空間再現ディスプレイ
ELF-SR1

クリエイションの
新たな地平へ

裸眼のまま、あたかもそこに実物が存在するかのような立体的な空間映像を体験できる、空間再現ディスプレイ ELF-SR1。
このプロジェクトに際してデザイナーが追求したのが、従来の3Dディスプレイとは一線を画すこの革新的な映像テクノロジーの可能性をさらに高めること。
未来を見据えて生み出された新たな映像体験がゲームやCGはもちろん、建築や産業デザインなど幅広いクリエイティブ領域に変革をもたらします。

テクノロジーの可能性を
デザインすること

空間再現ディスプレイの出発点は「自分たちのテクノロジーを結集し、新しい3D映像表現を世の中に提供したい」というソニーの研究者たちの想いでした。特別なメガネやヘッドセットを使わず、裸眼で見られる超高精細な3DCG映像の実現を目指し、高速ビジョンセンサーや視線認識技術などソニー独自の先進技術を投入。見る人の目の位置を常に検出し、左右それぞれの目に最適な映像をリアルタイムに生成することで、視点の変化にも滑らかに追従する立体的な空間映像を生み出しました。

製品化に向けてプロジェクトに参加したデザイナーが、試作機の映像を見て感じたのが、かつてない実在感と奥行き感を持つこの立体映像の限りない可能性でした。「映像クリエイターのみならず、スケールモデルを扱う建築家やプロダクトデザイナーの制作現場、さらに店頭のプロモーションや展示会のサイネージなど多彩な場面で活用できるのではないか」そんな考えから、デザイナーはまずプロジェクトメンバーに幅広いユースケースを示し、立体映像の潜在価値を可視化。それをもとに、このディスプレイの可能性をさらに広げるためのプロダクト/コミュニケーションデザインを模索していきました。

創造力を駆り立てる
プロダクトに

このディスプレイの可能性を広げるには、デザインの力でテクノロジーを翻訳し、より自由に使いやすくすることでユーザーとなるクリエイターの創造力や発想力を駆り立てるプロダクトにしなければならない。そう考えたデザイナーは、エンジニアから予め提示されていた「斜め45度のディスプレイ設置角度」「視線認識用センサーの効果的な配置」といった設計条件に加え、多様な領域のクリエイターの制作現場や、さまざまな場所での展示など幾通りものユースケースを想定し、あらゆる課題の最適解として3つの特長から成る「Triangle Frame」というデザインコンセプトを導き出しました。

その1つ目の特長は「Precision(高精度)」。切削加工したアルミ押出材を用いた直角二等辺三角形のフレーム構造によって、傾けた状態で配置したディスプレイやセンサーに求められる高い寸法精度に対応。2つ目は「Durability(耐久性)」。デバイスをすべて三角形の内側に収め、フレームそのものを構造体とすることで、幅広いクリエイションの現場に耐えうる剛性を確保。3つ目が「Iconic(象徴)」。すべての条件を機能として昇華した造形は、これまでにないリアルな立体映像体験をシンボリックに表現することになりました。さらに、筐体の左右・背面・底面に開口部を設け、どの方向にもケーブルを通せるようにし、壁付けでの使用や、展示会や店舗の造作物への組み込みも可能にするなど広範な用途に対応できるよう工夫しています。

映像だけが
目の前に広がるように

さらにデザイナーが注力したのが、この立体映像への没入感を高めること。2.1chのスピーカーを搭載し、左右の開口部と正面下部から音を出すことで、ユーザーを包み込むような画音一体の体験を実現。同時に、視聴を邪魔するノイズを視界から極力なくすため、操作ボタン類は視聴位置から見えないディスプレイ上辺に配置するとともに、画面を覆うガラスの黒い枠の明度や色味をコンテンツの背景となじむように微調整。さらに、アルミフレームも照明が反射しにくいマットなブラスト仕上げにするなど、細部の加工まで徹底的にこだわり、ユーザーが映像だけに集中できるようにしています。

