕上げているということが素晴らしいと思いました。

現在クリエイティブラボ・PARTYのニューヨーク支社を拠点に活動している川村さんは、現地でもLife Space UXの噂を聞いていたそう。

平松正顕さん(左)、川村真司さん(右)

川村 ニューヨークにも話が伝わってきていたので、今日は本物を見られて嬉しいです。初めてこのコンセプトを知った時に、Life Space UXという概念が素敵だなと思いました。“UX”というのはオンスクリーン上のUser experience(ユーザー体験)の略語ですが、スクリーンから体験を取り出して日常の中に持ち込み、新しい体験をつくったらどうなるだろう―という発想が現代的ですよね。

川村さんが実感したのは、“コンテンツを体験できる”ということの強み。

川村 デジタルのデータを単純にビジュアルや音に変換したとしても、人の心を深く揺さぶるようなものはできないんですよね。それをうまく空間に転用することで、初めて五感で感じられる体験になる。今回の展示を拝見すると、テクノロジーが透明になって日常に溶け込んでいて、かつコンテンツが浮かび上がっているのが凄いと思いました。ALMA MUSIC BOXの設計思想にも通じるところがあるので、とても共感しました。

死にゆく星の旋律を聴く

シンフォニックライトスピーカー

この日は、ガラスの振動によって音を伝えるシンフォニックライトスピーカーでALMA MUSIC BOXのオルゴール音源を聴くデモンストレーションも行われました。
スピーカーから高音質な音が流れだすと、まるでそこにオルゴールがあるよう!鳥肌の立つような体験でした。
戸村さんは今回のコラボレーションについて、次のように語りました。

戸村 こうしてインビジブルなものから生まれた素晴らしい映像や音楽を、Life Space UXの製品を通じてお客様と一緒に体験したのは、今回が初めてのことです。クリエイティブなこというのは、自分たちで自由に答えをつくれるものなんですよね。私たちは、その答えがクリエイターの方々や今日来て頂いたみなさまと一緒に「未来の空間はどうなっていくんだろう」「住空間の心地よさって何だろう」と問いかけていく中にあるのではないか、と思っています。今日はこういった実験にみなさまとチャレンジさせて頂き、とても嬉しく思いました。

たしかにこの日のイベントは、実験的な場。ALMA MUSIC BOXとLife Space UXが化学変化を起こし、触発し合っていたように思いました。

イベントの様子

この後、会場からの質問を受けてイベントは終了。トークが終わった後も、緩やかに交流がつづいていました。
最後に林口さんが「今後もご一緒できる可能性を感じました。また機会を探っていきたいです」とコメントされていましたが、次なるコラボレーションがあったら、ぜひ私も続きを見たいと思いました。

ALMA MUSIC BOXのインスタレーション作品は、11月15日(日)まで金沢21世紀美術館で開催中の「われらの時代:ポスト工業化社会の美術」に展示されています。そちらもぜひチェックしてみてくださいね。

ALMA MUSIC BOX:死にゆく星の旋律

開催日 2015年10月8日(木)
会場 六本木アクシスビル 1F リビング・モティーフ

登壇者

平松正顕(国立天文台チリ観測所助教/天文情報センター広報室⻑)
林口砂里(エピファニーワークス代表、プロデューサー)
川村真司(PARTYファウンダー、クリエイティブディレクター)
戸村朝子(ソニーTS事業準備室)

主催

ALMA MUSIC BOX プロジェクト

企画/運営

VOLOCITEE Inc.