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BUSINESS ダイバーシティなビジネスケース記事一覧へ Case:09 企画・設計・販売 「テレビライフを快適にしたい」想いは一つ 多様な意見を生かした商品づくり~お手元テレビスピーカー SRS-LSR100~

自分たちの強みを生かしてテレビライフをもっと快適にしたい


  • プロダクトマネジャー 及川

及川 : 現在主流の薄型テレビには、ニュースやドラマ、スポーツの実況音声等の話者の声が聞こえづらいという音への不満が市場にあるということをふまえ、私たちは3年程前からテレビの音をアクセサリ製品で改善できないかと考えていました。具体的には、ワイヤレススピーカーでテレビの音を補完できないかということです。その後リモコン設計部署と組織が統合されたことをきっかけに自分たちの強みを改めて話し合い、リモコン開発で培ったノウハウと、無線技術、音響技術のすべてを生かした商品をつくろうと考えました。そうして生まれたのが、ワイヤレススピーカーとリモコンを一体化し、リビングのどこでもテレビの音声が聴けて操作もできるという商品アイデアでした。

商品の方向性が決まると、次にどういったユーザーにどのような価値を提供できるのかを徹底的に議論しました。ワイヤレススピーカーは他社製品もありますし、スマートフォンと連携するものが一般的です。もちろんそうした機能を搭載することは可能ですが、我々はずっとテレビを開発してきた会社なので、やはりテレビライフをもっと楽しんでもらえる商品にしたい。テレビ用途に特化したスピーカーのニーズを考えたとき、テレビの音が聞こえづらくなったシニア世代や、洗い物などの家事をこなしながらテレビを見る人たちというターゲットが見えてきました。そこで、それぞれのライフスタイルに合わせて快適に楽しめる商品にするため、ターゲットユーザーへのヒアリングを重ねながらつくり込んでいくことにしたのです。

お年寄りや女性の意見を徹底的に取り入れる


  • エンジニアリングマネジャー 澁谷

澁谷 : ヒアリング調査は、ちょうどターゲット層である開発メンバーの親をはじめ、65歳以上の一般の方を集めてのフォーカスグループインタビューも実施するなど、社内外問わず何度も行いました。普段テレビを見ていて音声が聴こえづらいシーンについてや、プロトタイプを実際に使ってみて感じたことをフィードバックしてもらいました。機能だけでなくデザインなどの意見ももらいました。例えば、丸みを帯びた柔らかさを感じるデザインも、シニア層の角張った形状だと抵抗感がある、という意見を反映した結果です。
また、アナウンサーなど人の声を聴き取りやすくなる「ボイスズーム」機能は、シニア層の生の声に耳を傾けていなければ搭載されていなかったかもしれません。シニア層向けに音声を聴き取りやすくした商品は他にもありますが、そのほとんどが高音域のみを上げるというものです。しかし聴力低下の状況は千差万別。それよりも特にテレビの場合、話者の音声とその周囲の環境音が重なると聴こえづらいという人が多いことが分かりました。そこで、話者の声だけを持ち上げてはっきり聴こえるようにする「ボイスズーム」機能を採用。音楽鑑賞のためのスピーカーではなく、純粋にテレビを楽しむためのスピーカーを目指して「音声」の聴き取りやすさをなによりも重視しました。


及川 : もう一つのターゲットユーザーである女性の意見も多く取り入れています。開発中は私自身ミーティングする際に女性メンバーの意見を常に引き出すよう心がけていました。そうすることで男性メンバーが女性の視点を学びながら商品開発を進められると考えたのです。また、ヒアリング調査への参加を募集したところ68名もの女性の協力が得られました。もともと我々の職場は女性が少ないのですが、多くの女性の協力のおかげで女性のニーズをより深く掘り下げることができました。


溝渕 : 女性ならではの意見を取り入れたものとしては「防滴仕様」があります。やはりキッチンなどで洗い物をしているとテレビは見えるけど音が聴こえないことが多いですよね。そこに水しぶきなどで多少濡れても大丈夫なスピーカーがあれば、水仕事をしながらでもテレビを楽しめます。濡らしてダメな商品とすぐに拭けば大丈夫な商品とでは、その安心からくる心地よさは大きく異なります。