未来を見据え、あるべき姿を探る

ソニーでは「クリエイターの夢の実現を支える」ことを目指していますが、空間再現ディスプレイはまさにそれを体現するものです。新たな映像表現を可能にするのはもちろんですが、例えば、プロダクトデザインの現場ではモックアップをつくらずとも、この立体映像で細かい質感まで確認できるとともに、その映像を遠方の関係者にも共有できるなどワークスタイル自体を変える力を持っています。そのような観点から幅広い領域のクリエイションに貢献する可能性を見据えて、このディスプレイのあるべき姿を探っていきました。

デザイナー 内田

未知の映像体験の
魅力を伝える

このディスプレイの可能性をいかに世の中に伝えていくか。デザイナーがプロジェクトメンバーに提案したのが、さまざまな領域のクリエイターに対し、ただ機能を説明するのではなく、彼らの創造力を刺激し「自分だったらどう使うか」とイメージを膨らませてもらえるようなデモンストレーション用のコンテンツ制作でした。「画面はコンテンツのためのステージ」と考え、各領域のクリエイションの現場に向けて、このディスプレイの特性をより実用的かつ魅力的に伝える独自のコンテンツをつくっていきました。

例えば、プロダクトデザインの領域を意識したコンテンツでは精巧な腕時計の立体映像をつくり、その圧倒的な実物感によって細かい質感や光の反射までチェックできることを示し、製品開発の現場で役立てられることをアピール。SF映画をイメージしたコンテンツではハリウッド映画の制作会社と協力して、近未来の世界を飛び回る車や情景をこれまでにないリアリティで描写し、3DCG映像表現の新たな展望を提示しました。

そして、今回のコンテンツの中でデザイナーが特に注力したのが、自ら絵コンテを描いてつくりあげた立体アニメーション。少年と猫のキャラクターがキッチンで織りなす寸劇で、見る人が視点を変えるとゴミ箱に隠れている猫が見えるなど、視線認識技術をいかしたギミックを散りばめながら制作。見るたびに発見があり、クリエイターが新たな映像表現のアイデアを膨らませるきっかけとなるコンテンツをつくりだしました。

より実践的な
コミュニケーションを

さらに製品化に向けて、ユーザーへのコミュニケーションも練り上げていきました。ブランドの核となるロゴは「Triangle Frame」の二等辺三角形をベースにし、3D関連のロゴでよく使われる凸型の立方体ではなく、空間再現ディスプレイの特長である奥行き感を表現した凹型に見えるグラフィックを作成。モーションロゴは「画面はコンテンツのためのステージ」という考えをもとに、スポットライトが当たって新たな舞台が現れるというストーリーに沿って仕立てました。

そして今回のコミュニケーションで最も難問だったのが、平面のWEBカタログなどで立体映像の魅力をいかに伝えるかということ。デザイナーは擬似的な映像を見せるよりも、さまざまな領域のクリエイターに空間再現ディスプレイを体験してもらい、その素直な感想を紹介する方がプロダクトの可能性が伝わると考え、「建築家編」「CGクリエイター編」「プロダクトデザイナー編」の3篇のプロモーションビデオを作成してWEBカタログで公開。彼らの肉声を通じて「制作現場がどう変わるのか」「どのような映像表現にアプローチできるのか」とより実践的な情報を提供しました。

プロモーションビデオ「建築家編」

プロモーションビデオ「CGクリエイター編」

プロモーションビデオ「プロダクトデザイナー編」

(左から)プロモーションビデオ「建築家編」「CGクリエイター編」「プロダクトデザイナー編」

新しい映像文化をつくりだすこと

私たちが目指したのは、新しい映像文化をつくりだすことでした。空間再現ディスプレイに魅力を感じたクリエイターが新たな映像作品をつくり、さらに、その作品を見たクリエイターが別の映像作品をつくりだしていく。そんな連鎖のなかで、私たちが想定もしていなかった感動体験が生まれれば、これに勝る喜びはありません。

デザイナー 新井

さまざまなシーンで映像表現の可能性を広げる、空間再現ディスプレイ。
ソニー クリエイティブセンターはこれからも、デザインの力で
テクノロジーを翻訳し、クリエイターの夢の実現をサポートしていきます。