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概要

近年、DVDやBSデジタル放送等の音声信号の多くは、音質や分離特性の良いマルチチャンネル(ドルビー・デジタル※1DTSデジタルサラウンド※2AAC※3等)で記録されています。映画館で 体験する素晴らしい迫力は、この音声信号を再生することによって実現しています。しかし、このサラウンド音声を家庭で楽しむためには、映画館と同様に前方に3台(左、中央、右)、後方に 最低2 台、そして重低音再生のためのサブウーファ1 台の計6 台のスピーカを設置する必要 があります。
スピーカによる5.1ch再生音場のイメージ


一方、従来のヘッドホンでは再生音像が頭の中にこもってしまうため(頭内定位)、音の方向感を出すことはできませんでした。ソニーが開発したバーチャルホンテクノロジー(VPT:Virtualphones Technology)は、人間の聴覚研究をベースに、ヘッドホン等トランスジューサ技術※4、また独自の音響解析技術とデジタル信号処理による音場再生技術を融合させた広範囲の技術からできています。

これにより、音声をリスナーの頭外に定位させ、あたかも前方や後方に置いたスピーカから、音声が自然に再生されているような音場を作ることが可能です。

バーチャルホンテクノロジーでは、ヘッドホン再生でありながら、DVD 等のディスクリート5.1チャンネルを、スピーカで聴いている時と同じ様なサラウンド音場で楽しむことができます。

頭内定位、頭外定位 サラウンドヘッドホンによる5.1ch再生音場のイメージ

このように、VPT:Virtualphones Technology(バーチャルホンテクノロジー)は、映画館のような臨場感溢れるサラウンド音声をヘッドホンなどで手軽に楽しんでいただける、ソニー株式会社が開発したバーチャルサラウンド技術です。

※1 ドルビーデジタル
DVD プレーヤーや5.1 チャンネルデコーダー機器など、ドルビー方式のデジタルサラウンド機器に対し、ドルビー・ラボは,「ドルビー・デジタル」という基準を設定している。


※2 DTSデジタルサラウンド
DVD プレーヤーや5.1 チャンネルデコーダー機器など、DTS方式のデジタルサラウンド機器に対し、DTS社は,「DTSデジタルサラウンド」という基準を設定している。


※3 AAC
BS/地上波デジタル放送で採用されたマルチチャンネル音声の伝送フォーマット。MPEG標準化団体によって提案された。正式名称はMPEG-2 AAC。

※4 トランスジューサ技術 
ヘッドホンやスピーカなどのように、電気エネルギーから音響エネルギーに、またマイクロホンのように音響エネルギから電気エネルギなど、他の系のエネルギーに変換する装置をいう。



【VPTの歴史】

2ch.ステレオ録音をする際に、ダミーヘッドマイクロホンという人形型マイクロホンを用いると、収音された2chの信号をヘッドホンで再生しても頭の中にこもらず(頭内定位せず)、臨場感豊かな再生効果を楽しむことができます。
これがバイノーラル収音再生方式※5と呼ばれるもので、ソニーはこの方式の可能性について着目し、研究開発を続けてきました。 そして音源から両耳までの特性である頭部伝達関数(HRTF)を、デジタル信号処理で付加する信号処理技術、またヘッドトラッキング技術※6などのソニー独自の技術の開発を行ってきました。その結果、通常の2ch.ステレオ用ソースをヘッドホンで再生しているにもかかわらず、前方に置かれたL,R2個のスピーカで再生しているように聞こえる、夢のヘッドホンシステムVIP-1000(“バーチャルホン”)を、1994年に世界で初めて実現しました。

VIP-1000:世界初の2ch.ステレオ対応バーチャルヘッドホン(1994)

その後、DVD が発売されるにいたり、前方3ch(FL,C,FR)、後方2ch(RL,RR)そして重低域を受け持つLFE の5.1chに再生チャンネルは拡大されました。これに呼応し、ソニーでは5.1 チャンネルの臨場感のある音声を、6 台のスピーカ再生と同じような音場感で楽しめるサラウンドヘッドホンシステムMDR-DS5000を、1998年に世界で初めて実現しました。

 

MDR DS5000;世界初の5.1ch.ステレオ対応サラウンドヘッドホン(1998)

これらVPTを用いたヘッドホンシステムは、人間の聴覚研究、トランスジューサ技術※4、デジタル信号処理による音場再生技術を融合させたものです。これらの各要素技術の研究は更に進められ、その成果はその時点で製品に反映され、現在に至ります。

いくつかの要素技術の進歩を紹介しますと、人間の聴覚研究の観点からはヘッドホン筐体からの反射波と頭内定位との関連や、音場での壁からの反射波による前方定位感の増強効果の解明があります。

また、トランスジューサ技術※4に関しては、映画サウンドの臨場感を豊かに、また低域の迫力を増強するXDロングストロークドライバーユニットを開発、MDR-DS3000, MDR-DS4000などで実現しました。

「デジタル赤外線伝送方式」採用デジタルサラウンドヘッドホンシステム MDR-DS4000

さらに、デジタル信号処理による音場再生技術では、ヘッドトラッキング技術※6の5.1chへの拡大、などがあります。これによりワイアレスヘッドホンでありながら、5.1chのヘッドトラッキング付きサラウンドヘッドホンシステム:MDR-DS8000が実現しました。

再生可能な音声の記録方式に関しては、ドルビーデジタル、DTS、ドルビープロロジックII、MPEG-2 AAC、またDTS-ESによる6.1chサラウンドなどのデコーダーも内蔵し、ソフトやソースに合わせた様々なサラウンドに対応、更なるバーチャルサラウンドの世界を広げています。

一方、ワイアレス伝送方式については、従来の「アナログ赤外線方式」から、「デジタル赤外線方式」を自社開発、MDR-DS4000、MDR-DS8000に搭載して、より伝送ノイズが少なく、かつダイナミックレンジの広い再生が可能になりました。また、受信範囲が広く、混信の心配も不要な「2.4GHzデジタル無線伝送方式」を開発し、MDR-DS6000に搭載しました。

「2.4GHzデジタル無線伝送方式」採用デジタルサラウンドヘッドホンシステム MDR-DS6000

 さらに、上記のような単品サラウンドヘッドホンだけでなく、VPTは各種ウォークマンにも「VPTアコースティックエンジン」として数多く搭載されています。
ウォークマンには、2チャンネルステレオ再生に適したアルゴリズム、および音場データを選ぶ事により、アウトドアでも臨場感ある音楽再生を実現します。

MZ-EH70

このようにVPTは、様々な要素技術のたゆまぬ研究開発により、更なる進歩を目指しています。