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空間そのものを活用して体験を創出する「Life Space UX」。
ソニーはさまざまな活動を通して、その体験の場を提供しています。

Life Space UX

Life Story event report:4 ― 『A Film About Coffee』 Life space UX で楽しむ、映画とコーヒーのある生活

[ Report ] 2015.11.27

もし、一杯のコーヒーを巡る旅に出れるとしたら・・、
美しい映像にのせられたコーヒーの秘密にふれられるとしたら・・。
コーヒー好きなら、とても好奇心をかき立てられますよね。

コーヒーを淹れる様子

10月22日(木)、Life Story展の会場にて、そんなコーヒーにまつわる映画「A Film About Coffee」の配給に携わる「numabooks」の内沼晋太郎さんとスペシャルティコーヒーロースター「カフェ・ファソン」店長の岡内賢治さんによる、トークイベントが開催されました。

映画『A Film About Coffee』は、サンフランシスコ在住のCMクリエイター、ブランドン・ローパー氏が手がけたドキュメンタリーフィルム。“目覚めの一杯はどこから来るのだろうか?”という疑問に始まり、コーヒー豆の栽培地からニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、そして東京のプロフェッショナルを巡って彼らの仕事ぶりと哲学を追いかけた“Seed to Cup(種からカップまで)”の物語です。

映画『A Film About Coffee』より ©2014 Avocados and Coconuts. 2015年12月12日より新宿シネマカリテほか全国順次公開 配給: mejiro films

トークイベントでは、4K超短焦点プロジェクターを使って『A Film About Coffee』の4K映像を一部上映。映画を見ながら、昨今のコーヒーカルチャー事情や映画の仕事について伺いました。

さらに会場では、淹れたてのスペシャルティコーヒーの提供も!まさにスペシャルな一夜となりました。
ここでは、ライターの宮越がレポートをお届けしていきたいと思います。

内沼晋太郎さん(左):ブック・コーディネイターとして「numabooks」の代表をつとめ、2012年、下北沢に「本屋B&B」をオープン。今年、あらたに映画に関する事業を開始。/岡内賢治さん(右):スペシャルティコーヒーロースター「カフェ・ファソン」店長。ネル・ドリップの名店にて8年間修行後、2008年、中目黒に独立開店。2014年、代官山にロースターとコーヒースタンドを同時オープン。

不思議と人を集める、コーヒーの魅力

イベントがスタート

この日会場に集まったのは、焙煎の勉強をしている方やカフェ好きな方など、コーヒー通の方ばかり。
イベントは『A Film About Coffee』の上映からスタートしました。
ブランドン・ローパー監督が手がけたテンポの良い映像と、4K超短焦点プロジェクターによる没入感は圧倒的。会場のみなさんを、あっという間にコーヒーの世界へ誘い込みました。

内沼さんによると、『A Film About Coffee』はもともと4K映画なのですが、日本語字幕を付ける際にダウングレードされてしまうため、国内の映画館で4K映像を見るのは難しいとのお話。
当日、初めて4K超短焦点プロジェクターの映像を目にした内沼さんは「蒸気や泡のように繊細なものが、こんなに鮮やかに見えるなんてすごい」と驚かれていました。

冒頭部の上映後、緩やかにトークが始まりました。

内沼 僕は以前、中目黒の「カフェ・ファソン」の近くに住んでいたんです。その頃によくお店に行っていて岡内さんとお会いし、以来、親しくさせて頂いています。岡内さんには既にこの映画をご覧頂いたのですが、率直な感想はいかがでしたか?

岡内 そうですね、コーヒーを改めて好きになり、もっと興味がわいてくるすごく素敵な映画でした。

この映画には、スペシャルティコーヒーに情熱をかける人たちが登場します。
岡内さんのお店でもスペシャリティコーヒーを淹れているそうですが、一体スペシャルティコーヒーとは、どんなコーヒーなのでしょうか。岡内さんに教えて頂きました。

岡内 スペシャルティコーヒーという基準ができる以前は、すべての評価基準が曖昧だったんです。そこで、ワインと同じように農家や産地などを明確にし、生産者の人たちをきちんと評価して質を上げていこうということで、1980年代にアメリカにスペシャルティコーヒー協会というものができました。その協会が定めた栽培や品質管理、美味しさなどの基準で80点以上をとれたものがスペシャルティというグレードになります。

トークを聞いてコーヒーが飲みたい気分になってきた頃、会場の一角から美味しそうなコーヒーの香りが漂ってきました。ここで、「カフェ・ファソン」の方が淹れて下さった二種のスペシャルティコーヒーを飲み比べてみようということに。

