SONY

メニュー
サイト内検索ボタン

サイト内検索エリアを開く

One Teamで距離画像センサーを開発、
将来の社会を支えるソリューションを生みだす

〜今後ニーズが増える裏面照射型ToF方式距離画像センサーの開発レポート〜

イメージセンサーのリーディングカンパニーとして、世界のトップを走り続けるソニー。
これまで培ったイメージング領域に加え、今後はセンシング領域でのニーズの拡大も予想されています。
住んでいる国や文化、担当分野や経験の違いなど、さまざまな垣根を越えて、多様な人材の技術とアイデアにより
ブレイクスルーを起こし続けているソニーのセンサー開発について、最先端の距離センシング技術を搭載した
「裏面照射型ToF方式距離画像センサー」の開発担当者たちに聞きました。

  • 「裏面照射型ToF方式距離画像センサー」の「ToF方式」とは「Time of Flight方式」の頭文字を取ったもので、光源から発した光が対象物で反射し、センサーに届くまでの光の飛行時間(時間差)を検出することで、対象物までの距離を測定する方式です。
山崎 早百合
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 モバイル&センシングシステム事業部 iToFシステム商品部 4課
森山 祐介
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 モバイル&センシングシステム事業部 iToFシステム商品部 1課
馬場 翔太郎
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 モバイル&センシングシステム事業部 iToFシステム商品部 2課
大橋 一輝
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社 モバイル&センシングシステム事業部MSS技術4部・3課

多くのエンジニアの技術が凝縮されている、ソニーのセンサー開発

山崎:私たちが開発している「裏面照射型ToF方式距離画像センサー(以下、ToFセンサー)」は、ベルギーでToFの設計・開発を専門に行なっているグループ会社の技術と、これまでソニーが培ってきたイメージセンサー技術を融合させ、長距離から近距離まで高精度な測距を実現しています。

大橋:このセンサーは、エンタテインメントロボット「aibo」にも搭載されており、「aibo」が障害物にぶつかったり、段差で転倒したりするのを防いでいます。また、ToFセンサーは、スマートフォンなどのモバイル機器にも採用されています。被写体の距離を検出して背景をぼかした写真が撮影できるほか、物体の形状を3Dで表示したり、顔認証をより高精度にしたりするのにも役立っています。

森山:一つのセンサーを開発するためには、100人を超えるエンジニアがさまざまな領域に分かれて開発を行います。特にToFセンサーの場合、光源となるレーザーや、検知した光の情報を距離に変換する信号処理など、センサー単体に比べて技術領域が広範囲にわたります。それらに関わる人材も含めると、もしかしたら200〜300人体制で開発しているかもしれません。多くのエンジニアたちがOne Teamとなり、それぞれの技術を結集してToFセンサーを作りだしています。

垣根を越えて交わされるアイデアが、ブレイクスルーの源泉

山崎:業務でわからないことがあったとき、通常は関係する部署内で相談すると思いますが、ソニーでは部署や立場に関係なく、ソニーグループ内にいる高い専門知識を持ったスペシャリストに直接話を聞きに行ける風土があります。また、問題が発生した時も、部署や会社の垣根を越えて、集まれるメンバーを招集し、空いているスペースで喧々諤々、議論を交わしています。特にテレビ会議システムやオンライン会議が広範囲に導入されてからは、本社や出張先など今いる場所に縛られず、さらに議論がしやすくなりました。それぞれがアイデアを持ち寄り、議論しながらベストを探っていくと、どんどん「なるほど!」という気付きが生まれ、毎日がブレイクスルーの連続でしたね。

森山:ToFセンサーは私たちにとって未踏の領域だったので、開発も最初は手探りの状態でしたが、プロジェクトメンバーの一人ひとりがそれぞれ率先してアイデアを考え、積極的に行動したことが、開発を進める原動力になったと思います。また、大きな壁にぶつかったとき、どんなに議論してもなかなか解決策が見出せないこともありましたが、他のグループ会社でも別の応用分野に向けてToFセンサーを研究していることを思い出し、担当者に有用なアドバイスをもらったことで、新たな道が開けたこともあります。チームや部署、グループ会社などの枠に関係なく、気軽に相談し合える社風も、ソニーの大きな強みではないでしょうか。

多様な人材の背景や知識が生きている、ソニーのセンサー開発

山崎:このプロジェクトには、さまざまなバックグラウンドや専門知識を持った人材が集まっています。私は半導体の勉強はしたことがなく、大学での専攻は化学でした。しかも、入社時の配属先は半導体の営業部門でした。今は、ToFセンサーをどのようなスペックで、どのようにプロモーションしていくかをお客様に提案する業務を担当していますが、営業時代に経験した、常にお客様の目線に立って考える姿勢は今でも役立っています。

馬場:私も大学では半導体とは全然関係のない情報系を専攻しており、ロボット関連の研究をしていました。現在は、ToFセンサーの評価ボードを作成して、センサー単体だけでなくレーザーやレンズなども含めたモジュールとして、トータルシステムの評価を行っています。モジュールは、機械的な部分と電気的な部分が一つに収まっていて、小さいロボットのようなものです。ロボット工学で得た電気と機械それぞれの知識を生かしてシステム全体を評価できる今の仕事は、自分の特性にもマッチしていると思います。

