ダイバーシティ&インクルージョン

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PEOPLE ダイバーシティなヒト記事一覧へ ありのままの自分で働く:トリスタン・ヒギンズ(米国法人ソニー・エレクトロニクス・インク、法務部、ディレクター)

仲間とつながり、受け入れられる職場で

ソニーに入社したのは2008年9月です。ソニーの求人広告を目にするまでは、私は、アメリカ、カリフォルニア州のサンディエゴで、エンターテイメント分野の専門弁護士としてゲーム会社に勤めていました。エンターテイメント業界及びその技術に精通している弁護士の募集記事を見た瞬間、「私にぴったり!」と思わず心の中で叫びました。ソニーというブランドは伝説的であり、素晴らしい会社で働くことになると確信していました。
入社後の初仕事は、ソニーの映画作品を世界に展開するプロジェクトでした。ハリウッドスタジオとの複雑なライセンスと財務契約に関わる交渉でしたが、期限通りに無事に締結できました。その後は、B2Bビジネスグループやその技術部隊をサポートする業務を担当し、新規事業分野に関する法律について継続して学ぶことで担当領域を広げています。

ソニーの職場環境には満足しています。差別を感じることもなく、自分が受け入れられていると実感しています。自分の経験が、全ての人に当てはまることではないということは承知していますが、私自身がカミングアウト(*1)した経験を、このダイバーシティ&インクルージョンサイトで共有する機会が得られたのはとても光栄に思っています。まだ多くの人は、ありのままの自分を職場で出すことに抵抗があると思いますが。

さまざまな研究や統計で、社員が安心して業務に専念でき、職場に受け入れられたと感じられることが、企業に高収益をもたらすと立証されています。私が個人的に職場に受け入れられたと感じるのは、同僚とよい関係を築くことができた時です。同僚に家族のことや、週末や旅行等の余暇の話をする際に、いちいち辻褄があうか気にしなくて良いということ。独り身であるふり、ストレート(異性愛者)であるふりをせず、妻や家のこと、私の人生、全てをありのままに話せること。自分をハッピーにしてくれる好きなポスターや絵やグッズをオフィスに飾れること。妻の写真や、記念日にもらったカードをそのまま置けること。これら全てのことが、職場で受け入れられ同僚たちとつながっていると実感できる要素です。ありのままの自分を出せない職場で働くという自分自身は想像が出来ません。

*1)自分がLGBT当事者であることを家族や周囲の人に伝えること

LGBT(*2)社員への理解促進に向けて、日々の活動

ソニーに応募する前、様々な手段でソニーのLGBTに対するスタンスを調べました-オフィスはどのくらいフレンドリーな雰囲気か、LGBT社員をサポートしているか、などです。2008年当時、そのような情報は見つからず、ダイバーシティがソニーにとって重要な施策であるとの会社の声明を見つけることは出来ませんでした。社内に、女性や黒人、アジア系社員のネットワーキンググループは幾つかありましたが、私のようなレズビアンが含まれるLGBTコミュニティは一つもない状況でした。しかし、私は「これは良い機会になる」と捉えたのです。入社後、ソニーはとてもオープンで多様性を尊重する職場であることが実感でき、個人を尊重し、多様性を推進するソニーグループの企業風土をもっと世の中に広め、啓発することが自分自身にもできると思ったからです。
  • (ソニーは2013年に、ダイバーシティステイトメントを発表しています-人種、国籍、宗教、信条、障がい、性別、年齢、出身地、性的指向および価値観、働き方などの多様性尊重する活動を積極的に推進します)

同僚やマネージメント層へLGBTへの理解を深めてもらう為に、毎日働きかけをしています。偏見、性的差別に基づいた発言を耳にした時やオープンに支援を促さない職場の兆候を見つけると、その都度必ず声をあげます-もちろん優しく、前向きな言い方で。また、ソニー・エレクトロニクス内のLGBTグループ「Equalityアライアンス」に対してアドバイスをしたり、トムホーマン財団(サンディエゴ在住のLGBT弁護士グループ)の活動に取締役として携わったりもしています。先日、サンディエゴ商工会主催の女性週間イベントで講演し、いろいろなバリアを乗り越え、多様性を尊重する企業文化への変化を目指して活動している私の経験談を共有してきました。ソニーがこれまで行ってきた企業文化づくりを、世に広めることが重要だと信じています。前例を見せることにより、他社の変化を促し影響を与えることになります。もちろん人事部に対しても、私の経験が有益な資源となるように協力しています。

