2019年8月29日更新

生物多様性の保全活動の指針と事例

保全活動の指針

ソニーでは、生物多様性に対する方針を定め「ライフサイクル全般を通した自然資本の保全活動および生物多様性の保全活動により、生物多様性条約愛知目標 (20の個別目標) の達成に貢献する」ことを目指しています。事業所は近隣の自然環境や地域の生態系と密接に関係していることから、地域を含めた生物多様性の保全活動を推進することで、愛知目標の達成に貢献しています。具体的には、2011年度から社内で導入している事業所の環境配慮を評価・促進する「Green Star Program」(グリーンスター・プログラム) を活用するとともに、生物多様性の配慮項目と施策を下記の表のように分類し、各取り組みを進めることが愛知目標の達成にも貢献すると社員に明示し、取り組みの意義を共有しながら活動を進めています。

生物多様性配慮項目と施策、および関連する愛知目標
配慮項目 関連する主な愛知目標
普及啓発
  • 生物多様性に関する教育、セミナーや講演会などの実施
  • 自然観察会の実施
目標1「普及啓発」:人々が生物多様性の価値と行動を認識する
調査
  • 生きもの調査、モニタリングの実施
  • 享受している生態系サービスの把握と配慮
  • 土地利用状況の把握
  • 地域の生物多様性保全計画の把握
目標19「知識・技術の向上と普及」:関連する知識・科学技術を改善する
環境整備
  • 生きものが生息しやすい環境の整備
  • エコロジカルネットワーク、緑の回廊への配慮
  • 立体的な植生の配慮
  • 在来種の採用
目標5「生息地破壊の抑止」:森林を含む自然生息地の損失が少なくとも半減、劣化・分断が顕著に減少する

目標10「脆弱な生態系の保護」:サンゴ礁など、環境の変化に特に弱い生態系を守る
悪影響への対策
  • 外来生物に対する対策
  • 排出物の生態系への悪影響への配慮
目標8「化学物質などによる汚染の抑制」:化学物質・肥料・農薬の汚染を有害でない範囲まで抑える

目標9「外来種」:侵略的な外来種を制御し、または、根絶する

目標12「種の保全」:絶滅危惧種を絶滅から防ぐ
保護・生態系
サービスの保全
  • 絶滅危惧種の把握と保護
  • 野生動植物の保護区域指定
  • 地下水涵養
目標11「保護地域の保全」:少なくとも陸域の17%、海域の10%を保護地域などにより保全する

目標14「生態系サービス」:自然の恵みをもたらす生態系が回復・保全される
管理事項
  • 化学物質使用の適切な管理
  • 有機資源の有効利用
  • 物品購入による生物多様性の配慮
目標4「持続可能な生産と消費」:すべての関係者が持続可能な生産・消費のための計画を実施する
外部との連携
  • ステークホルダーとの連携 (団体支援含む)
  • 生物多様性保全活動を行っている団体への支援
関連する目標項目は活動内容による

普及啓発

生物多様性の保全に向けた活動を広めるためには、さまざまな立場の人が生物多様性の価値について理解を深め、認識することが必要です。ソニーでは「気づくことが、守ることに、つながる」をキャッチコピーに、自然観察会、生きものをテーマにしたフォトコンテスト、地域学生への環境教育、絵画コンテスト、SNSを利用した生物多様性に関連する情報提供など、さまざまな生物多様性に関する普及啓発活動を行っています。また、これらの活動を通して、生物多様性条約 愛知目標の目標1「普及啓発」の達成に貢献していきます。

「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」の展開

ソニーは2015年度より、一般参加型の自然体験イベントやSNSによる生物多様性の情報提供を行う「わぉ!わぉ!生物多様性プロジェクト」を推進しています。2016年度からは、ソニー中国も本プロジェクトを導入し、フォトコンテストや自然観察会などの啓発活動を継続的に行っています。フォトコンテストでは、2016年度から現在までに自然や生きものを撮影した作品が累計で約3,700点も寄せられ、それらの作品を中国各地の事業所の社員およびその友人を含む約20万人にSNSを使って紹介しました。また、一般の方に向けて優秀作品の写真展を開催するとともに、展示期間中に生物多様性のレクチャーやソニー製カメラを使った生きもの撮影体験講座を行うなど、より多くの人々に生物多様性の面白さや重要性を考える機会を提供しています。

