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Life Space UX ニュース

空間そのものを活用して体験を創出する「Life Space UX」。
ソニーはさまざまな活動を通して、その体験の場を提供しています。

Life Space UX

クリエイターとともに「空間」を考える。イベント「空間観察学Vol.1」を開催しました!

[ Report ] 2016.08.29
銀座・ソニービル「ソニーイノベーションラウンジ」
イベント「空間観察学」でクリエイターやアーティストと共に新たな空間のあり方を考察している様子

Life Space UX Lab.による、クリエイターやアーティストと共に新たな空間のあり方を考察していくイベント「空間観察学」が、2016年7月28日(木)、銀座・ソニービル「ソニーイノベーションラウンジ」にて開催されました。

Life Space UX Lab.では、新たな空間の中での価値や体験を模索し、実験的な活動を試みています。その活動のひとつとして今回始動したイベント「空間観察学」では、「空間とは何か」を改めて観察することで、新たな発想を育んでいきます。

『ソニーイノベーションラウンジ』で今までにないカテゴリーやプロダクトを体感している様子

2016年5月にオープンした『ソニーイノベーションラウンジ』では、ソニーのチャレンジ精神や遊び心から生まれる、今までにないカテゴリーやプロダクトを体感できます。

空間の考察に、クリエイティヴな視座を与える登壇者

登壇者の塩谷舞さん、杉本雅明さん、小宮山洋さん

登壇者は、起業家の杉本雅明さん(写真 中央)、プロダクトデザイナーの小宮山洋さん(写真 右)のおふたり。そしてライターの塩谷舞さん(写真 左)が司会進行を勤め、参加者との橋渡しをしました。

前半では、それぞれの異なるバックグラウンドから、空間考察のためのリサーチ手法や思考ツール、日頃から大切にしている視点などをプレゼンテーション。後半の公開セッションでは、参加者によるLife Space UXのプロダクトをはじめ、面白い家電の使いかたを披露するなど、空間と私たちの間にまつわる様々な関係を読み解きます。

多岐にわたる職種の方々が集った公開セッションの様子

公開セッションでは、今回のイベントの参加者の自己紹介からスタート。参加者は空間デザイナー、サービス企画、UI/UX、新規事業担当や、子供向けのワークショップを行う医療機関で働く方、医師、学生など、多岐にわたる職種の方々が集いました。

「コミュニティを育む空間」の秘訣はお互いを高め合う余白

自分が制作したプロダクトの話をする杉本さん

起業家の杉本さんは、まず自分が制作したプロダクトである、フィルムに回路を印刷したタッチパネルの話をしてくれました。既存の回路と違ってフィルム状に薄くなると貼ることや印刷ができるなどの利点が生まれます。新しいプロダクトを作るとき、そこに市場があるのか?と問われることが多いそうですが、まずは作ってみることを最重要視。「はじめから全員が楽しいと思うものではなく、自分だけが発見した『楽しさ』を新たな体験に変換していく」と発想方法を語りました。

杉本さんのプレゼンテーションの様子とそれを聞く参加者の方々

学生時代には、東京大学の近くに、カフェスペース「Lab+Cafe」を運営していたという杉本さん。ネットカフェなどもなかった時代に、オックスフォードなど海外大学の寮をイメージして、他の学部同士が交流できるスペースを生み出しました。そこではカンファレンスの「TEDx」やプロジェクションマッピングなどのイベントを行いました。

この空間を作る際に配慮した点は三つ。「夜でもゆったりと過ごせる居心地の良い場所であること」「仲間を見つけられるコミュニティがあること」「挑戦ができ、それを後押しする場所であること」。そこから生まれたのは、面白い仕掛けのビリヤード台。玉がクラッシュしたときに、特殊なエフェクトが発生するというものでした。

このカフェスペースの経験から得た「コミュニティを育む空間」の秘訣を語ってくれた杉本さん。「余白があり、そこに誰でも入り込めること、そしてお互いを認め合えることが重要だと感じました」。

プロダクトデザイナーの視点で選ぶ、道具コレクションとは?

思い出話をする小宮山洋さん

プロダクトデザイナーの小宮山洋さんは、子供のころに通っていた西洋絵画教室の思い出話からスタート。絵を習い始めた頃の小宮山さんはすぐに油絵をやってみたかったそうですが、先生は3年ぐらい描かせてくれなかったというのです。教室に行っても、やらされるのは自然を観察したスケッチばかり。その頃は「なんでこんなことばかりするんだろう」と疑問だったそうです。しかし、いま思い返すとこのときの経験が今に活きていると小宮山さんは語ります。「あのとき先生は、自然にあるものを自ら主体的に観察することを教えてくれていたんだな、と思ったんです。このときから、身の回りのものごとに気付く精度が上がっていったように思います」

