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藤田 修二

「香り」のコンテンツを成立させた「AROMASTIC」。その商品化は、新規事業創出プログラム「Sony Startup Acceleration Program」をはじめとする、ソニーならではの仕組みや環境、風土があったからです。
藤田 修二
  • 所属:Startup Acceleration部 OE事業室
  • 専攻:理学系研究科 生物化学専攻
  • 入社:2009年

ソニーになかった「嗅覚」にフォーカスを当てる

私が事業化に携わったのは、5つの香りを手軽に持ち運べて、好きな時・場所で自分だけの香りの空間を出現させるパーソナルアロマディフューザー「AROMASTIC」です。視覚と聴覚に関する商品を手がけてきたソニーにとって、嗅覚に訴える商品を世に送り出す初めての試みです。
私は2009年に入社後、先端マテリアル研究所に配属となり砂糖で発電する酵素燃料電池の研究に従事していました。そのとき社内で開発の進んでいたヘッドマウントディスプレイ(HMD)に触れる機会がありバーチャルリアリティ(VR)のワクワク感や、商品という“モノ”がもたらす新しい体験に大いに魅了されました。同時にソニーには、視覚と聴覚に訴えるデジタルな商品群はあっても、「香り」など嗅覚に訴えるものがないと気づいたのです。
VRの映像に、あえてデジタル化できない香料を加えて嗅覚も刺激することで、新しい体験を提供できるのではないか……。そう考えた私は、勤務外の時間でVRに香りを加える試行錯誤を重ねていたのですが、どうしてもコストや技術的なハードルが高く、モノとして商品化することの展望が開けませんでした。ちょうどそんな時、以前から希望していた公募留学制度に選ばれ、2012年から1年間、ハーバード大学へ留学することになったのです。

モノづくりの本質、シンプリシティの具現化に取り組む

「香り」への取り組みは一時中断しましたが、この留学で香りを商品化するための重要な知見に出会うことになりました。それが私の担当教授のポリシーだった「シンプリシティ」です。簡潔であるからこそ失敗しない、つまり複雑なものは世に出ていかない、実用化はシンプルに——モノづくりの本質を学びました。
帰国後、「香り」をコンテンツとして成立させたかった私は、香りを手軽に楽しむ手段を何としても商品化したいと考え、研究所に戻りつつ「香り」への取り組みを再開しました。そして試作したプロトタイプに対する周囲の反応に手応えを感じて、2015年に新規事業創出プログラム「Sony Startup Acceleration Program(SSAP)」の社内オーディションにのちのAROMASTICとなる「香りの商品化」の企画書を提出し、選考を突破。そして新規事業創出部へ移り、プロジェクトリーダーとして商品化に向けて走り出しました。
最も意識したのは、香りを手軽に楽しむというコンセプト。従来の携帯用アロマ製品は、アロマ液を準備しなければならず、持ち運びも不便。プロジェクト当初に行ったユーザー検証や大規模な市場リサーチの結果も「準備も片付けもメンテも不要。香りが周りに拡散せずに手も汚れない」という、Ready to Goなスタイルを求めるものでした。まさに「シンプリシティ」の具現化です。
改めて、さまざまな形態を試作し構造を検討しました。そもそもどう持って操作するのか、香りはどう噴出するのか、どうすれば何種類もの香りを楽しむことができるのか……。類似品はなく、0から1を創り出す産みの苦しみを味わいましたが、留学先で知ったマイクロ流路技術などを応用することで、シンプルな操作・噴出・コントロールに成功し、商品化への道筋を開いていきました。

ソニー初の商品を成長させて、貢献していく

商品化された「AROMASTIC」はとても使いやすく、このカタチ・構造しかないといえるほどの納得感があります。それはユーザーの要望や商品コンセプトの具現化に、妥協をしないシンプリシティの追究で向き合えたからです。
そして事業には、開発だけではなく販路の開拓も必要で、“ソニー初”の実感はそこでも味わえました。量販店や小売店などに自ら商談に行き、既存のソニー商品とは違う販売ルートを積極的に開拓していかなければならなかったのです。また、香りのカートリッジは消耗品のため、リピーター市場の開拓・構築も必要ですが、そこにはリピートしやすい環境を整備することで収益性を高め、ソニー全体に貢献できる商品へと成長させていく責任とやりがいがあります。
嗅覚に訴える商品を通して、世の中になかった新しい体験やライフスタイルを提供したい——。この想いの実現も、勤務外の時間で研究者や技術者たちの自由な活動を認める環境、「SSAP」という新しい事業に挑戦できる仕組み、妥協せずモノづくりを追究する風土が揃っていたからこそ可能だったのだと感じています。「AROMASTIC」は、ソニーでなければ生まれなかった商品なのです。

AROMASTIC

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