マネジメントアプローチ
重要と考える理由
創立以来、常に最先端の技術開発に取り組み、世の中に新しい価値を提供し続けきたソニーにとって、「人」は最も重要な経営資源です。多様なビジネスをグローバルに展開し、持続的な社会価値と高収益を創出する企業となるためにも、社員は重要なステークホルダーです。多様な社員の違い、意欲、能力を最大限に生かし、一人ひとりのエンゲージメントを高めることが、人材・組織力を持続的に高め、経営全体のパフォーマンスを上げるものと考えます。
基本的な考え方
ソニーは、最も重要なステークホルダーのひとつである人材を"群"ではなく"個"としてとらえています。強い意志と自主性・成長意欲を持った個性あふれる社員一人ひとりに寄り添うことで、社員の持つ力が最大限に発揮されると考えています。この考え方は、創業者のひとりである井深大が1946年に起草した「設立趣意書」において、「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」「実力本位、人格主義」「個人の技能を最大限に発揮」として示されており、現在まで脈々と受け継がれています。"個"の人材とソニーの関係は、「都度、お互いに選び合い、応え合う関係」と定義しています。"個"の成長が組織の成長につながることによって、ソニーの成長を実現します。また、ソニーの持続的な成長は、社員一人ひとりにさらに多くの挑戦と成長の機会をもたらします。
ソニーの強みであり価値創造のドライバーととらえているのが、事業と人の多様性です。多様な事業と個性豊かな人材の挑戦がソニーの持続的な価値創造とつながるためには、社員一人ひとりがSony's Purpose & Values (存在意義と価値観) を意識し、共有していることが大切です。そのため、ソニーが求める人物像を示すと同時に、「ソニーが社員に提供する価値」と「ソニーが社員に求めること」をグループ共通で定義しています。
ソニーが社員に提供する価値、ソニーが社員に求めること
ソニーが社員に提供する価値 |
ソニーが社員に求めること |
- 世界を感動で満たすという夢や志の実現に向けて、一人ひとりの挑戦心と成長意欲を尊重し、支援する環境
- 個が有するクリエイティビティを存分に発揮し、新たな価値創出の基盤となる、幅広いテクノロジーの蓄積と進化
- 多様な事業を有するソニーグループならではの多岐にわたるグローバルなキャリアの機会や可能性
- 多様な人材や視点から価値を生むインクルーシブなカルチャー
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- 夢と好奇心で未来を開拓し、人々の心を動かす
- 多様性を生かし、異なる視点を取り入れベストなものを飽くことなく追求する
- 倫理的で責任ある行動を体現し、ソニーブランドへの信頼を築き、高める
- ソニーの持続的な成長のために、規律ある事業活動を行い、ステークホルダーへの責任を果たす
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またソニーは、人種、国籍、宗教、信条、障がい、性別、年齢、出身地、性的指向および価値観、働き方などの多様性を尊重し、お互いを受容することで、社員一人ひとりの能力が最大限に発揮され、イノベーションにつながると考えます。多様性を尊重した組織風土づくりを進めることで、お客様への価値創造に貢献することが、ソニーが目指すダイバーシティ&インクルージョンです。
取り組みについては安全で健康に働ける労働環境の整備を基本とし、「Attract」 (人材獲得) 、「Develop」 (人材育成) 、「Engage」 (社員エンゲージメント) の3つを人材戦略のフレームワークの柱として、さまざまな活動を展開しています。
体制
ソニーでは、ソニーグループの人材に関わる重要な事項について、トップマネジメントで構成される人事検討会で議論・審議し、グループ各社に人事戦略のフレームワークを共有しながら、詳細な人事戦略は立案と遂行は各事業の自律性に委ねることとしています。
ダイバーシティ&インクルージョンを重要な経営課題の一つとして捉え、CEO直轄のダイバーシティ委員会を設置し、各種施策を推進しています。また、人権課題や人権リスク、両立支援、育児や介護、LGBT社員の働きかたなど幅広く相談できる体制や仕組みを構築しています。
安全衛生活動の推進については、全世界で事業所ごとにOHSAS18001に基づくマネジメントシステムを構築していましたが、さらなる安全衛生活動の強化と確実な推進を目的として、ISO45001※1に基づく「ソニー安全衛生マネジメントシステム」への移行を行いました。
- ※1ISO45001:労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格
2019年度の主な実績
2019年度の取り組みについて主な実績を抜粋し、ご紹介します。
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ダイバーシティ&インクルージョン
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- ダイバーシティの意義について「社員の認知・理解を高め、意識・行動変革へつなげる」ことを目的にダイバーシティウィークを国内外で4年連続開催
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- 世界経済フォーラム年次総会 (ダボス会議) にて発足した、障がい者がビジネス、社会、経済にもたらす潜在的な価値を発揮できるような活躍推進に取り組む国際イニシアチブ「The Valuable 500」に加盟
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- 「プライドハウス東京2019」に協賛し、大学ダイバーシティ・アライアンスUDA (University Diversity Alliance) との共催で「ダイバーシティトーク with UDA (講演およびパネルディスカッション) 」を開催
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- 外国籍社員のマネジメントに対し、外国籍社員とのさらなる信頼関係の構築、モチベーション向上につなげるためのコミュニケーションワークショップを開催