フォトコンテスト優秀作品の写真展
2018年度フォトコンテストの大賞作品

地域の小学生を対象とした環境教育の実施

ソニーUKテクノロジーセンター (UKテック) では、従業員のボランティアによって事業所敷地内にある野生生物の生息地の整備を進める一方、敷地内の環境センターでフォレストスクールという課外授業を行っています。UKテックは、地域の学校や団体と連携し、フォレストスクールに参加する生徒たちが自然に興味を持ち、自然との良い関係を築ける活動を行なっています。2018年度、環境センターはさまざまな活動を実施し、年齢もスキルも異なるさまざまな人々がのべ768人参加しました。また、週1回開催されるフォレストスクールに地元の小学校8校を受け入れたほか、月1回の土曜講座も開催して、より多くの子どもや若者たちに学習機会を提供しています。

事業所敷地内の豊かな自然の中に建つ「環境センター」

調査

各事業所では、保全活動を行う緑地や周辺地域における生きもの調査やモニタリング調査、定点観測などを行い、調査結果を保全計画に反映することで、地域の生態系に配慮した保全活動を進めています。また、こうした調査結果を公開することにより、生物多様性条約 愛知目標19「知識・技術の向上と普及」の達成に貢献していきます。

生態系のモニタリング調査

ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社 大分テクノロジーセンター国東サテライトでは、設立当初より保全している敷地内の原生林とアカテガニなどの海辺の生物が生息している海岸沿いにおいて、動植物のモニタリング調査を行っています。この調査により、2013年に絶滅危惧種のキンランとギンランの群生を発見し、以来、生育状況を観察しています。2015年より外来種調査も開始し、樹木の選定など構内の生態系の保全計画に生かしています。

動植物のモニタリング調査の様子

環境整備

各事業所では、生きものが継続的に生息・生育するために必要となる、隠れたり、産卵したりできる環境を整備することで事業所および地域の生物多様性の保全を進めています。例えば、巣箱の設置、落ち葉や剪定枝による腐葉土づくり、水辺の設置、植栽に在来種を積極的に採用するなど、周辺地域の生態系にも配慮した自然環境の保全活動を進めています。これらの活動を通して、生物多様性 愛知目標5「生息地破壊の抑止」や愛知目標10「脆弱な生態系の保護」の達成に貢献していきます。

英国で地域の自然保護活動に参加

ソニーDADCの社員たちは、英国エンフィールド地区で地域の環境ボランティア団体「Friends of Firs Farm」の自然保護活動に参加しました。この団体は、地域環境における緑地の大切さを学ぶことを目標の一つに掲げています。社員たちは、植樹、在来種の保護を目的とした外来種の排除、地域の池の再生などの取り組みを実施しました。こうした取り組みにより、誕生した新しい緑地は現在、若者たちが地域の生物多様性について学ぶための活動に使われています。

自然保護活動に参加したソニーDADCの社員たち

中国の生物多様性を保全する緑化活動

索尼数字産品 (無錫) 有限公司 (SDPW) は設立当初より、事業所がある江蘇省無錫市の生物多様性を保全するため、敷地内の緑化活動に取り組んでいます。これまでに敷地内の1/4を緑地として整備し、在来種の樹木833本を植林しています。現在も、落ち葉から腐葉土を作るなど生物多様性に配慮した緑地整備を続けており、野生の鳥が巣をつくって繁殖するなど豊かな生態系を築いています。また、この緑地は地域の子どもたちが生物多様性を学ぶ場として一般開放されています。2018年には、この緑化活動が評価され、SDPWは無錫市から地域の生態系保全に貢献する企業として「公園式工場」に認定されました。

