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ソニーのオーディオ関連の核となる技術とは? その特長をエンジニアに聞いた。

ソニーの技術を結集させて
究極の音を目指す「ハイレゾ」

アコースティックマネジャー
井出 賢二さん(左)

アコースティックマネジャー
杉山 雅紀さん(右)

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アコースティックマネジャー
井出 賢二さん(左)

アコースティックマネジャー
杉山 雅紀さん(右)

「ハイレゾ」とは

ハイレゾとは「ハイレゾリューション」の略で、「高精細」や「高解像度」を意味する言葉です。
ハイレゾ音源とは「スタンダードレゾリューション」であるCD(サンプリング周波数44.1kHz/量子化ビット数16bit)やDVD(48kHz/16bit)を超えるもので、96kHz/24bit等のPCM音源やDSD音源などがあります。
ハイレゾ音源は、CDの数倍の情報量により、楽曲の細やかなニュアンスが伝わりやすく、また、演奏が行われたスタジオやホールの大きさ、広さ、残響音などがイメージしやすく、「空間再現性」に優れているという特長があります。

ソニーのハイレゾの歴史

高解像度、広帯域再生への挑戦は1990年代から始まっています。その一例が1999年に商品化されたスーパーオーディオCD(SACD)。これはDSD2.8MHzというフォーマットで、ファイル形式であればハイレゾ音源でした。しかし、SACDを聴くには専用のプレーヤーが必要でかつ非常に高価であったことや、音源タイトルが少なかったことから一部のオーディオ愛好家には支持をされているものの、一般的には認知されにくいものでした。

その後、2000年代後半になるとポータブルミュージックプレーヤーやスマートフォンなどで音楽を楽しむことが一般的になり、ヘッドホン、イヤホンユーザーが急増します。そこで2012年、「ソニーのヘッドホンの音づくりのセンター」という位置付けで『MDR-1R』を発売。80kHzまで再生可能なこの製品を通じて、多くの方からハイレゾ音源の価値を認められるようになります。

この流れを受け、ソニーは2013年秋、ハイレゾ対応商品の全面展開に踏み切ります。「ウォークマン®」、リニアPCMレコーダー、ヘッドホン、HDDオーディオプレーヤー、アンプ、スピーカーと、ポータブル用途からホーム用途まで幅広いカテゴリでのべ18機種を同時発売。ハイレゾ音源も配信するサイト「mora」などとも連携し、音源配信からその器となるプレーヤーからヘッドホンやスピーカーまでのフルラインナップで、ハイレゾ普及を本格化させたのです。

ソニーのハイレゾの歴史
「MDR-1R」、2013年秋の
全面展開で18機種を同時発売
ソニーのハイレゾの歴史

ソニーのハイレゾ技術の特徴

ソニーの音作りはクリエイターやアーティストの「こう聴いてほしい」という要望をできるだけ忠実に再現することを根幹に据えています。

普及価格帯で本格的にハイレゾ対応を追求した第一弾の商品であるハイレゾ対応スピーカーシステム『SS-HA1』では、一般の方にもハイレゾの良さを楽しんでいただくことを目指し、再生帯域の拡大はもちろん、指向性の改善やスイートスポットの拡大にも挑戦しました。部屋のどこかで、何かをしながらでも、ハイレゾの良さが伝わるようにするためです。この機種のために高感度な広指向性スーパートゥイーターを開発し、これをスピーカー正面だけでなく上部にも搭載しました。これと、音の回折を低減するキャビネット構造と相まって、スイートスポットを広げ、より身近にハイレゾを楽しめるようにしたのです。また、過渡応答を向上するMRC振動板ウーファー、剛性が高く板振動を抑えたキャビネットなどハイレゾ対応をとことん突き詰めました。

SS-HA1
「SS-HA1」
スーパートゥイーターの指向性
スーパートゥイーターの指向性
正面・天面のスーパートゥイーターシュミレーション
正面・天面のスーパートゥイーターシュミレーション
ソニーのハイレゾ技術の特徴

ヘッドホンに関しては、フラッグシップモデル『MDR-Z1R』に、ソニー最高峰の技術を注ぎ込んでいます。その一つが、空気を震わせて電気信号を物理的な音に変える「ドライバーユニット」の心臓部、振動板。ハイレゾ音源に含まれている可聴帯域を超えた超高音域に含まれている微小な音を再生するために、独自のシミュレーション技術を用いて振動板の素材や形状を何度も何度も検討し、120kHzの超高域再生を実現。これにより、ハイレゾ音源の持つ豊かな空気感を余すところなく再生することができます。

さらに、ハイレゾ対応製品を認定する規格の策定についてもソニーが主導となって行ってきました。私たちは社内で「ハイレゾ評価委員会」を組織し、ハイレゾと認定する測定方法を検討。また、物理特性だけではなく、実際に聴感での評価を行うための評価方法のを策定をし、社内で実施しています。当社のエンジニアは、モノづくりはもちろんそのモノの品質を担保するための仕組みづくりにも積極的に参画しています。

エンジニアのやりがい

「今までにないモノをつくりたい」というエンジニアとしての思いと、「より良い音で音楽を楽しみたい」という音楽への愛情です。特に音楽に対する愛情は、エンジニアに必須だと思っています。私たち音響設計者はシミュレーション技術や高度な測定装置を駆使しますが、それでも最後に頼りにするのは自分の耳と感性。いかにして自然でよい音をつくるか。この終わりのない旅への挑戦が面白くてたまりません。

こんな人に来てほしい

まず、音楽が好きなこと。もっと言えば、自分なりの「いい音」を持っている方に来てほしい。「いい音」を定量的に測る客観性と、どこまでも「いい音」を追求していく強烈な情熱を備えた方にこそ、ぜひ私たちの仲間になってほしいですね。

エンジニアのやりがい エンジニアのやりがい

音楽にもっと浸れる環境をつくる
「ノイズキャンセリング」

アコースティックマネジャー
生出 健一さん

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アコースティックマネージャー
生出 健一さん

ノイズキャンセリングの原理とは?

