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Life Space UX ニュース

空間そのものを活用して体験を創出する「Life Space UX」。
ソニーはさまざまな活動を通して、その体験の場を提供しています。

Life Space UX

クリエイターの視点をインストールして「空間」を考える。「空間観察学Vol.2」

[ Report ] 2016.09.12

「空間観察学」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?

「学」ってついてるから、学問?
空間を観察して、学ぶってどういうこと?なんかフワッとしてない?

タイトルを聞いて、そんな風に思った方もいるのではないでしょうか。
流行りのハッカソンや、大人の学び系スクールをイメージしてみたり、空間デザイナーが作ったイノベーティブな部屋で、知の巨人達があれこれと意見しあう様を想像してみたり……

実際に「空間観察学」に参加してみると、それらの想像よりもはるか数歩先の「学びの空間」であることが、よく分かります。

空間観察学Vol.1にプレイヤーとして参加した平野が、vol.2ではレポーターに視点を変えて、お届けいたします。

「ものづくりの根っこ」の部分を参加者と共有する様子

「空間観察学」とは何か?
毎回、最前線で活躍中の建築家やデザイナー、アーティストなどを招き、1番大切にしている視点など「ものづくりの根っこ」の部分を、参加者と共有する。
参加者は、その視点を自らの仕事や暮らしに落とし込み、新たな価値を生み出すヒントとして活用していく……といえば良いでしょうか。

あるいは、RPGみたいなものを想像してもらうといいかもしれません。
ゲストの思考はゲームそのもので、参加者はプレイヤー。
プレイヤーは、ゲームにどっぷり浸かりながら、それぞれの属性に合った役割を担い、時に参加者同士で協力しつつ課題をクリアしていく。
もちろん答えは1つとは限らない。様々な解釈やゴールが生まれ、また勇者達はそれぞれの生活に戻っていく……

余計わかりにくくなった上に、最後は煙に巻いちゃった感もありますが、そんな実験的な試みが、この東京のどこかでひっそりと開催されている!と思うと、なんだかワクワクしてくるではありませんか。

Vol.2である今回は、2016年8月30日、3331 Arts Chiyodaの3331alphaで開催されました。

LED電球スピーカー
ポータブル超短焦点プロジェクター
居心地の良い空間が作られている3331alpha

3331alphaは、SonyのLife space UXのコンセプト製品であるグラスサウンドスピーカーや、ポータブル超短焦点プロジェクター、LED電球スピーカーが常設されている、なんとも居心地の良い空間です。
これらのプロダクト達は、Sonyのチャレンジ精神と遊び心そのもの。
「あんなこといいな、できたらいいな、が叶うかも?」
「やたらと家で、パーティ開きたがるようになるかも?」
と、今よりもっと快適になった、ひとつ上の暮らしを予感させてくれます。

建築家の猪熊純さんが『1番こだわっていること』とは?

これまで手掛けられてきた作品のプレゼンテーションをする建築家の猪熊純さん

第二回のゲストは、シェアハウスやコワーキングスペースなど、コミュニケーションが生まれるパブリックな空間づくりを得意とする、建築家の猪熊純さん。

渋谷のFab Caféや、柏の葉のイノベーションラボKoil、シェアハウス、西武池袋本店のパブリック部分の内装、スプツニ子!さんとのコラボレーション・プロジェクト・豊島での古民家改造など、これまで手掛けられてきた作品のプレゼンテーションからスタートしました。
非常に多岐にわたる作品群で、ひとが複数人で使う場所は何でも作る!という猪熊さんですが、これらすべてに共通する「1番こだわっていること」があるそうです。

それは、何でしょう?

照明?音環境?家具?挨拶?現場の雰囲気?お弁当?意外と、美味しいお水とか?

……

いいえ、答えは「天井の高さ」です!

「誰もが自然に受け入れている(受け入れざるを得ない)環境のようなものを、我々は天井の高さにこだわることで、実はコントロールしているんです。」

たとえばカフェなどで集中したい気分の時は、店の奥の、目立ちにくい席へほとんど無意識に足が向かう、といったようなこと。空間の中での過ごし方、自分で選んでいるようで、実はコントロールされていた?

特に、活動的⇔落ち着き、パブリック⇔親密、など対局にあるものを、1つの空間の中に作り出さなくてはいけない時に効いてくるのが「高さで場をつくる方法」だと猪熊さんは語ります。

「高さで場をつくる方法」について語る猪熊純さん

参加者のどよめき……からの、公開セッション

「さて、この視点(高さから場を考えること)は、どんな風に活用できるのか?自分たちでどう解釈できるのか?皆さんで考えてみましょう。」

ここで突然、参加者へバトンが渡って(え!無茶振り!?)的な、どよめきが起こります。

バラエティ溢れる参加者の面々

今回の参加者は、照明器具メーカーの商品計画の方、デザインコンサルタント、自動車メーカーのカラーデザイナー、空間デザイナー、起業家、建築家、オリンピック教育を小中学生向けにアレンジしている方、学生などなど、バラエティ溢れる面々。

「アイデアを考える時、自然と視線が上を向く。天井が高い方が、良いアイデアが湧くのではないだろうか」

「ホテルのラウンジの吹き抜けにはソファがあり、声が反響しにくく話をし易い(親密度が高まる)。」

「開放感が、空間でどう生まれるのか?人の数の割合、空白の比率がどれだけあるかで決まるのではないだろうか?」

「天井の高さを変えるのではなく、床の高さを変えると、どうなるのか?を考えました。(天井がフラットな方が照明設備が入れやすく仕事がしやすい、という理由から)
天井から見る空間のゾーニングと、床のゾーニングと2つの空間を分けることで、多彩なスペース作りができる。」