植林活動の記念式典の様子

その他の取り組み事例

悪影響への対策

地域の生態系に悪影響を及ぼす外来生物の駆除活動や事業所緑地における農薬や化学肥料の適正利用 (土壌汚染防止、過剰栄養防止) により、生態系への悪影響の抑制に取り組んでいます。また、廃棄された使用済みプラスチックによる海洋汚染問題に対して「製品および製品包装のバージンプラスチック量の削減や、自社内で社員が使用する使い捨てプラスチック (レジ袋、ストローなど) の削減」と「事業所の近隣や河川、海岸での清掃活動による汚染防止」の両面から活動しています。これらの活動を通して、生物多様性 愛知目標8「化学物質などによる汚染の抑制」、愛知目標9「外来種」や愛知目標12「種の保全」の達成に貢献していきます。

渡り鳥の飛来地における海岸清掃活動

ソニー・フィリピンズ (SPH) と地域のボランティアネットワークであるハンズオン・マニラ (HOM) は、2018年にマニラ湾に接するラスピニャス市のフリーダム・アイランドにおいて海岸清掃を行いました。この地域は、東アジアからオーストラリアにかけて渡る渡り鳥たちの飛行経路にあり、中国や日本、シベリアからの渡り鳥がこの地のマングローブの森と湿地に巣をつくるために飛来してきます。しかし、この海岸にはたくさんのゴミが漂着することから、SPHとHOMは渡り鳥の巣や環境を保護するために、海岸清掃活動を実施し、プラスチック、布きれ、使い捨て容器など合計38袋分のゴミを回収しました。

SPH社員のボランティアによる海岸清掃

その他の取り組み事例

保護・生態系サービスの保全

地下水涵養 (かんよう) などの生態系サービスの保全、絶滅危惧種の把握と保護、野生動植物の保護を推進しています。これらの活動を通して、生物多様性 愛知目標11「保護地域の保全」や愛知目標14「生態系サービス」の達成に貢献していきます。

ハーピーイーグル (オウギワシ) の保護活動

パナマに位置するソニー・インター・アメリカン (SIA) では、パナマの国鳥であり、絶滅危惧種に指定されるハーピーイーグル (オウギワシ) の保護活動に取り組んでいます。1998年には保護活動を紹介する施設ハーピーイーグル・センターのスポンサーにもなり、2008年には液晶テレビ ブラビア™を組み合わせたビデオウォール (大画面展示) も提供しました。さらに、2016年には、ビデオウォールを84インチの4K液晶テレビ ブラビア™とソニーホームシアターシステムに置き換え、より高精細な記録映像で保護活動の大切さを伝えています。SIAはこの「Amigos del Águila Harpía (ハーピーイーグルの友だち)」活動への支援を通じ、ケージのメンテナンス、ハーピーイーグルの健康状態を観察する生物学者の派遣、生息地に近い先住民コミュニティでの講演活動を行っています。

ハーピーイーグル

「ほたるの里」再生プロジェクト

ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ株式会社 湖西サイトは、地元の自治体と協力して「ほたるの里」再生プロジェクトに取り組んでいます。湖西サイトの近隣には以前、ホタルが多く生息する里山がありましたが、近年ホタルの生息数が減少していました。湖西サイトでは里山の整備を行うとともに、在来種のホタルの幼虫を育成し、放流しています。

羽化したホタル

その他の取り組み事例

管理事項

化学物質使用の適切な管理や、落ち葉の堆肥化などの有機資源の有効利用を行っています。また、生物多様性に配慮した物品の購入を進めています。これらの活動を通して、生物多様性 愛知目標4「持続可能な生産と消費」の達成に貢献していきます。

環境に配慮した紙資源の購入

ソニーは、紙資源が有限であることを認識し、より環境に配慮した紙の使用を推進する、紙・印刷物に関する購入方針を策定しています。再生紙や森林認証紙など環境に配慮した紙を積極的に調達しています。

外部との連携

生物多様性の保全活動をより実効性の高いものにするために、専門家やNGOなどステークホルダーの意見を聞きながら、保全活動を進めています。例えば、調査活動では専門の調査機関、保護活動では自然保護団体、環境整備では行政やNGOなどと連携しています。また、生物多様性の保全活動を行っている団体への支援も実施しています。

取り組み事例

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