そんな小宮山さんは、普段から「昔から続いている道具」や「使い手が作った、新たな道具」を写真に撮ってコレクションしています。

最初に紹介してくれたのは、「使い手が作った、新たな道具」。そのひとつの例として、鼻をかみ終えたティッシュを、ジップロックに入れて保存してみるというものを紹介してくれました。実は「花粉症のための道具」であり、そこに溜まるティッシュの量から、病状の深刻度をはかりだそうという試みとのこと。花粉症の人ならではの発想に、ハッとさせられるものがあります。

続く、「お互い様の道具」とは、自分の家と隣家の壁に紐を通して洗濯物を干すというアクロバティックな洗濯干し。このアイデアは、海外旅行中に街なかで見かけたもの。互いの家の壁をシェアしあう光景に感動したそうです。

プレゼンテーションしている小宮山さんとプロジェクター投影画面を見つめる杉本さん

「昔から続いている道具」には、岩手の小久慈焼の職人が自らカスタマイズした焼き物を作るための道具を紹介してくれました。自分が作りたいもののためにアレンジを盛り込んだ「道具」には、昔から人々に受け継がれてきた文化的な側面や、まだ無いものを自ら作り出そうとする欲望から生まれる文明的な側面など、様々な発見に満ちていると小宮山さんは語ります。

参加者とともに、家電のアイデアをシェアしてみる

スケッチブックにアイデアを書いている参加者の方々

プレゼンテーションが終わり、ここからは参加者の方々とともに考えるセッションが始まりました。ひとつめのテーマは「日常生活の中で実践している生活の工夫」。皆さんのアイデア豊かな生活の声が飛び交います。

「医院でのキッズイベントで、グラスサウンドスピーカーを使っています。室内全体に音が行き届くので、子どもも安心するようです」

「スマホの音声を『神の声』に見立てて、LED電球スピーカーから部屋中に響き渡らせています。ホームパーティなどの際、参加できない人に声で参加してもらうときに使ってみると、予想以上に盛り上がりました」

「3歳の子供たちが、色が変わるLEDの照明でよく遊んでいます。スマホのアプリで照明の色を操作して、『あ、朝が来た!』『今度は夕方だ!』と言いながら、ごっこ遊びをしているんです」

同じアイテムでも参加者のみなさんそれぞれのライフスタイルによって様々な用途があり、生活の工夫の様子が垣間見えました。今ある空間のままでも、アイデアをシェアすることで、生活が少し変わったら少し面白いと思いませんか?

空間観察ツールを使った思考実験

プロジェクターで映し出された「空間観察の思考ツール」画面

続いて、「空間観察の思考ツールを使って、居住空間について考えてみる」というプログラムへ。「空間観察の思考ツール」とは、まず「時間」と「場所」を掛けあわせてみるというもの。例えば、朝、平日の昼、休日の午後といった時間帯と、ベッドルーム、キッチン、バルコニーなどの場所を想定して、みんなで意見を出し合いました。

「椅子の配置を毎回変えてみる。毎回イベントがあるなら、イベントでの椅子の配置を累計して観察することで、空間自体を体系化できるかもしれません」

「椅子によってコミュニケーションが変わってくると思います。自分の通っていた学校では、全て回転する椅子だったので、フランクになって英語が喋りやすくなりました」

「育児施設で座談会を行う際、お母さんと子供のスペースを分担してしまうと子供がすぐどこかへ行ってしまいます。そこで、お母さんと子供も一緒になって空間を囲む工夫を考えました。場の中心に食べ物があれば、よりコミュニケーションが取りやすくなると思います」

スケッチブックを使って説明する参加者

セッションは盛り上がり、会場内の「超短焦点プロジェクター」の展示方法にも意見が飛び交いました。「使用事例として上映する動画は、窓枠があったほうがいい。向こう側があると思わせる」というポジティブな改善案も。塩谷さんからの「私はインターネット側の人間なので、SNSのタイムラインを投影したい」とネット好きならではの発想には、会場のあちこちから笑いが。

ヘヴィメタル好き向けのプロダクトを提案する参加者

また、開発者に対して参加者からは「私はヘヴィメタルをよく聴くので、ヘヴィメタル好き向けの黒いバージョンがあると嬉しい。特徴によってカラーを変えてほしいな」というプロダクトに関する意見も飛び出て、垣根を超えた意見交換が行われました。

談笑する参加者の方々

空間という概念に対して関心の高い方が集まり、希少な学びの場となった空間観察学 Vol.1。製品化されたプロダクトでも、使用者によって多様な使い方があるという面白さが発見されました。そして、本日学んだ観察ツールを使って参加者が新しい可能性を模索し、先に繋がる物語が作られるはずです。次回の開催はどういった観察ツールに出会えるのか期待が高まります。

登壇者と参加者の集合写真

空間観察学 Vol.1 presented by Sony Life Space UX Lab.

日時:2016年7月28日
会場:東京・銀座 ソニーイノベーションラウンジ

登壇者

杉本雅明(AgIC株式会社取締役
小宮山洋(プロダクトデザイナー)

ファシリテーター

塩谷舞(編集者)

企画・運営

VOLOCITEE Inc.