*2)LGBT:レズビアン(女性の同性愛者)、ゲイ(男性の同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性別移行(性同一性障害)を含む)の頭文字から作られた頭字語)

ちょっとした変化が他の人の居場所を作ることになる

サンディエゴという場所で、長年弁護士として活動する私としては、自分自身の生まれ育った境遇や歩んできた人生(私の場合は性的指向)を秘密にすることなど考えられません。しかし、これは全ての人に一様に当てはまらないということも理解しています。ですが、私はソニーの社員に対しては、是非、ありのままの自分を職場で出して欲しいと声を大にして言いたいです。同僚を信頼せず、自分自身を隠している状況では、自分の本当の価値・力を発揮させることはできません。職場でカミングアウトしないということは、自分の内なる情熱、強み、イノベーション精神、創造性などを全て家に置き去りにすることだからです。ソニーは以前にも増して、社員一人ひとりのそういった素晴らしい能力や力を必要としています。たった一人の同僚でもいいので、カミングアウトすることを試みてください。友人でもいいです。それがうまくいけば、他の同僚にもカミングアウトしていいと思うかもしれません。いずれ、それは大方の人にとって大した問題ではないことに気付くはずです。多くの人は自分自身のことで精いっぱいです。職場でカミングアウトしたからといって、たいした反響を呼ばないことに驚くかもしれません。もし一人もカミングアウトしなければ、LGBT社員がいかにソニーに貢献しているかということを社内の誰もが知る由もないのです。

誰もが社員一人ひとりや同僚に対して、常にサポートする姿勢を示すことも大切だと思います。マネージメント層が実践できる一つの方法として、性別区別がない名詞を日々の会話や会議で使うように意識して欲しいです。例えば男性のマネージメントが「今週末は妻と食事に行くんだ」と言う代わりに、「今週末はパートナーと食事に行くんだ」と言ってみる。この些細な変化が会話を変え、こういった表現をする人=LGBT社員であるという、安易な憶測を呼ばなくなります。チームのメンバー全員、或いはチームメンバーの親や子どもや親戚が全員ストレート(異性愛者)である、と決めつけないでください。あなたの世界に、あなたとは違う価値観の人の居場所を作ってあげてください。もっと性別区分のない単語を使うように意識してみてください-fire“man”ではなくfire“fighter”、 “man” hours の代わりに“person” hours、guysではなくteam。是非、アライ(*3)プログラムに賛同してください!アライに賛同した社員は、机にカードやシールを貼ってください。ストレートな社員がアライ活動に賛同することが重要なのは、LGBT社員がカミングアウトする際に、誰が自分の味方になってくれるのかを知る手段となるからです。目印となるカードやシールがあれば、LGBT社員が安心して、ありのままの自分を出せ、更に会社に貢献できると思えるようになります。

*3)同盟や支援という意味の英語「Ally」が語源。LGBTの当事者ではなくとも、LGBTを理解し支援するという立場を明確にしている人

私が目指すもの:LGBTへの平等とインクルージョンの促進

ソニーの一員として、どの国のソニーオフィスにおいても、LGBTへの平等、公平が堅持されるべきだと強く思います。多くの国において、ソニーが多様性を真に尊重し、ダイバーシティを推奨する最初の企業になれれば、他社との差異化が図れます。才能ある人材を引き寄せ、LGBTやLGBTに共感する才能ある社員を長く留めておくことができるようになるはずです。

私は、ダイバーシティ&インクルージョンの分野でソニーが業界の先駆者として認識され、「LGBTならばソニーで働きたい」と思われるようになって欲しいです。私個人としては、多様な属性をもつ社員のひとりとして、企業文化を変えられるような存在になり、世界中にこの活動を伝えたいと思っています。また、同時に、AI(人工知能)と倫理分野における法律業務にも引き続き携わり、多様な視点が取り入れられるよう一助となりたいです。これは非常に重要なトピックであり、今後数年間で起こりうる標準化策定やポリシー立案の議論において、ソニーが積極的に関わっていくことを願っています。

  • 平井社長を囲むLGBT社員&支援グループメンバーと米国法人マネジメント
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