Sony Design

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Any Surface

New design concept
for IoT & Agent

ただ1つ「点から始まる、
新世代UIの誕生

スタンドアロン型の製品を人間が直接操作する時代から、
ユビキタスに存在するIoTデバイスをAI的なエージェントと共に利用する時代へ。
ユーザーと電子機器との関係が変わろうとしている今、
長年に渡るソニーのUX(ユーザー体験)・UI(ユーザーインターフェース)リサーチの成果が新たな地平を拓きます。

周囲の環境に溶け込む
最も自然なインターフェースを目指して

近い将来の私たちの社会や生活の変化を考えるとき、たとえばスマートフォンから操作可能なオーディオ機器やプロジェクター、照明、玄関錠など、個々の家電製品がネットワーク化されて連携するIoTデバイスに囲まれて過ごすようになることが予想されます。また、AI技術の発達により、ユーザーがすべての面倒を見なくても、そうしたデバイスに声で命じるだけで自動的に必要な処理が行われる世界も現実的になってきました。
サイズや電源などの制約の多いそれらの製品も含めて、これからの電子機器に求められるのは、シンプルでありながらユーザーに寄り添った意思疎通が行える使い勝手の良さです。そのためにはUIも次の段階へと進める必要がありました。
ユーザーが、デバイスやアプリの存在を意識せず、今知りたいこと、行いたいことにフォーカスできる。UIは、その存在をことさら主張することなく、必要なときに必要とされる場所に現れ、的確な処理を行って消える。目の前の空間がそのままインターフェースとして機能することからAny Surface”と名付けられたその理想のUIランゲージを作り上げるために、4つの目標を設定しました。

  • 多様な情報表示の環境下における高い視認性の維持
  • 処理能力や消費電力の制約が大きなIoTデバイスにも対応可能なスケーラビリティの実現
  • エージェントとの自然な対話的操作を行うための統一的な作法の確立
  • 流れるように連続する誘導性に優れた画面遷移によるユーザビリティの向上

しかし、これらを現実のUIデザインに落とし込むためには、シンプルでありながら無機質にならず、ユーザーと同じ空間を共有することに心地よさを覚えるようなインタラクションのあり方を見つけ出す必要がありました。

根源的な要素に
新たな命と意味を吹き込む

芸術のあり方を示す言葉として「音楽家は静寂を超える音を奏でようとし、画家は白いキャンバスに勝る美を描こうとする」という喩えがあります。そして、その創造物の良し悪しは、はじめの一小節、最初の一筆の時点で決まるといっても過言ではありません。
同じように、ソニーのハードウェアデザインは、突き詰められた1本の線を描くところから始まります。では、これからのUIは何からスタートすべきなのか?自らに問いかけたこの疑問が、Any Surfaceを具体的に形作っていくためのブレークスルーへとつながりました。
それは、私たちを取り巻く世界の最も根源的な要素である「点」に立ち返るということです。

幅も高さもない0次元の空間を象徴する「点」は、実生活において、位置を示したり、目印になったり、何かの起点として認識されます。また、地表に落ちる最初の雨粒の一滴、あるいは水面下の動きによって生じる波紋の発生点のように、続いて起こることの予兆的なシンボルでもあります。
そこで、注視すべきポイントである「点」が何もない空間に出現することをAny Surfaceにおけるインタラクションの始まりとし、ユーザーと対話するインテリジェンスの気配を感じさせる役割を与えました。
「点」は移動することで「線」と「動き」を生み出します。「線」の描画は表示領域の幅を規定してユーザーの意識を情報の読み取りへと誘うための作法であり、役目を終えるとすぐに消えて、実情報の提示に移行します。また、緩急や強弱を伴う「動き」は、Any Surfaceに有機的で親しみやすいキャラクターを付加するために注意深く設計し、視覚的な心地よさや安心感をもたらす効果を持たせました。
そして、最終的な情報表示は「面」として行われますが、単純な矩形領域のみではなく、情報の出現や収束方向を示唆するために、トランジションの過程で丸みのある角を設けるなど、やはり柔らかさやキャラクター性を感じさせる工夫を加えています。

ハードウェアが一本の線からデザインされていくように、
インターフェースは1個の点から構築されていく。
そこに思い当たったときに、新しいUIの姿が浮かび上がりました。

チーフアートディレクター 入矢

エージェントとの
自然なやり取りのための気配り

対話は、双方が同時に好き勝手なことを言っていては成り立ちません。Any Surfaceには、エージェントが耳を傾け、また、ユーザーにその応答を待ってもらうための気配りも盛り込まれています。
「点」の周囲に現れる小さな円はエージェントがユーザーからの発話を待つスタンバイ状態にあることを表し、「点」を囲んでゆらぐように動く大きめの円はエージェントが思考中でユーザーに待機を促すシグナルを意味します。
また、デバイスによってはイルミネーションや触覚フィードバックが用いられることもあり、そのすべてのタイミングや強度がエージェントとのやり取りを、可能な限り自然でリアルなものと感じられるように調整しています。

視覚、聴覚、触覚をカバーする
重層的インタラクション

実際には、AIとの音声によるやり取りによって情報検索を行うような処理は、すでに実用化されています。しかし、人間同士の会話と比べた場合、それらはまだ自然な応答とはいえません。その原因は、聞き逃しや聞き違いが生じたときに急に機械的な対応になってしまったり、音声情報に頼りすぎて冗長度が増してしまうことにあります。
こうした問題を解決するために、Any Surfaceでは、音声、テキスト、グラフィックスを適切なバランスで補完させ、わかりやすく、スムーズな情報伝達を行うことを目指しました。
人間同士の会話でも聞き逃しや聞き違いは生じますが、文字にしたり図で示すことで情報伝達を円滑化できます。同じように、Any Surfaceもユーザーに対して複数の選択肢をテキストで提示したり、地図やグラフ、メーターのような視覚情報のほうが瞬時に意図が伝わる場面ではグラフィックスを用いることにより、従来にない優位性を持つソニー独自の対話システムを構築したのです。
しかも、処理の流れをモードレスとすることで、途中で発話とタッチを自由に組み合わせたり、必要に応じて残りの動作をエージェントに任せることも可能な、ユーザー中心のインタラクションを実現しています。
こうした処理のあり方に、従来のアプリを使い慣れた大人たちはかえって戸惑うところがあるかもしれません。しかし、先入観のない子どもたちにとってはまったく違和感なく使うことができ、やがては、そうでなかった時代を想像できない世界が訪れるはずです。

既存のアプリやマルチウィンドウは、
領域の限られたディスプレイには適しますが、
空間的な拡張には向きません。Any Surfaceは、
点と線による表層的なUIではなく、
アプリケーションの概念を壊す存在でもあるのです。

UXプラットフォームデザイングループ統括課長 今村

多様なシチュエーションを
柔軟にサポート

Any Surfaceは、そのシンプルさと柔軟性ゆえに、今はまだ想像もつかない将来的な製品を含めて、あらゆるデバイスや生活空間そのものをサポートしうるUIランゲージとなっています。
誰もが、ただ普通に指で差して声で訊くだけで、したいことをできる世界。それを現実のものとするために、Any Surfaceは、今、助走を開始しました。

なお、Any Surfaceは、製品の性格や用途に応じて発展させながら、さまざまなソニープロダクツのUIレイヤーとして組み込まれていく予定となります。
1つの「点」から始まるAny Surface。それは、ソニーが理想とする、これからのUIの進むべき道を示しているのです。