やりたい仕事にチャレンジしながら、育児にも責任を持って取り組む

やりたい仕事にチャレンジしながら、育児にも責任を持って取り組む

渡邉 達也
AIロボティクスビジネスグループ SR事業室 ソフトウエア2課

製品開発に挑戦する機会を与えてくれた「社内募集」

私は大学では物理学を専攻していて、電機メーカーへの就職はまったく考えていませんでした。でもソニーだけは、先進的でスタイリッシュなイメージがあり、興味がある企業だったので入社試験を受けました。その頃はまだ、職種を選んで応募するコース別採用ではなかったので、面接時に希望職種を質問されるのですが、「あなたがやりたいのは、セット開発ですか? デバイス開発ですか?」と聞かれたとき、私はデバイス(部品)開発と答えました。「セット開発」とはソニーの社内用語で、製品(完成品)開発を指す言葉なのですが、当時はその意味がわからず、本当は製品開発がしたかったのに、そう答えてしまったのです。入社試験には合格したのですが、配属になったのはもちろん、仙台にあるデバイス開発部門。そこで、ディスプレイデバイスの研究開発を担当することになりました。希望していた製品開発の仕事とはかけ離れていましたが、当時はデバイス開発の知識がまったくなかったので、一から必死に勉強しました。
仙台に赴任して3年が経ち、これからのキャリアプランを考えたとき、自分がやりたいのはやはり最終的にお客様に使っていただく製品の開発だとあらためて思いました。そこで、製品開発の仕事ができないかと探したところ、「社内募集」という制度があることがわかりました。「社内募集」は、社内に向けて各部署が人材を募集するソニーの人事制度の一つですが、応募条件を満たしていれば誰でも手を挙げることができます。特に、私のように最初に地方の事業所に配属になった社員は、本社や厚木事業所など開発を担当する部署に知り合いがいない人が多いので、大変うれしい制度だと思います。私はこの制度を使って、製品開発の仕事ができる部署として、東京にあるデジタルカメラのソフトウェア開発部門へ異動を希望し、無事異動することができました。

上司や同僚の協力を得ながら、職場初の男性育児休職取得者に

異動先の部署では、撮影した画像をデジタルカメラ本体で再生するためのソフトウェアや、ネットワークにつないで画像を転送するためのソフトウェアの開発を担当しました。また、係長に昇進し、プロジェクト管理や人員管理といったマネジメントの仕事も経験しました。プライベートでは結婚をし、息子が誕生しました。妻は出産後に1年間の育児休職を取得していたのですが、仕事が好きなので職場復帰を希望していました。私も息子と触れ合う時間を作りたいと思っていたので、もし妻が復職するタイミングで息子が保育園に入れなかったら、自分が育児休職を取得しようと考えていました。そして、結果的に保育園に入れなかったので、育児休職を申請したのですが、その職場では男性社員が育児休職を取るのは初のケースだったので、上司や同僚に話を切り出すときはかなり勇気が要りました。しかし、話した後はみんな理解して応援してくれ、引き継ぎやフォローなど周りの協力のおかげで、安心して休職することができました。
今回、私が利用したのは育児休職制度でしたが、それ以外にもソニーには育児と仕事の両立を支援するさまざまな制度があります。種類が豊富なので、自分がどの制度を利用するのが良いのか判断は少々難しいのですが、逆に言うと、それぞれの家庭事情やキャリアプランなどに合わせてたくさんの選択肢の中から選べるので、結果として利用しやすいと思います。