多彩なスペース作りについて話し合う参加者
各分野の視点を交えて意見交換をしている様子

各分野の視点を交えた意見が、少しずつ出てきました。
皆さんそれぞれ、インストールしたての視点をどう使おうか頭の中でこねくり回しているご様子……おもしろくなってきました。

新しい視点を持った上で再度、猪熊建築を見てみるとどうなるか

詳細について語る猪熊さん

猪熊さんは、先ほどプレゼンテーションした作品群を再度、参加者に見せながら詳細なテクニックの話を始めました。

「天井の高さ×素材、色、照明、家具」と、組み合わせるものによって、より大きな違いが出てきます。さらに音の反射や光の環境なども加えていくと、箱のデザインができてくるわけです。」
実際に天井が触れない場所でも、そのような掛け算によって視覚的に天井を体感させることもできるといいます。

天井の高さ低さだけでなく、上記のような様々な要素と組み合わすことで「居心地」や「人の行動」までも、ゆるやかにコントロールしていく……その組み合わせの可能性って、∞!?
例えば700平米もある、大きな空間の中でも「静かな場所」と「賑やかな場所」で意図的にグラデーションを作ることができるのです。

「コミュニケーションが豊かになるような空間作りの為に、高さ×〇〇の、どのようなテクニックを用いてきたのか?」というこれらのお話には、参加者も前のめりになって

「さらに広大なスペースでも同じコンセプトが通用する?」
「電源の数はどうやって決めてる?」「家具が先か、天井が先か?」

などと、質問というよりほぼ「相談」レベルのマニアックな声が噴出。
うなずきと、感嘆の小さなため息で、会場の温度が2〜3度あがったような気がしました。

質問内容を聞いている参加者

さてもう一度、アップデートしよう

「さらに【高さから場を考える】という視点を活かして、自分の家やオフィス空間でどんなことできそうか?今まで気付いていなかったけれど、こんなことが出来るんじゃないか?というアイデアはありませんか」

もう一度、参加者へとバトンが渡されましたが、もう以前のような戸惑いのどよめきは起こりません。
みなさん、サクサクとペンを片手にスケッチブックにイラストを描いたり、アイデアを周りの方々とシェアし始めます。

スケッチブックを使ってアイデアをシェアしている様子
手の動きをつけてアイデアを表現する参加者
立って周りにアイデアを表現する参加者
ディスカッションをしている様子
イラストを使って説明をしている様子

「仮に、高い天井でオフィスをつくる時は、どうやったら安定感が出るんだろうと考えた。下に淡い色を持って行って、壁をグラデーションにすればよいのではないか。敢えて高さが分からないように、意図的に天井を黒くしたらいいんじゃないかと(隣にいたコンサルの方に)コンサルティングを受けながら詰めました。」

「グラデーション、というキーワードにインスピレーションを受けました。
自動車の内装も同じで、空間を広く見せるために天井を明るい色にしたりスポーツカーなど空間に集中したい時には、天井を暗くしたりしています。
例えば、同じ車内でも助手席や、運転席は黒。後ろのパッセンジャーは明るい色など、グラデーションに出来るのではないかと、考えました。」

「街の空間全体の中での、パブリックアートの配置を考えた時に、ちゃんと人に影響を与えるためにはどこに置けばいいのかを考えた。」

「写真を撮っている立場からすると、画作りの時に縦横比を気にする。高さの最適なバランスを作り込めると、魅力的な写真になる。
部屋の中の写真を撮ったりする時、広さのあるものなら高さを作りこむ。そんな高さの最適化ができるんじゃないのかなと思いました。」

などなど、ここには書ききれない程の、アクティブな意見が次々と飛び出してきました。
カーデザイナーの方のお話には「いいねボタン押したい!」等と声があがり、会場が大いに湧きました。
そして最後に、これまでの話を踏まえて

「最後の集合写真、どこから撮ると、リズム感が生まれて美しいのか決めましょう!」

そんな司会者の声に、参加者は一斉に立ち上がります。

イベント参加者の集合写真

そして、撮られたのがこの一枚。
Lawrance Randall氏から放たれた「はい、チーズ♡」というまさかのmade in JAPANな掛け声のおかげで皆さん、とても良い笑顔です。

活躍中のクリエイターが「1番大切にしている視点」を「空間」というキーワードにビビッドに反応するアンテナを持った参加者らと共有し、それぞれの暮らしや仕事を、どのようにアップデートできるかをその場で考えていく。
この「空間観察学」は、今までありそうでなかった実験的な「学びの空間」であることに間違いはありません。

各々にシェアされた「視点」はどんどん一人歩きし、未だ見ぬエネルギーや化学反応をあちこちで生んでいくでしょう。

今の自分に新しい視点をインストールして、これまでになかった豊かな価値を生み出す。というのは「今ある空間をそのままに、新しい体験を生み出す」というLife Space UXのコンセプトと通ずるところがあります。

全体を通しての一言を話す猪熊さん
談笑する参加者の方々

LED電球スピーカーとグラスサウンドスピーカーから溢れる音とゆらめく光に照らされて、学びの夜は心地よく更けていきました。

さて第三回は、どんなアップデートが起こるのでしょうか。
次は、あなたの身に。

まずは体験してください。

(TEXT BY SATOKO HIRANO)

空間観察学 Vol.2 presented by Sony Life Space UX Lab.

日時:2016年8月30日
会場:東京・末広町 3331alpha studio

登壇者

猪熊純(建築家)

企画・運営

VOLOCITEE Inc.