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Life Space UX ニュース

空間そのものを活用して体験を創出する「Life Space UX」。
ソニーはさまざまな活動を通して、その体験の場を提供しています。

Life Space UX

心地よさ、について真面目に考える。

[ Report ] 2016.10.03

たとえば夜明け前。まだ肌寒い時間に、ブランケットにくるまって焚き火をずっと眺めている。火照った頬にあたる風がひんやりと冷たい。隣には気の置けない友達、恋人、または家族、そしてアルコール。それから、遠くで誰かが喋っているけれど内容までは聞き取れない程度の、絶妙のボリュームで聴こえてくる音楽。眠気で頭の半分は痺れているけれど、残りの半分は妙に覚醒している。

こんな状況を、あなたはどう感じますか?

アルフレックスとLife Space UXのコラボレーションイベント会場

十五夜の満月が銀座の空を煌々と照らす、9月15日の夜。銀座ソニービル5Fのソニーイノベーションラウンジにて、アルフレックスとLife Space UXのコラボレーションイベントが開催されました。

インテリアブランド パオラ レンティの家具とLife space UXの商品

会場内には、アルフレックスジャパンとソニーが考える「自然と共に過ごす心地よい居住空間」を、インテリアブランド PAOLA LENTI(-パオラ レンティ-)とLife space UXの商品を使って提案するスペースが登場。

パオラ レンティのソファーセットと、4K短焦点プロジェクターにより壁面にに映しだされた147インチの映像

鮮やかなカラースキームを巧みに表現したパオラ レンティのソファーセットに、4K短焦点プロジェクターが描き出す、147インチの映像。

屋内と屋外の垣根を越えてリラックスシーンを提供し続けるソファでくつろぐ来場者のみなさん。自然と表情がほころび、立つのを惜しむように話に花を咲かせていました。

ソファでくつろぎ、話に花を咲かせている来場者

振る舞われている、サングリアのフルーティな香りを鼻先に感じながら
「ようこそ…我が家のリビングに!」なんて勘違いに酔いしれていると、トークセッション開始のアナウンスが。

トークセッション開始のアナウンスをする女性
トークセッションのゲスト陣と会場の様子

トークセッションのゲストは「五感を潤す体験」としてグランピングをプロデュースする空間デザイナー集団 Campfire Hotels代表・空間デザイナー 中根麻衣さん

トークセッションのゲスト 中根麻衣さん

そして、今回のテーマ「自然と共に過ごす心地よい居住空間」を提案するアルフレックスジャパン執行役員・柏木章さんと、ソニー TS事業準備室 室長・斉藤博さんの3名です。

トークセッションのゲスト 柏木章さんと斉藤博さん

セッションをナビゲートするのは「人工衛星から和菓子まで」デザインとエンジニアリングを軸にものづくりを行うtakram コンテクストデザイナー/ディレクター、渡邉康太郎さん。ロンドンと東京の2拠点で活躍されています。

ナビゲーターの渡邉康太郎さん

そもそも、なんでこの2社なんでしょう?[arflexとSony]

arflex × Life Space UX

ソニー 斉藤さん(以下:斉藤さん)「家電そのものより、住空間や家具のほうが人の過ごし方に対して影響力があるんじゃないかと思っています。生活の動線が変わって、コミュニケーションが生まれる。そういったノウハウを蓄積されているところと組むことで、知恵をいただきたい。」

アルフレックス 柏木さん(以下:柏木さん)「実は20年前に一緒に商品開発をやったこともあるぐらい、ソニーさんとは縁が深い。暮らしや人に対する想いは、共通・共鳴していると思います。」

アルフレックスとコラボレーションした理由を語る斉藤さん

心地よい居住空間や、常に「あたらしい体験の創出」を目指してきたソニーとアルフレックス。実はずっと前から、根っこで繋がっていたのかもしれません。

あなたが生活にとりこんでいる、小さな自然は?

次に渡邉さんからは「自然と共に過ごす心地よい居住空間」を考える上で、それぞれのパーソナリティが窺えそうな、こんな問いが。

質問に答える中根さん

Campfire Hotels 中根さん(以下、中根さん)植物が好きなので、日常的に切り花などに触れています。花が咲いて、枯れるところまでを楽しむ。ただ見つめるだけじゃなくて、匂いを嗅いでみたり、その変化も楽しんでいます。」

斉藤さん自分の中で『すずしい』と『ぽかぽか』という感覚が共存している状態が好き。例えば、ぽかぽかして暑いんだけど、気持ちのよい風が吹いているような……。何の要素がそう感じさせるのか?を解き明かしたいです。」

質問に答えるゲスト陣と笑顔で聞いている来場者の方々

柏木さん「先日アルフレックスから発売したオリジナル照明が、太陽光に限りなく近い光を出す紫色LED照明なんです。こういったものを取り入れることで、自然の光を取り入れた生活ができるんじゃないかな、と思います。」

質問に答える柏木さん

かつて、自然光と暮らしていた日本人が持っていた「障子越しの明るさ・暗さ」の感覚や、侘寂に美を感じる茶の湯の世界。それが戦後「明るさ=豊かさの象徴」になり、蛍光灯バーン!の「明るければ明るいほど良い」といった価値観へと変わってしまった。と柏木さんは言います。

大切なのは、欲しいところに欲しい灯りがあればよい、という考え方。たとえば欧米の家の中は暗いけれど、必要なところに必要な灯りがある。といったように。

もう一度味わいたい、アウトドアの感動の瞬間は?