大橋:私は現在、モバイル機器に搭載されるToFセンサーを各アプリケーションに合わせてチューニングする業務を担当していて、課題があれば信号処理開発チームやシステム開発チームにフィードバックをしています。大学では信号処理を研究し、入社後は半導体のシステムを担当してきたので、その両方の知識を生かして、より適切なフィードバックができるように心がけています。

森山:私は大学時代から半導体を研究していて、入社してからは一眼カメラ等のレンズ交換式カメラ向けのイメージセンサー開発を担当してきました。現在の部署に異動した当初、顔認証用のToFセンサーにおいて、画質で性能が確認できるイメージセンサー開発の考え方が通用せずに、悩んだことがありました。そんなとき助けになったのが、他社で顔認証技術の開発を経験した人からのアドバイスでした。他にも、空間認識や数学などのエキスパートからの視点や知見が、大きく役立ったこともあります。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが、ソニーのセンサー開発を支えていることを実感しています。

ToFセンサーの性能を評価するための評価ボード

他国の文化を受け入れ、補い合いながら解決策を構築する

山崎:ToFセンサーの開発は、ベルギーの拠点との協業によって行われていますが、当初は戸惑いの連続でした。言葉の壁ももちろんありましたし、あちらではバカンスを大切にする文化がありますので、開発の途中であっても担当者が長期のお休みに入ってしまうなど、スケジューリングにはこちらの常識が通用しないこともありましたね。一方、ベルギーは他の国に囲まれていて、多様な文化が共存する環境で働くことに慣れているので、異文化への好奇心が旺盛な人が多いです。日本の考え方や文化を理解して合わせてくれるところもあります。

森山:確かに、「今日の言葉」と題して、その日の言葉を各国語に訳したリストを自発的に作成していたりするのも、いろいろな言語と触れ合う機会が多いからでしょう。そういうところからも、異なる文化を積極的に取り入れようという姿勢を感じます。ベルギーのメンバーは、信号処理やソフト開発に関する深い知見を持っています。イメージセンサーのハードウェアを開発する際に、多彩な視点のアプローチからアイデアを出してくれることがあって、互いの得意分野で補い合えるところも、ソニーの強みだと感じています。

大橋:ベルギーのメンバーと中国のお客様を訪問したとき、ある課題が提示されたのですが、日本だと一旦持ち帰って改めてご提案することが多いのですが、彼らはその場でソースコードを書いて、「では、これを試してみましょう」とどんどん仕事を進めていくのです。その対応は自分にはできなかったし、スピード感を求める中国のお客様には合っていました。でも、これが韓国のお客様となると、また違ったアプローチが必要になってくるように思います。どの国のお客様にも柔軟に対応するためには、さまざまな国の文化を受け入れ、ともに解決策を創出できることが重要だと思います。

ベルギーのスタッフたちが作成したリスト。この日の言葉「LONELY」がさまざまな言語に訳されている

ソニーのセンサーが未来の暮らしを楽しく快適にする

馬場:昨今、AIや自動運転がいつどのように普段の暮らしに入ってくるかが話題になっており、外界の情報を検知するセンシング技術、特に距離センシングの必要性は、今後ますます高まっていくと感じています。そういった状況の中で、ToFセンサーを開発することは、将来の社会課題の解決につながり、今後ソニーの核となる事業の一つに育っていくのでは、と考えています。開発に携わるエンジニアには、さまざまな領域に精通していることが求められると思いますので、個人的には異なる領域の専門家と対等に会話ができるようになることを目指しています。

大橋:イメージング技術に近距離から長距離までの高精度なセンシング技術が加わることによって、センサーにさまざまな機能が追加され、可能性がどんどん広がっていきます。ロボットやスマートフォンへの搭載をはじめ、自動車のジェスチャーコントロールにも使われて、VRやARといった分野での応用も期待されます。これからセンシングは、もっとおもしろくなっていくのではないでしょうか。ToFセンサーの開発では初めて学んだことも多く、ベルギーや中国、韓国などの異文化での開発やビジネスの考え方に触れることもできました。今後もそのような活動を通して自分の幅を広げながら、高品質のセンサーを開発していきたいと思います。

森山:ソニーセミコンダクタソリューションズでは「テクノロジーの力で人に感動を、社会に豊かさをもたらす」をミッションに掲げていますが、その「感動」や「豊かさ」に「おもしろさ」、「楽しさ」、「便利さ」を加味できるのがセンシングの強みであり、社会に貢献できる鍵となる技術だと思っています。また、テクノロジーの力を発揮していくためには、これまで以上にチャレンジし続ける必要があります。現在はToFセンサーを軸に開発していますが、それ以外にもさまざまな技術を取り入れて、よりよいセンサーソリューションを提供していきたいと思います。

山崎:距離の検知はもちろん、新しいセンシング技術が組み込まれることによって、センサーにできることの範囲が格段に広がっていきます。これからセンサーは、技術ソリューションやシステム内に導入されるだけではなく、無人店舗や自動販売機などサービスの分野にも導入されていくはずです。車の自動運転やロボット、ドローンの利活用は近い将来実現しますが、今後、今はまだ想像できないような分野で、センサーが広く使われていくと思います。今回、ToFセンサー事業のスタートアップに関わり、今までとはまったく異なる分野の知識が必要だということを実感しました。これからも、さまざまな知識を幅広く身に付け、暮らしに快適さと豊かさをもたらすセンサーを世に送りだしていきたいと思います。

このページの先頭へ