つくりやすさよりも、ユーザーの分かりやすさを最優先


  • カスタマーケアプロジェクトリーダー 溝渕

  • あえて尻切れにレイアウトされた取扱説明書

溝渕 : 取扱説明書の制作ではユーザーテストを実施しながら、分かりやすい構成や説明を徹底的に追求しました。目標は、高齢者が取扱説明書を見ながらご自身で送信機の接続・設置からリモコンの設定まで出来ること。フォントサイズを大きく読みやすくし、文字量を少なくする代わりにイラストでの説明を多用。さらに、文字の色や背景色、紙面の折り方やレイアウト、視覚に自信がない方でも読みやすいように網掛けの上に文字を配置しないなどの工夫をしました。ここにユーザーテストの結果が大きく反映されています。75歳以上の一般の方を対象に行った最初の設置テストでは、接続までは全員の方ができたものの、説明書の表面だけを読んで設定を完了しないまま終わってしまう方が何人かいらっしゃいました。説明が裏面に続いていることが分かりづらかったのです。そこで表面の情報をあえて途中で終わらせ、説明が裏面にも続いていることが分かるように工夫しました。


澁谷 : このユーザーテストの結果を受けて、商品の仕様も変更しています。リモコンの設定をする際に、リモコン設定ボタン、電源ボタン、番号ボタンの順番に押していくのですが、ボタンを押すとどうなるのかが分からずに次に進めないという事態が起こったのです。そこで、リモコン設定ボタンを押した時に点滅するランプを商品の前方部分の見やすい位置に変更しました。つくりやすさよりもユーザーの分かりやすさを優先した商品づくりを開発メンバー全員が心がけました。

開発と販売のフラットな意見交換が商品性を高める


  • マーケティングプランナー 市村

市村 : 販売・営業の立場からは導入するにあたり、1点だけお願いしたことがあります。それは「取っ手」を付けること。家事をしながらテレビをみる場面を想定すると、キッチン周りで使うケースが多いと考えました。またシニア層の方のなかには握力が弱まっている人もいますので、少しでも使いづらい部分はなくしたいと思いお願いしました。ほぼ商品が完成しているタイミングにも関わらず、柔軟に対応してもらえたのはうれしかったですね。


及川 : 実は「取っ手」については開発段階でも議論していたのです。ただ商品そのものは小さいため充分持てるだろうと考えていました。しかし販売サイドから意見をもらい、改めてシニアの方々のことや家事をしながらテレビを見る場面を考えたときにやはり必要だという結論に至りました。デザイナーにも頑張ってもらったおかげでデザイン的にもきれいな「取っ手」をつけることができましたし、商品性をさらに高められたと思います。


市村 : 「お手元テレビスピーカー」は、テレビライフを快適にすることに徹底的にこだわった商品ですので、その魅力を販売店とお客様にどう伝えるべきかを、開発過程でのヒアリング結果を参考にし、デモや説明に反映しました。発売後の店頭におけるデモンストレーションでは「既存の商品と違って細かい部分まで配慮されている」「ボイスズームのおかげで店内でも大変聞き取りやすい」「おまかせ音量は実生活環境で役立つ」という声を販売店の方やお客様からいただいています。これもユーザーの意見を地道に商品づくりに反映してきた成果だと思います。

多様性を受け入れるモノづくりの文化を守っていく

  • 及川 : 今回驚いたのは、日本のみの発売にも関わらず「お手元テレビスピーカー」の発表に海外のメディアが大きく反応したことです。これは、ソニーが多様性を受け入れながら世界中で商品やサービスを提供し続けてきたからこその反応だと思います。これからも様々なライフスタイルに応えるために、多様な意見を取り入れながらも尖った商品をつくる文化を大切にしていきたいですね。

  • 溝渕 : 私自身アクセサリ設計チームではなかったのですが、声をかけていただいて参加することになりました。開発中もいろいろな部署の人がわっと集まってきて話し合いが始まるという光景が良く見られました。ひとつのアイデアをみんなで形にしていく、そんなモノづくりの楽しさを随所で感じることができたプロジェクトで、これこそソニーで働く面白さだと思いますね。

  • 澁谷 : 昔からソニーにはいろいろな個性を持った人が多く、自由に発言しながら革新的な商品をつくってきました。お客様にとって良いと思えるもの、それだけを追い求めて部署や役職、性別も関係なくフラットに意見交換しながら開発する姿勢は今も変わりません。そして、ちょっと声をかけるだけでみんなが協力してくれる。そうしたソニーの良さを改めて実感しました。

  • 市村 : 今回は部署間の連携はもちろん、事業部と販売会社の間でもフラットに連携できたのが印象的でした。一番大事なのはお客様にどのような価値を提案して商品をどう届けるかをフラットに議論できる人間関係や組織の横のつながり。目的に向かって組織の垣根をあまり意識せずに協業できるのがソニーの強みだと思います。

ご紹介した商品 お手元テレビスピーカー SRS-LSR100
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