ダイバーシティ&インクルージョン

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BUSINESS ダイバーシティなビジネスケース記事一覧へ Case:11 企画・開発・販売 香りの楽しみを、すべての人へ。多様なライフスタイルに合った商品づくり~パーソナルアロマディフューザー AROMASTIC™~ 好きなときに好きな場所で、そのときの気分で香りを選んで楽しむことができるパーソナルアロマディフューザー AROMASTICは、「香りのエンタテインメント」というソニーにとって新たなカテゴリーに挑戦した商品です。女性向けのアロマ商品が多いなか、ジェンダーを超えて多様なライフスタイルに合った新しい香りの価値が提案できる、ダイバーシティな商品ができるまでをプロジェクトのメンバーに聞きました。※ジェンダーとは、社会的・心理的性別を指す プロジェクトのメンバー:藤田 修二 新規事業創出部 OE事業室 統括課長、藤田 彩 新規事業創出部 OE事業室、井上 幸人 新規事業創出部 OE事業室、竹倉 千保 新規事業創出部 Business Launch Team、大江 香菜美 UX推進部門 マーケティング推進部 マーケティングインキュベーション課

“香り”に感じた、ソニーらしいエンタテインメントの可能性


  • プロジェクトリーダー 藤田

藤田(修) : AROMASTICは、ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」(“SAP”)から生まれた商品で、片手におさまるコンパクトサイズのパーソナルアロマディフューザーです。集中したいときやリラックスしたいときなど、生活シーンやそのときの気分に合った香りを嗅いで気持ちを切り替えるという、新しい香り習慣を提案する商品です。専用カートリッジには5種類の香りが入っていて、ダイヤルを回すだけで瞬時に切り替えられます。また、熱を使わずに香らせる気体放散方式(ドライエアー方式)を採用しており、香りが周囲に拡散しないため、一般的なアロマディフューザーのように空間を香らせるのではなく、ヘッドホンで音楽を聴くように自分だけが香りを楽しむことができます。

 私は以前から、五感に訴えることで人をワクワクさせるような製品がつくりたいと思っていました。でも、視覚や聴覚に訴える製品はすでにたくさん開発されているし、味覚は口に入れるもので領域が異なるから製品開発のハードルが高い。そこで、嗅覚に着目しました。嗅覚に訴える製品は、ソニーをはじめ世界のエレクトロニクスカンパニーがほとんど未着手の領域だったので、挑戦する価値があると考えたのです。そこで、AROMASTICのプロトタイプを作り試してみると、香りによって気持ちが予想以上に動かされたことに自分でも驚きました。そのとき、香りには人をワクワクさせるソニーらしいエンタテインメント性があると確信しました。それまでは映像や音と香りを組み合わせた製品を考えていたのですが、香りを活用し香りだけで楽しめる「持ち運べるアロマセラピー」のようなものをつくろうと目指す方向が決まりました。

ジェンダーを超えて新しい価値を提供できる商品を目指して


  • マーケティング担当の大江

  • シンプルでニュートラルなデザイン

藤田(修) : ジェンダーにとらわれない商品にしたいと考えたのは、開発過程で香りの調査をするためにデパートのアロマ売場を訪ねたことがきっかけでした。そのときはまだ、アロマは女性のものというイメージが強かったのですが、実際にいろいろな香りを嗅いでみると、男性の私にも香りの良さが十分にわかりました。いい香りは男性も好きですし、香りがもたらす価値にジェンダーの垣根はないことに気付きました。もうひとつアロマ売場で感じたのは、女性客が圧倒的に多いこと。私もさすがに気後れしてしまい、店員さんに声をかけられたときは、自分用だと言えばいいのに思わずプレゼント用だと言ってしまったほどです。男性にも自由に香りを楽しんでもらいたい。そんな思いから、AROMASTICはユニセックスで誰にでも使ってもらえる商品にしようと思いました。実際に購入していただいた男性のお客様の中には、AROMASTICを持ち歩くようになってから、日常生活の中で気持ちを切り替えたいシーンが意外に多いことに気づいたという方もいらっしゃいます。男性のほうが普段から香りを意識していない人が多いので、香りに新鮮な驚きを感じるのかもしれません。AROMASTICは、新しい香りのニーズを掘り起こすきっかけになったのではないかと思います。


大江 : 「選べる香り、私のスイッチ」というのが、AROMASTICのタグラインです。リフレッシュしたいときや集中したいときなど、気分のスイッチを切り替えたくなるシーンは、男性と女性とでは多少の違いがあるかもしれません。しかし、香りで自分のスイッチを切り替えて気分転換できるという商品価値は、男女に関係なく響くものだと思っています。ジェンダーレスで使っていただけるように、商品のデザインはできるだけシンプルにして、ニュートラルなイメージになるように仕上げました。また、プロモーションでもジェンダーレスに訴求できるように、キービジュアルを男性と女性の2パターンで展開しています。この2パターンのキービジュアルを使ってWeb上で調査をしたところ、男性は男性のビジュアルを、女性は女性のビジュアルをクリックする確率が高いことがわかりました。男性のビジュアルも用意したことで、男性にも自分事としてこの商品を捉えてもらうことができたのではないかと思います。