ノイズキャンセリングとは、ヘッドホンに内蔵されたマイクで拾った騒音の音波に対して、形が正反対の音波(逆位相と呼ぶ)を重ね合わせて、騒音の音波を消してしまう技術です。

ノイズキャンセリングの原理
  • ノイズキャンセリングの原理
    ヘッドホンに内蔵されたマイクで周囲から騒音を拾い、ノイズキャンセリング回路でその音を分析。
  • ノイズキャンセリングの原理
  • ノイズキャンセリングの原理
    その騒音を打ち消す効果のある、逆位相の音を発生させます。
  • ノイズキャンセリングの原理ノイズキャンセリングの原理
  • ノイズキャンセリングの原理
    元の波と、逆位相の波を重ね、元の波を削除。これにより周囲の騒音を軽減します。

ソニーのノイズキャンセリングの歴史

ソニーがノイズキャンセリング技術の研究に乗り出したのは1980年代のこと。1992年に世界で初めて、旅客機内向けの民生用のノイズキャンセリングヘッドホンを開発。その後、1995年に市販品としてアナログノイズキャンセリングヘッドホン『MDR-NC10』を発売します。

ターニングポイントとなったのは、2008年に、再び世界初となるデジタルノイズキャンセリングヘッドホン『MDR-NC500D』を発売したこと。旅客機や電車などでの移動時などでも、音楽にもっと浸りたいというニーズを捉え、ノイズキャンセリング市場は急拡大していきます。

MDR-NC10
ソニー初にして世界初の市販ノイズキャンセリングヘッドホン2機種。左がインナーイヤー型の「MDR-NC10」、右がオーバーヘッド型の「MDR-NC20」
MDR-NC20
「MDR-NC20」
デジタルノイズキャンセリングのシステム構成
デジタルノイズキャンセリングのシステム構成

ソニーのノイズキャンセリングの特徴

2018年に発売した『WH-1000XM3』は、初代機『MDR-1000X』で達成した業界最高クラスのノイズキャンセリング性能を進歩させ、さらに高性能な業界最高クラス*のノイズキャンセリングを実現できました。これまでに積み上げて来たソニーのノイズキャンセリング技術に磨きをかけることで、ノイズは「ほとんどなくなる」レベルになったと思います。その高いノイズキャンセリング能力の秘密は、「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」にあります。さまざまな方向から入ってくるノイズの経路を見える化し、総括してノイズキャンセルをする仕組みを開発。このロジックは、世界の様々な学会に参加してもわからない、まさに暗中模索の中で私たちが導き出したものでした。なお、『WH-1000XM3』では、『MDR-1000X』の4倍の処理能力を実現しています。

また、ユーザーの行動を検出して自動的にノイズキャンセリングや外音取り込みモードを切り替える「アダプティブサウンドコントロール」や、ヘッドホンの装着状態によってノイズキャンセリング性能を最適化する「パーソナルNCオプティマイザー」も、ソニーの大きな特長でしょう。まさかヘッドホンのエンジニアがアプリ開発に関わることになるとは思いませんでしたが、ユーザーの使い勝手を追求するとはどういうことかを考える上では大きな学びになりました。

*:2018年8月30日時点、ソニー調べ。JEITA基準に則る。ノイズキャンセリングヘッドホン市場において。

「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」
「高音質ノイズキャンセリングプロセッサーQN1」
WH-1000XM3
「WH-1000XM3」
個人の装着状態に最適なノイズキャンセリングを実現
個人の装着状態に最適なノイズキャンセリングを実現
  • 止まってる時
    止まってる時
  • 歩いている時
    歩いている時
  • 走っている時
    走っている時
  • 乗り物に
    乗っている時
    乗り物に乗っている時

行動に応じて最適なモードに切り替える「アダプティブサウンドコントロール」ペアリングしているスマートフォンの加速度センサーにより、止まっている時/歩いている時/走っている時/乗り物に乗っている時の4パターンの行動を検出。ユーザーの行動に合わせて最適なノイズキャンセリングや外音取り込みモードに自動で切り替える。

エンジニアのやりがい

当社のエンジニアは、誰かの真似ではなく、未開の地を切り開きたいと考えている人ばかりです。私自身、ノイズキャンセリング技術の開発ではまさしく未開の地を進んだわけですが、実現できたときは大きな達成感を得られました。また、ノイズキャンセリング技術は、今のように一般的になる以前からずっと研究してきた先輩方が築いてきた資産でもあるので、今、こうして多くの方に評価いただくのは、非常に感慨深いものがあります。
仕事をしていれば失敗もたくさんあります。しかしソニーでは大きな失敗をしてもチャレンジしたことに対して賞賛されるカルチャーがある。「それはいい失敗だったね!」なんて言われるほどですから。

こんな人に来てほしい

LGBTが日本でも浸透しつつありますが、ソニーで働く人は本当に多様です。自分らしく生きたいと考えている人にはフィットする会社だと思います。レガシーをぶち壊すような挑戦者に、ぜひ来てほしいですね。

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