出会った人からエネルギーをもらい、新しいワクワクをつくり出す

出会った人からエネルギーをもらい、新しいワクワクをつくり出す

木村 麻里子
ソニー・ミュージックレーベルズ 第2レーベルグループ

上司からもらった言葉は「この仕事は、情熱の伝言ゲームだ」

学生時代は、ラジオ番組の制作会社でアルバイトに明け暮れていました。制作の現場には、さまざまなレコード会社のプロモーターの方がやってきましたが、その中にソニーミュージックの人も何人かいらしていて、いつしか私も、あんな感じの人たちがいる会社で働いてみたいと思うようになり、就職先としてソニーミュージックを志望しました。とはいうものの、プロモーターの仕事はとても多忙に見えていたので自分には難しいと思い、仕事の内容がよくわからないまま、アーティストのマネジメント職を志望しました。しかし、いざ採用となったのはプロモーター職。

入社後は宣伝部に配属となりました。プロモーターの仕事はやはり大変で、サンプル盤や資料を持って、メディア各社を駆け回りました。少しでも気にかけてもらえるように、手書きのチラシを作成して配ったこともありました。徐々に担当の方と人間関係ができ、雑誌の掲載が決まったり、ラジオで曲がかかったりしたときは、達成感でいっぱいでした。あるとき上司から「この仕事は、情熱の伝言ゲームだ」と言われました。いい曲を聴いてほしいという気持ちを、メディアの先にいる多くの人に伝えることが、プロモーターの仕事。はじめて曲を聴いたときのワクワク感が多くの人に伝わり、世の中に広がっていることを肌で感じられたときが、やりがいを感じる瞬間です。友だちと話をしていて、「最近よく聴くあの曲、いいよね」という声が聞けたときは、苦労したけどやって良かったと心底思えました。

アーティストと一体になって、新しいワクワクをつくる

宣伝部に13年在籍したあと、制作部に異動しました。制作部の仕事は、音源の制作やプロモーション戦略を練るなど、アーティストの音楽活動全般をプロデュースすること。アーティストと向き合い、時には議論し合いながら、一緒に作品を作り上げていくことに一番のやりがいを感じます。同じアーティストでも、生み出される作品は毎回異なります。だから制作の仕事も、同じ仕事は二度とありません。10年以上制作部で働いていますが、毎回新しいワクワクに触れられるのが、この仕事の魅力だと思っています。

現在はマネジメント職になり、直接細かい事に触れる機会は少なくなってしまっていますが、アイデアを出し合う会議に入らせてもらったりしています。マネジメントする上で心がけているのは、コミュニケーション。調子がいい、悪いを知るためにもスタッフにできるだけ声をかけるようにしています。最近新しく仕事をするようになったスタッフも多いので、それぞれの長所や得意な部分を見つけて、どうしたらもっと長所を生かせてもらえそうかを考えていますが、どちらかというと周りのみなさんからもらう知識や刺激に、私自身が勉強させてもらっていることのほうが多く、むしろ私の方が成長させてもらっているなぁと感じています。

レコード会社、事務所、アーティストが一丸となって、音楽を世の中に送り出している

ママになっても、やりたい仕事に全力で取り組む

プライベートでは、10年前に会社の同僚と結婚しました。まもなく子どもを授かり、7カ月間、育児休職を取得しました。ところが、仕事から離れるとなると寂しくなり、休職中もスタッフと話をしたくなって、連絡してしまったこともありました。

復職後は、これまで在籍していた制作部に復帰。他部署への異動や時短勤務という選択肢もありましたが、できればこれまでと同じ環境でトライしてみたいという気持ちになり、そのためには、育児をサポートしてもらえる環境を整えることが不可欠。ということで、復職前にベビーシッターさんを探しました。復職直前に数人のベビーシッターさんと面談をして、安心して子どもを託せる人を選びました。子どもを他人に任せることには最初不安もありましたが、今は子どもが家族以外の人と接する良い機会だと思っています。仕事柄、帰宅が遅くなることが多く、なかなか子どもと触れ合う時間がとれないのですが、平日の朝や休日など、一緒に過ごす時間を大切にしています。

ベビーシッターさんとはノートで密に情報交換。日々の子どもの様子がわかって安心

仕事とそこで出会った人のエネルギーで、病気に立ち向かう

今から5年前のことですが、会社で受けた人間ドックで乳がんが見つかりました。手術をすることになり、さすがにそのときは会社を2週間休みました。手術をすれば治療は終わりだと勝手に思い込んでいたのですが、医師から抗がん剤治療を勧められ、受けることになりました。抗がん剤治療中は、副作用で気分が悪くなることもありましたが、仕事は続けました。むしろ、仕事をしているほうが病気を気にしなくて済むためか、元気でいることが多かったように思います。今思えば、仕事をしたいという気持ちがあったから、病気に立ち向かえたのかもしれません。

私は仕事を通して、人と接することで生まれるエネルギーをいつも感じていました。これまでに出会ったたくさんの方々からいただいたエネルギーが、闘病の支えになっていたと思います。

働きたいという意志が尊重され、仕事を続けられたことに感謝

ソニーミュージックにはさまざまなタイプの社員がいて、会社はその一人ひとりを大切にしてくれる会社だなと感じています。多様な働き方や生き方が尊重されることで育まれたアイデンティティーが、エンタテインメントを生み出す原動力になっていると思います。私にとって一番心地よい生活スタイルは、働いていること。妊娠がわかったときも、乳がんが見つかったときも、仕事をやめるという選択肢はありませんでした。どんな状況にあっても、今まで仕事を続けさせていただけたことに、とても感謝しています。

私は現場が大好きで、生涯現場の気持ちでマネジメントをしてきました。でも、時代は大きく変わっています。これからは、自分の考え方や角度も変えていかなければいけないことも感じています。が、やはり原点は、何事も情熱を持って伝えていくこと。伝えるべきものが多種多様になっていこうとも、人と人が生み出すワクワクをたくさん作れる仕事をし続けていきたいと思います。そして、5年後、10年後に振り返ったとき、やりたいことを全力でやり切ったと思える時間を過ごしていけたら幸せです。

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