ワーキングマザーたちの意見から、新しい市場や商品が生まれた


  • 機構設計担当の井上

  • 商品企画担当の竹倉

藤田(修) : AROMASTICはジェンダーにとらわれない商品ではありますが、ターゲットとしてはもちろん、普段から香りを楽しんでいて、アロマユーザーの大多数を占めている女性層は重要だと考えています。開発やプロモーションなどにも、女性ならではの意見や発想を積極的に取り入れました。プロジェクトメンバーの竹倉さんが化粧品のコフレキットをイメージして提案してくれた「ウィンタービューティーキット」は、スワロフスキー®・クリスタルをあしらったキャリングケースや、AROMASTICのロゴ入りミニトートバッグなど、女性の心をくすぐるポイントがたくさん詰まっていて、大変好評を得ています。


井上 : 実はこの商品はクリスマスキットとして企画しようとしていたのですが、竹倉さんが「クリスマスの時期だったら、化粧品のクリスマスコフレのようなキットはどうか?」とアイデアを出してくれたのです。私は当初、「コフレキット」という言葉すら知りませんでした。男性の自分には、このような発想は出ませんでしたし、それは他の男性メンバーも同じだったと思います。多様な視点での意見を取り入れていくことは、商品の可能性を広げていく上で重要だと、あらためて感じましたね。


竹倉 : 私は現在子育て中で、子どもが2人いるのですが、AROMASTICは常に時間に追われてストレスフルなワーキングマザーが、気分を瞬時に切り替えたり、リラックスするのにぴったりの商品だと思いました。実際、ママ友にAROMASTICを勧めたらとても気に入ってくれて、片時も手放さずに愛用してくれています。実は社内に、私も参加している「ソニーママつながり会」という非公式の団体があるのですが、そこでメンバーにAROMASTICを試してもらい、得られた意見を今後の商品開発の参考にしています。ほとんどの方がAROMASTICに興味を示して、快く協力してくれます。これまでのソニーのプロダクトで一番、女性にヒットするのではないかと思っています。

さらに多様な視点を取り入れて、商品をもっと成長させたい


  • 香りカートリッジ担当の藤田

  • 香りは、オーガニック素材に徹底してこだわるニールズヤード レメディーズが監修

藤田(彩) : 社内のさまざまな部署はもちろん、社外からも多くの意見を取り入れています。英国の老舗オーガニックコスメブランドのニールズヤード レメディーズには、アロマセラピストによるカートリッジの香りの監修や、実店舗やオンラインショップでのAROMASTIC本体とカートリッジの販売など、香りのプロとしての意見をもらっています。また、プロジェクトのメンバーは電器店をはじめ、デパートやショッピングセンターなどでも店頭販売を経験しています。直接お客様と接することで、普段は聞けないような貴重な意見を聞くことができました。出勤前に駆け込んでカートリッジを購入したお客様や、ソニーが香りの商品を発売したことに驚いているお客様がいて、さまざまな価値観があることを実感しました。


藤田(修) : 製造部門からの提案も取り入れています。AROMASTICは愛知県額田郡幸田町にあるソニーの製造事業所 ソニーグローバルマニュファクチュアリング&オペレーションズで製造していますが、品質保証の担当者たちが「自社製品なので、香りについても自分たちで評価検査を行いたい」と申し出てくれました。自主的にメンバーを集めて、ニールズヤード レメディーズから香りの教育を受け、内部試験を実施して合格した人が香りの評価を行っています。普段はソニーのデジタルカメラなどを製造している工場の人たちが、専門外の香りについて熱心に勉強してくれて、ニールズヤード レメディーズの講師の方も「あんなにいいセミナーは今までなかった」と感心していたそうです。


井上 : 今回私は、自分の専門分野である機構設計を生かしたくて、このプロジェクトに参加しました。でも、少人数のプロジェクトなので、自分の職域以外の仕事も担当しなければなりません。専門分野ではないので苦労も多いのですが、職域にとらわれずいろいろな仕事に関わることで、より多様で有用な意見や発想が生まれるのではないかということを実感しました。


藤田(修) : 香りの好みが人それぞれであるように、同じ香りでも感じ方も違えば、香りに求めることも違ってくると思います。特にAROMASTICは感性に訴える商品なので、今後さらに発展させるためには、もっと多様な視点があったほうがいいと思います。ゆくゆくは海外展開もしたいので、海外の方の意見も取り入れていきたいですね。日本よりも香りに馴染みがある海外で、新しい香りのエンタテインメントの提案に挑戦していきたいです。

  • プロジェクトのメンバーとパーソナルアロマディフューザー AROMASTIC™
ご紹介した商品 パーソナルアロマディフューザー AROMASTIC™
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