経験したから思える、男性も責任をもって育児をすべきということ

育児休職を取得して良かったことは、実家に息子を連れて行って、長期滞在できたことです。息子が両親によく懐いたので、両親にとっても良い時間となり、結果として親孝行できたのではないかと思っています。地方出身者だと普段はなかなか長く実家に戻れないので、貴重な経験ができました。また、休職期間中、育児や家事に専念したことで、その後も自分がやるべきことを効率よくこなせるようになったことも良かったことの一つです。育児や家事に対する抵抗がなくなり、楽しみながらできるようになりました。
私はもともと積極的に育児をするタイプではなかったのですが、育児休職中は育児に関する責任はすべて自分にあると考えて取り組んでいました。そこで、これまで自分が積極的に育児に関わってこなかったのは、無意識のうちに責任は妻にあると思っていたからではないかということに気付き、それ以来、責任を持って積極的に育児に関わるようになりました。また、育児休職中は息子と二人だけで家にいることが多く、誰とも会話をしない時間がだんだん苦痛になっていきました。聞いてはいましたが、育児の本当の大変さと、それまで行ってくれていた妻のありがたさが身に染みてわかり、子育てに対する意識が大きく変わりました。育児休職後は、私も妻もフルタイムで働きながら、夫婦で協力・分担して育児や家事をしています。お互いに忙しいので、育児や家事のタスクリストをスマートフォンで共有し、手が空いているほうがフレキシブルに対応できるような工夫をするなど、育児休職をきっかけに、家族みんなが幸せに暮らせるライフスタイルが実現できていると思います。

息子の保育園の入園式(上)と、家族で出かけたピクニック(下)での一コマ

休職して芽生えた、新しい仕事に挑戦したいという思い

育児休職は、自分のキャリアを見つめ直すいい機会にもなりました。約7カ月もの長期休職は初めてだったのですが、復帰後も今まで通り仕事ができる自信はあったので、特に不安や葛藤はありませんでした。しかし、それは裏を返せば、自分の今のスキルでこなせてしまう仕事だということ。このまま同じ仕事を続けていたら、さらなる成長は難しいと思い、新しい仕事にチャレンジしたいと考えました。カメラのソフトウェア開発の部署は規模が大きく、大きなシステム開発が経験できる一方、開発の一部分にしか携われないことも多かったので、次のステップではさまざまな仕事をしながら新しいことを学びたいと思いました。ちょうどその頃、AIロボティクスの部署でソフトウェア開発担当者の社内募集をしていて、組織の規模が小さかったのと、人工知能やクラウドに興味があったので、応募することを決めました。
現在はその部署で、エンタテインメントロボットaiboのソフトウェア開発を担当しています。aiboはクラウドと連携することで成長したり変化したりするのですが、私が手がけているのは、aiboの人工知能とクラウドをつなぐソフトウェアの開発です。これまでとは技術分野がまったく異なるので勉強の日々ですが、自分の成長を感じつつ楽しく仕事をしています。人数が少ないので担当できる領域が広く、さまざまな経験をしながら新しい知見を吸収できることに魅力を感じています。また、現在の部署には仕事も育児もバリバリこなしている男性社員が多く、保育園のお迎えなどで早めに帰宅する人もいるので、会議などのスケジュール調整や仕事のフォローは、日常的に行っています。息子と同年代のお子さんがいる人もいて、昼休みなどにはよく、「うちの子は最近、こういうことをよくやる」とか「こんなことができるようになった」などと話をしながら、育児についての情報交換をしています。

育児休職は自分自身がステップアップする契機にもなる

ソニーには、やりたいと手を挙げれば、やらせてくれる環境があります。仕事でも育児でも、「やりたい」という思いを伝えれば、周りの人が尊重し、協力してくれます。日本では若い世代を中心にイクメンが増えている一方で、家事や育児は女性がするものという空気がまだ残っている企業も多いと聞きます。しかし、ソニーにはそういった空気はなく、個人のプライベートに深く干渉したり、休職することに対してネガティブな発言をするような人は見受けられません。だから、男性の私でも育児休職が取りにくいと感じることはありませんでした。
私にとって育児休職は、生き方や働き方をステップアップさせるきっかけになりました。私自身の経験から言えば、男性の方も、もし機会があれば育児休職を取得するといいのではないかと思います。同僚や上司に迷惑をかけないか心配な方もいると思いますが、日頃から仕事に真摯に取り組み、チームとして助け合う働き方を実践していれば、みんな快くフォローしてくれるはずです。また、育児休職中に子どもと向き合っていると、思い通りにならないこともたくさんあります。そういった経験をすることで、人間的な成長にもつながるのではないかと思います。

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