Interactive Content Solution

心をつかむ瞬間をデザインする

日常生活はメッセージで溢れている
例えば、屋外広告の看板、ポスター、テレビ番組、新聞、メール、ソーシャルメディアなど、
私たちの周りにはメッセージを伝える媒体が無数にあります。
その中で強く印象に残り、記憶にとどまるメッセージを打ち出すにはどうすればよいか。
その答えを探るべく、ソニーデザインセンターヨーロッパではInteractive Content Solutionという、
ソニーのディスプレイテクノロジー、センシング技術、コンテンツ制作を融合したシステムの開発に取り組んでいます。
センシングとコンテンツを組み合わせることで実現するインタラクティビティにより、
コンテンツの人を引きつける力が増し、それに触れた人が立ち止まり、没頭する瞬間を生み出します。
開発の背景と今後の展望についてプロジェクトメンバーに話を聞きました。

ソニーデザインセンターヨーロッパ
クリエイティブプロデューサー
竹村 萌

テクノロジー プロモーション部門
プロジェクトリーダー
ヨハン・ハンソン

テクノロジー プロモーション部門
ディレクター
カール=ヨハン・ダールストロム

ソニールンドオフィス(スウェーデン)
サイトマネージャー
ステファン・アンダーソン

インタラクティブコンテンツ
による
空間の活性化

このプロジェクトはスウェーデンで行われていたオフィス空間を活性化する取り組みの一環としてはじまった。プロジェクト立ち上げの経緯と狙いとは?

竹村もともと、ファシリティマネジメントチームが進めていたオフィス空間のリニューアルを手伝っていたのですが、その際に平凡な長さ12メートルのスペースを活性化するという課題がありました。ちょうどその頃、システム開発チームとも協働していて、ソニー・ピクチャーズの映画のプロモーション用にプロジェクターとセンサーを活用した没入型のインタラクティブゲームを制作し、マーケティングチームにも観客にも大変好評でした。そこで、この技術をオフィスのリニューアルプロジェクトにも応用し、壁一面をインタラクティブにできないかと考えました。空間に命を吹き込むとともに、今後の技術開発やテスト、ユーザー体験のデザインにもこの場を役立てられるのではないかと。そんなアイデアをファシリティマネジメントチームに提案しました。

アンダーソン竹村の提案は私たちのビジョンとも合致していました。スウェーデンオフィスでは複数のチームがB2B向けスマートソリューションの開発に取り組んでおり、オフィススペースを実験・開発の場として利用しています。また、リニューアルが必要なスペースは正面玄関のすぐ横にあるため、モダンでスマートなオフィスの顔であるべきだと思っていました。竹村のアイデアを起点に、社員だけでなく、来訪者にもインスピレーションを与えられるような空間にできればと考えました。

映画『スパイダーマン: スパイダーバース』(2018)のプロモーション

映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』(2019)の
プロモーション

(左):映画『スパイダーマン: スパイダーバース』(2018)のプロモーション
(右):映画『メン・イン・ブラック:インターナショナル』(2019)のプロモーション

デザイナーが扱いやすい
柔軟なフレームワーク

開発したシステムはどういった内容で、どのようにして実現したのか?

竹村コンテンツを更新しやすい柔軟なプラットフォームをいかに作るかが課題でした。ソニー・ピクチャーズの映画のプロモーション用に開発する体験型エンタテインメントは、個々の映画にあった世界観を演出するため、すべてのコンテンツをシステム開発者がプログラミングするのでかなりの労力を要します。オフィス空間に同様のプロセスを取り入れる余裕はありません。映画のプロモーション用のコンテンツとは異なり、ターゲットとなる社員は毎日コンテンツを目にするので、すぐに飽きられてしまいます。したがって、費用対効果の高い方法で効率的にコンテンツを更新できることが重要でした。そこで思いついたのが、システム開発者の助けを借りることなくデザイナーがコンテンツを制作し、アップデートできるシステムフレームワークを開発することです。さまざまなユースケースを洗い出し、インタラクションのパターンごとに分類してシステムフレームワークの機能要件を評価しました。

ハンソンコンセプトの洗い出しの段階で、2種類のコンテンツが見えてきました。1つはメッセージや情報を伝えるためのもの。もう1つはオーディエンスを楽しませるためのエンタテインメント性の高いものです。対象となる場はオフィスの空間であり、社内外の広報活動の必要性が高いことから、インフォテインメントの要素を備えたインタラクティブデジタルサイネージのためのフレームワークを開発すれば、大きな価値を生み出せるのではないかと考えました。そこで、タッチセンサーを活用したシステムフレームワークを開発し、人が壁に触れて双方向性のあるコンテンツを利用できるようにしました。

最新のセンシングおよび
ディスプレイテクノロジーを
取り入れた
フレームワークの
継続的開発

リニューアルスペースの反響はどうだったのか?次に取り組むべきことは?