会場に設置されているグラスラスサウンドスピーカー

実は、冒頭の「たとえば夜明け前。」から始まる体験は、渡邉さんが実際に味わった「アウトドアの忘れられない瞬間」だったのでした。

「『夜明け&海、というシチュエーションに一番合う音楽は?』とFacebook上で問いかけたんです。そしたら、それぞれのオススメ音楽のコメントがたくさんついて。朝日が昇るのを待つ間、iTunesで探して全部順番に聴いていきました。」と、渡邉さん。

海、夜明け、焚き火、アルコールと来て、そこにピッタリ合う音楽。もう、これは誰が何と言おうと、最高に決まっているじゃないですか。

それではここで、各人が "忘れられない瞬間" というのは、どういったものなのでしょうか。

中根さん「今、グランピングをやっていることの原体験になると思うんですけど、小さい頃、住んでいた家のすぐそばに大きな公園があったんです。
特に何があるわけではないんですけど、花壇や広場、鬱蒼とした茂み…いろんな空間がありました。試験勉強をしたり、失恋して泣いたり、感情と共にいつも自然がありました。切り取るシーンが日々変わっていくんです。」

"忘れられない瞬間" を語る中根さん

柏木さん「育った家は軒の深い家でした。天候からは守られているけれど、家の中で風や自然を感じられたことが、心地よい記憶として残っています。鉢植えに花や実がなったりして、四季の移ろいも感じられた。今も、それを部屋の中に求めようとしています。」

斉藤さん「中高と柔道部で、上下関係が厳しく下級生の時は辛かった……。蒸し暑い部室で、帰宅する先輩から掃除を言いつけられるんです。それで、高いところにある 窓をあけたら、風が通って涼しくて気持ちがよかった。それこそがまさに『すずしくてぽかぽか』状態のことなんです。」

トークセッションを聞いている参加者

原体験に紐付く、心地よさの感覚。

渡邉さん含む、各人の「アウトドアの感動の瞬間」ひいては「自然の心地よさの原体験」をそれぞれ聞いていると「その心地よさ、知ってる!」と、まるで自分がかつて同じような体験をしたかのような、シンパシーを感じました。

最初は「どういうこと!?」と謎めいていた、斉藤さんの「すずしい&ぽかぽか」というキーワードさえ、お話を聞くうちにすっかり共感している自分がいます。これは一体、どうしたことでしょう。

参加者からの質問コーナーを終え、「心地よさとは?」と改めて考えさせられたセッションの最後に、渡邉さんが「本日の名言」として幾つかまとめてくれたキーワードにその答えがありました。

「本日の名言」としてキーワードをまとめる渡邉さん
  • 公園を歩きながらシーンが切り替わる、居住空間にも取り入れられる。
  • 変わるものを見つめる、変わらないものも見つめる。その時間を越えた感覚。
  • 外の境界をぼかす深い軒先のような場所。守られながらも自然を感じられる。
  • かつて豊かさは足し算であったが、今はそれをいかに脱ぎ捨てていくか、それがもうひとつの豊かさである。その象徴としての、光(照明)。
  • 照明とは、明るさではなくむしろ暗さのデザイン。
  • すずしい、と、ぽかぽか。

これらのキーワードから各人のエピソードを思い出してみると、それぞれが感じる「自然と共に過ごす心地よさ」とは、個々の原体験に紐付いている、ということがわかります。

そして、その原体験は、小さい頃過ごしたお気に入りの公園の中でシーンが切り替わっていく楽しさだったり、変わらない大自然と対峙した時の厳かで静かな心持ちだったり、生まれ育った家で感じていた安心感だったり……

誰もが、かつてどこかで味わったことのある感情や、想いを伴って形成されているから、他人でも「あぁ、それ知ってる!」と共感できるのではないのでしょうか。

トークセッションに聞き入る参加者の方々

想像してみてください。

あなたの気持ちのグラデーションにあわせて、楽しい時は、パッと明るく、悲しい時は、見守るように暗く。まるでそこに生命が宿っているように明暗をコントロールしてくれる照明が、もしもあったら?

「すずしい」と「ぽかぽか」。一見、対局にあるような状態を見事に再現して、これまで感じたことがないような、心地よい風を送ってくれるエアコンが、もしもあったら?

景色を切り取るように、あなたの感情に合わせて過ごせる場所を選べる家が、もしもあったら?

パオラ レンティの家具とLife space UXの商品が設置された空間でくつろぐ来場者

未来の暮らしがちょっぴり見えてくるような、そんな予感で満たされた秋の夜長。各界で活躍中のみなさんのお話を聞きながら、こんなにも「心地よさ」について真面目に考えたことはないな、という貴重な時間でした。

さて、あなたが感じる「心地よさ」とは、どんなものですか?

(TEXT BY SATOKO HIRANO)
(PHOTO BY DAISUKE NAMIKI)

アルフレックス × Life Space UX コラボレーションイベント

日時:2016年9月15日
会場:東京・銀座ソニービル ソニーイノベーションラウンジ

登壇者(敬称略、順不同)

中根麻衣(Campfire Hotels代表 / 空間デザイナー)
柏木章(アルフレックスジャパン執行役員)
斉藤博(ソニー TS事業準備室 室長)

モデレーター(敬称略)

渡邉康太郎(takram コンテクストデザイナー / ディレクター)

企画・運営

VOLOCITEE Inc.