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社員の成長と活躍
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- 新人材育成コンセプトを実現する場であるPORTにて、スキルアップやキャリアに関連する研修や面談・イベント・セミナー、および持続的に学び合う社員自主コミュニティ活動を推進
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- 2000年よりグローバルリーダー育成プログラム「Sony University」を国内外で継続実施
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- ソニーグループにおける優れた個人エンジニアを表彰する「Sony Outstanding Engineer Award」や、全社レベルで認定する「Corporate Distinguished Engineer制度」を継続実施
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- グループ全体の技術交換会であるSony Technology Exchange Fairにおいて、Distinguished Engineerによるパネルセッション、Sony Innovation Fund (SIF) の投資先を中心としたオープンイノベーションショーケースを併設
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社員エンゲージメント
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- CEOをはじめとするトップマネジメントと社員のコミュニケーション (直接対話・情報発信) を国内外で実施
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- 国内外で社員エンゲージメント調査とその結果に基づくワークショップを2011年より継続実施
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- 音楽ビジネス (北米、英) にて、未成熟児を妊娠した場合、育児休業期間を延長する制度を導入
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- 国内エレクトロニクスグループ各社で、働き方改革推進プロジェクトを継続
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- 魅力的なワークプレイスの創造を国内外で継続実施。オープンコミュニケーションと創発の場として、社員の新しいチャレンジを支援
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安全衛生
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- 2019年度から2021年度のグローバル共通の中期指標である「安全衛生中期目標 (ISO45001外部認証取得、健康リスク低減活動実施等) 」を掲げ、グローバルガバナンスを強化
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- 労働安全衛生に関する監査やリスクアセスメントの継続実施
継続的に行ってきた取り組み※
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1966年
社内募集制度開始
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1973年
Sony Technology Exchange Fair開始
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1978年
ソニー・太陽株式会社設立
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1988年
フレックスタイム制度導入
ソニーグループ安全衛生基本方針制定
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1990年
育児休業制度を導入
フレックスホリデー制度導入
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2000年
Sony University設立
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2008年
フレキシブルワーク (旧 テレワーク) 制度導入
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2011年
ダイバーシティ推進委員会を設置
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2015年
フレキシブルキャリア休職制度導入
社内フリーエージェント制度導入
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2017年
国内エレクトロニクスグループ各社で働き方改革プロジェクトを実施
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2018年
新人材育成コンセプトを体現する場として本社にPORTを設立
- ※グループ等の記載・会社名がないものについてはソニー株式会社の取り組み
今後に向けて
今後も持続的な社会価値と高収益の創出のため、「ダイバーシティ」「社員の成長と活躍」「エンゲージメント」に注力し、安全で健康に働ける環境の整備を進めていきます。社員一人ひとりが働きやすく、新しいチャレンジを創発し、個性やスキル・能力を最大限発揮できる環境を提供していきます。
活動報告
- サステナビリティレポート2020 [PDF:14.66MB]
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