竹村私たちが開発した空間は社内外で大きな注目を集めました。簡単なインタラクションでも人々の注意を引き、足を止めてもらえるということが分かったのは大きな発見でした。新規事業開発に取り組む同僚たちも、早速外部のパートナーにこのインタラクティブコンテンツのデモを行い、その斬新性をアピールするとともに商談のつかみに利用していました。

私たちはどのようなコンテンツやインタラクションが人々の心に響くのか、常に模索しています。ハンソンとたびたびコンテンツのテストを行っているのですが、多くの社員が立ち止まり、意見やアイデアを提供してくれています。
タッチインタラクションはコンテンツに付加価値をもたらしますが、必ずしも十分ではありません。もっと受動的なインタラクションも必要だと考えています。次のステップは、モーションインタラクションを取り入れることです。そうすれば、壁に触れなくても、その前を歩くだけでコンテンツが反応するようになります。

ダールストロムモーションインタラクションを実装する方法はいくつかあります。東京とスウェーデンを拠点とするソニーの研究開発部門のセンシング技術と機械学習技術を組み合わせたさまざまな新しいテクノロジーを継続的にテストしています。現在開発中の技術では、ユーザーがどこにいるかだけでなく、どのように動いているかも正確に検知することができ、複数の人の動作を同時に追跡することも可能です。今はセンサーの入力をフィルターにかけ、有意義で面白いユーザー体験にいかに昇華できるかを重点的に検討しています。

また、さまざまなディスプレイテクノロジーに使えるシステムフレームワークの開発にも取り組んでいます。リニューアルされたオフィス空間では超単焦点プロジェクターを使用して横長の平坦な壁にコンテンツを投写していますが、私たちが開発しているシステムは湾曲した壁や床、複数面の壁など、さまざまな空間に合わせたインタラクティブコンテンツの制作・更新に使用できます。また、大きなスペースだけでなく、小さなところでも使えます。より鮮明で明るい映像が必要であれば、プロジェクターの代わりにディスプレイスクリーンで対応することもできます。現在は、これまでよりも遥かに大きなスクリーンや壁でリアルタイムのインタラクティブ体験を実現できるソリューションの開発を進めています。近い将来、お披露目できることを楽しみにしています。

ランチタイム時の様子。多くの社員が立ち止まって話をしている。

センシング技術開発の様子。

(左):ランチタイム時の様子。多くの社員が立ち止まって話をしている。 (右):センシング技術開発の様子。

超単焦点プロジェクターやマイクロLED採用のCrystal LEDなどの
ディスプレイシステムにも対応可能。

タッチ、モーション、ジェスチャーなど、
さまざまなインタラクションを導入できる。

さまざまな空間に活用可能。

(左):超単焦点プロジェクターやマイクロLED採用のCrystal LEDなどのディスプレイシステムにも対応可能。
(中央):タッチ、モーション、ジェスチャーなど、さまざまなインタラクションを導入できる。
(右):さまざまな空間に活用可能。

さまざまな
ユースケースシナリオの探究

今後、このソリューションをどのように展開していくのだろうか?

竹村オフィス活性化の一環として始まったプロジェクトですが、開発したフレームワークはクリエイティブなツールとしてさまざまなシナリオで活用できるであろうと早い段階から考え、プロジェクターやディスプレイ製品を担当する営業・マーケティングチームと話し合いを進めていました。現在は社内外のパートナー向けにこのツールを応用したユースケースを開発中です。これまで社内スペース向けのコンテンツ制作する中で、この技術の可能性を広げるべく新たな用途や機能の開発に取り組んできました。今後、他のコンテンツ制作・提供者やオーディエンスからも意見をもらい、実世界のニーズやフィードバックを開発プロセスに落とし込んで、お客様にもっと寄り添ったものにしていければと思っています。未来のユーザーからもクリエイティブなアイデアをもらえると嬉しいです。

インタラクティブコンテンツで
ソニー・ピクチャーズの映画に命を吹き込む

ソニー・ピクチャーズの公開予定作品のプロモーションに活用されているインタラクティブコンテンツは、劇場でのユーザー体験の向上に大きく寄与しています。ビジネス会議ではこのテクノロジーと作品をセットで重要な映画興行会社に紹介しています。私たちが重視しているのは映画館のロビーに足を踏み入れた消費者を別世界へと誘う仕掛けです。『ジュマンジ/ネクスト・レベル』ではザ・ロックことドウェイン・ジョンソンやケヴィン・ハート、ジャック・ブラックらとジャングルの中を駆け抜け、『メン・イン・ブラック:インターナショナル』ではエイリアンを銃で撃ち、『スパイダーマン:スパイダーバース』ではアメコミの世界をリアルに体験することができます。これらのプログラムの体験者はみな当社の映画の世界に引き込まれ、ゲームを通じてすぐに作品に魅了されていました。

(左):アン=エリザベス・クロッティ
(ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント、グローバルエグジビターパートナーシップ&グローバルマーケティングオペレーション担当、エクゼクティブバイスプレジデント)

(右):ヴィネル・グラナ
(ソニー・ピクチャーズ・エンターテイメント、ワールドワイドエグジビターパートナーシップ担当バイスプレジデント)