Sony Design

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Feature Design

SH800 /
SP6800

先端医療における
ソニーの挑戦

いま世界で注目されているiPS細胞の研究をはじめ、
癌や自己免疫疾患の細胞分析に活用されているのが
フローサイトメトリー装置です。
この医療研究機器の開発とデザインにソニーが挑み、
医療という未知の領域に新たな一歩を踏み出しました。

Design Concept

〈 SH800 / SP6800 〉
医療分野で
ソニーは何ができるか

フローサイトメトリー装置は細胞分析・研究に使用される専門機器。その開発もデザインもソニーにとって全く未知の領域であり、まさに新たな挑戦でした。デザインの手掛かりをつかむため、研究施設への視察や取材を行い、現場に求められる機能性を徹底的に観察することからはじまりました。

これまでのフローサイトメトリー装置は、研究室を圧迫するほど大きく、内部構造はもちろん操作もかなり複雑でした。研究者でも、解析データを取得する過程でしばしば専任オペレーターを必要とし、その結果、研究作業にさまざまな制約が生じていました。こうした現場の問題をソニーの技術やノウハウを生かすことで解決し、より多くの研究者が使うことのできる商品をつくることが、未来の医療の発展につながるはずだと考えました。

デザインテーマによる意志統一

医療機器で使用される色や素材には必然性があります。単にロゴや外観を揃えるといった表層的なデザインは問題解決にならず、研究者にとって使いやすいかどうかがすべてです。そのため、専門的見地からの考察、人間工学的な使い心地など、先端の医療現場にふさわしいデザインとは何かを模索し、あらゆるベクトルで議論を重ねました。そして、エンジニアや商品企画担当者、デザイナー間の意志統一を図るためにも、商品のあるべき方向性を示す共通のデザインテーマを設定しました。

Design Theme
Life:生命・躍動
新しい医療へのチャレンジ、ピュアな強い意思
Origin:本質
シンプルさのもつ強さ、クオリティーの追求
Inner Cosmos:中を魅せる
機能美、直感的操作、テクノロジーの視覚化
「デザインとは、
当たり前の
ことに気づくこと」

研究所の視察を通して気づいたのは、研究者は医療の専門家であって、決して機器の専門家ではないということです。実際にフローサイトメトリー装置の操作に膨大な時間や手間をかける研究者を見て、研究に専念できるような、操作に負担のない機器をつくることが、デザインの使命であると感じました。その点で、コンスーマー商品で培ってきたソニーならではの強みが、これからは医療分野で生かされるはずだと確信しました。そして、研究者のよきパートナーとして未来の医療の支えとなることが私たちの願いです。

プロデューサー/デザイナー 木村

Industrial Design

〈 SH800 / SP6800 〉
研究環境から導き出された造形

細胞を分析するセルアナライザSP6800と、細胞分析から分取まで行えるセルソータSH800。この2機種のデザインにあたり、まず解消すべきだと考えたのは専門機器に特有の「複雑さ」でした。そこで目指したのは、その対極にあるシンプルかつ機能的な造形です。限られた研究室のスペースにも置けるデスクトップサイズを目標に、従来品の1/3まで小型化。細菌やウィルスの研究用途もあるため、強力な消毒にも耐える3mm厚のアルミ外装を採用しました。さらに、ネジの凹凸には細菌がたまりやすいため、アルミ板を組木細工のように合わせ、極力ネジを使わない構造にしています。凹凸や継ぎ目のないフラットな面と、使う人に圧迫感を感じさせない柔らかな曲面で構成し、複雑さを排除したシンプルで力強い造形が完成しました。

使いやすさの徹底的な検証

シンプルなのは外観だけではありません。操作も簡潔で直感的に行えるよう、3Dシミュレーションによって徹底的な検証を行いました。SP6800では操作部をセンターに配し、使用環境を想定して左右どちらからでもスムーズにサンプルを出し入れできる角度と視認性を確保。また、どちらの機種もインジケーションや液晶画面などのインフォメーションエリアを黒いパネル部分に集約し、機器の状況をすばやく把握できるようにしています。さらに、機器の自動化とともに操作ボタンを最小限にし、よりシンプルな操作性を実現しました。試作段階から研究者ともさまざまな意見交換を重ねることで、機能性を磨きあげています。

アルミ削り出しのサンプル操作部

ソーティングチップ

安全性を高めるための
細部へのこだわり

SP6800のサンプル操作部は、膨大な数のサンプルを出し入れするため、アルミの塊からひとつずつ削り出して強度を確保。3mm厚のアルミ板の端面は、オーディオ機器などに使われるダイヤカットを施し、操作時の安全性にも配慮しています。また、サンプル分析では液体が飛散するため、周辺を光沢仕上げにすることで拭きやすくし、衛生的な環境を保てるようにしました。さらに、機器内部の光学フィルターの配置やソーティングチップの流路デザインまでエンジニアとともに検討し、安全性と正確性を重視しながら細部までデザインしています。

「医療機器・研究機器を
デザインすることの難しさ」

普段使っている商品であればデザインのヒントは自分の中にあります。しかし、医療機器や研究機器などの専門機器は使用される環境や機能を知らないとデザインできません。そのため、デザイナーは現場からどれだけ情報を読み取れるかが試されます。何が問題なのか、どこを改善すればいいのか。現場で得た情報を商品に落とし込むのは、常にプレッシャーとの戦いでしたが、とてもやりがいを感じましたね。

デザイナー 井関

※本機は研究用機器です。診断および治療にはご利用いただけません