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2010年07月20日

世界初※1100ワット出力の青紫色超短パルス半導体レーザーを共同開発

— 次世代大容量光ディスク記録・ナノ加工用光源の実用化に道 —

国立大学法人 東北大学
ソニー株式会社

 国立大学法人東北大学・未来科学技術共同研究センター・横山弘之教授(以下、東北大学)とソニー株式会社・先端マテリアル研究所(以下、ソニー)は、共同研究の成果として、レーザー光のピーク出力を従来の世界最高値から一気に100倍向上させた青紫色超短パルス半導体レーザー※2を開発しました。


  • 青紫色超短パルス半導体レーザー発振の様子
    (矢印部分は光半導体増幅器)

  • 新開発青紫色半導体レーザー(右)
    新開発光半導体増幅器(左)
 今回開発に成功したのは、波長405ナノメートル(1ナノメートルは1メートルの10億分の1)の青紫色領域で、3ピコ秒(1ピコ秒は1秒の1兆分の1)の超短時間幅、100ワットの超高出力ピーク出力、1ギガヘルツの繰り返し周波数を持つ、光パルスを発生できる半導体レーザーです。新開発・独自構造の窒化ガリウム(GaN)系モード同期型半導体レーザー※3と光半導体増幅器※4を高度に制御することで、従来の青紫色パルス半導体レーザー出力の世界最高値の100倍以上にもなる100ワット超のピーク出力を実現しています。
 これまでも、固体レーザー※5や波長変換素子を組み合わせた高機能・高価な先端科学研究用途の超高出力・超短パルスレーザー装置は存在しましたが、光源装置自体が大型で、レーザーの安定動作のために専門技術者による操作が必要でした。今回開発した半導体素子の組合せによる半導体レーザーシステムは、将来、こうした装置を大幅に小型化できる技術で、用途の大幅な拡大が期待できます。
 今回開発した超高出力・超短パルス半導体レーザー光源では、高強度レーザー光のもとでのみ生じる2光子吸収※6と呼ばれる非線形現象を利用することが可能で、レーザー光をレンズで集光した際、レンズの焦点付近でのみ、レンズの焦点スポット径よりも小さな領域で化学変化や熱的な変化を起こすことができます。この性質を応用することで、無機・有機物質のナノメートルオーダーの3次元微細加工や、次世代大容量光ディスク記録など、幅広い分野への応用の可能性が広がるものと期待できます。
 ソニーでは、本技術の次世代大容量光ディスク用途への原理検証として、プラスチック材料の内部に、3マイクロメートル毎に直径300ナノメートル程度の空孔をあけ、これをレーザー光で読み取る実験に成功しています。

 今回の研究成果は、材料・デバイスの基礎に立脚して産学連携共同研究プログラムを推進する東北大学の超短パルスレーザー基盤技術とソニーの半導体レーザー素子基盤技術との融合で得られたものです。今後は、さらなる高出力化や多機能化など基盤技術の育成を進めるとともに、システムの小型化・安定化など実用化技術の開発を進めます。

 なお、今回の研究成果は、米国の学術論文誌Applied Physics Lettersに掲載されました。(Appl. Phys. Lett. volume 97, issue 2, page 021101 (2010); doi:10.1063/1.3462942 (3 pages), Online Publication Date: 12 July 2010 )

  • ●青紫色超短パルス半導体レーザーのシステム概略

  • ●ストリークカメラ測定による光の時間波形
●試作した青紫色超短パルス半導体レーザーの性能
レーザー波長 : 405 nm (GaN系半導体レーザー) 繰返し周波数 : 1 GHz
ピーク光出力 : 100 W 以上 パルス幅 : 3 ps

●試作レーザーによる光ディスク記録の原理検証

<注釈の説明>

※1 2010年7月20日現在。東北大学・ソニー調べ
※2 超短パルス半導体レーザー:レーザー光をパルス状に発生させる(短い間隔で明滅を繰り返す)ことができて、かつそのパルスの時間幅が非常に短い(今回の場合は3ピコ秒)半導体レーザーのこと。
※3 モード同期型半導体レーザー:超短光パルスを発生させる半導体レーザーの一種で、共振器内をピコ秒オーダーやそれ以下の時間幅の光パルスが往復するような動作形態の半導体レーザー。
※4 光半導体増幅器:半導体で直接光を増幅できる光増幅器。構造は半導体レーザーに似ているが、端面の反射防止加工などによって光増幅機能を高めている。
※5 固体レーザー:レーザー媒質にルビーなど固体結晶を用いたレーザー。超短パルス固体レーザーの代表例であるチタンサファイアレーザーでは、チタンを添加したサファイア結晶を用いる。
※6 2光子吸収:代表的な非線形光学現象の1つ。非常に強い光と物質が相互作用する場合には、物質の応答は光の電磁場に必ずしも比例せず、多彩な現象が生じる。2個の光子を同時に吸収して、光子のエネルギーの和に相当する固有状態に遷移する現象を2光子吸収という。この現象を利用して、強力なレーザー光をレンズで集光すると、焦点位置付近でパワー密度が極めて高くなることから、無機・有機材料をレーザー光で加工する場合、焦点位置を変えることで3次元的な加工が可能になる。

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