スペシャルティコーヒーを飲み比べる参加者

みなさんがコーヒーを口にすると、あちこちから「うわ、すごい」「全然違う」という声が。
この時出されたコーヒーはどちらも「エチオピア イルガチェフェ」という銘柄だったのですが、一つはコーヒーの実の果肉を洗い流し、乾燥させたウオッシュド、もう一つは実をそのまま乾燥させ、脱穀したナチュラルという方法で精選(※1)されたものでした。

スペシャルティコーヒーの美味しさに驚く参加者

私も飲んでみたのですが、まず、今までに味わったことのない濃い風味と美味しさに、これがスペシャルティなんだとびっくり。会場のみなさんも、うなずきながら飲んでいました。

この後トークは、なぜ内沼さんが映画の仕事を始めたのかという話に。

トーク中の内沼さん

内沼 僕はずっと本のことに携わってきたのですが、町に小さな本屋さんをつくれないだろうか、という思いがあり、三年前にB&Bという本屋をつくったんです。そこでは、選書にこだわったり、イベントを開催したりと、いろんなことを試してきました。その店が軌道に乗ってきた頃に、今度は小さな映画館が成り立つモデルをつくれないだろうか、と考え始めたんです。

そんな時に『A Film About Coffee』という映画と出会い、人の集まる場をつくってきた僕が初めて関わる映画としていいのではないかと思ったんです。コーヒーには一杯で場をつくってしまうような、不思議な力がありますよね。たとえば今日のイベントも、コーヒーの映画だからこそ、居心地の良さを提案しているLife Space UXのコンセプトとマッチしているところがあると思うんです。
岡内さんは、そういったコーヒーと場、コーヒーと人とのつながりのようなものを感じられることはありますか?

岡内 それは感じますね。コーヒーはいろんなシーンで、いろんな楽しみ方や飲み方をされている。日常にかかせないものだと思います。そうした中でスペシャルティコーヒーが浸透してきて、家庭でも美味しいコーヒーが飲めるようになった。美味しいコーヒーが一杯飲めるだけで、全然気分が変わる。そういうことがもっと広がっていったらいいなと思いますね。

※1 精選:収穫されたコーヒーの実から生豆を取り出すこと。

今のコーヒーカルチャーに影響を与えた、日本の喫茶店文化

『A Film About Coffee』には“コーヒー界の伝説の男”として、一人の日本人の方が登場します。

この時映像に映っているのが「大坊珈琲店」の大坊勝次さんです。

内沼さんによると、「ブルーボトルコーヒー」の創業者 ジェームス・フリーマンさんが、この映画の中で日本の喫茶店文化に影響を受けたと語り、その後に「大坊珈琲店」の大坊勝次さんがネル・ドリップでコーヒーを淹れているシーンが流れるのだそう。大坊珈琲店といえば、2013年に惜しまれつつも閉店した、伝説のお店です。

岡内さんによると、かつて海外から日本へ伝わり、日本ならではの発展をとげたコーヒーの淹れ方や文化が、今になって海外から注目されているのだとか。昨今のコーヒーカルチャーに日本の影響があったとは、驚きでした。

岡内さんが「日本には“喫茶”という文化が浸透している。喫茶は日本人にとって本当に特別な、リラックスできる空間なんじゃないか」と語られていたことも印象的でした。

トーク中の岡内さん

この後、「カフェ・ファソン」の焙煎工程や岡内さんが焙煎の際に色をイメージするという興味深い話が語られ、トークは終了。会場では、その後もコーヒー談義が続いていました。

カフェ・ファソンのコーヒー

この日のトークで印象的だったのは、岡内さんが語られていた「美味しいコーヒーが一杯飲めるだけで、全然気分が変わる」ということ。
プロフェッショナルの姿勢にふれて、そのアイデアや技を生活に取り入れるだけで、いつもの暮らしが少しだけスペシャルなものに変わる。美しい映像とともに非日常を旅して、日常を変えるヒントに出会えた、素敵な一夜でした。

Life Space UXでは、今後も生活空間に新たな体験を創出するイベントを開催していきます。
ぜひ、Facebookホームページで最新情報をご覧ください。

映画『A Film About Coffee』は、12月12日(土)から新宿シネマカリテを皮切りに上映が始まります。
私も今から上映が楽しみです。こちらもぜひチェックしてみてください!

『A Film About Coffee』 Life space UX で楽しむ、映画とコーヒーのある生活

開催日 2015年10月22日(木)

モデレーター

内沼晋太郎(numabooks代表)

ゲスト

岡内賢治(スペシャルティコーヒーロースター カフェ・ファソン店長)

企画/運営

VOLOCITEE Inc.